希臘から来たソフィア | |
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株式会社自由社 |
お馴染み三橋貴明氏の著書である。以前のコレキヨの恋文からのシリーズものである。よく売れているそうだ。内容は新自由主義を批判する実践主義の三橋さんらしい主張が入っている。この中で新しい言葉が目に入る。「レイヤー」。小説の霧島さくら子総理の言葉を引用しよう。
「しかし本来の視点に立ち戻って考えてみれば、政府のやるべきことは、民間企業が投資をしやすい環境を整備することである筈です。そして経済活動には、数段階の層、レイヤーがあるのです。」
「レイヤーですか」
「国にはまず一番下に国土があり、その上に道路や橋梁、港湾、トンネル、電力網といった物理的なインフラがあります。さらにその上には行政システムと医療、健康保険、、教育、治安、安全保障といった「産業的インフラ」があります。これらの、ある意味根源的な産業についてまで、市場原理に則り各事業体が利益追求をすると国民の福祉が害されるのです。例えば、所得が少ない国民が、お金がないために医療サービス等を享受できないとなると、これは問題です。また、貧しい境遇の子供が教育を受けられないことは、明らかな憲法違反になります。このような理由で、国民に一定の品質でサービス供給がなされるべき分野については、政府がある程度の関与をする必要があるのです。」
「おっしゃる通りですね・・・」
というくだりである。会話は、まだ続くが、要は全てのレイヤーを市場としてとらえるのではなく、一定のレイヤーまでは国が責任を持つべきということである。
市場開放する度合いは、どのレイヤーまでか、TPPなどが具体的な測定指標にもなる。このレイヤーという言葉、使える言葉である。