初めに電通の鬼十則を掲げる。出典は、ウィキペディアの「吉田秀雄」最終更新 2016年11月18日 (金) 06:21 だ。この方は電通の第4代社長、鬼十則を作った広告の鬼、といわれているそうだ。問題は、この中の5番目。これが最近の事件を巡って問題になっている部分だろう。殺されても放すな、これをまじめにとると、殺人事件になるまで仕事はやめるな、ということになる。上司は死ぬまで部下を働かせる。鬼十則通りの行動だ。
- 仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない。
- 仕事とは、先手々と働き掛けていくことで、受け身でやるものではない。
- 大きな仕事と取り組め、小さな仕事はおのれを小さくする。
- 難しい仕事を狙え、そしてこれを成し遂げるところに進歩がある。
- 取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは……。
- 周囲を引きずり回せ、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる。
- 計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。
- 自信を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚みすらない。
- 頭は常に全回転、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ。
- 摩擦を怖れるな、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練になる。
さて、私は若い頃、この企業さんと取引があって、会議室や事務所に行ったことがある。そのときにこの鬼十則を見たことがある。当時は「鬼十訓」と私は記憶していた。ちょっと違ったがずいぶんと厳しい内容だな、と思っていた程度だ。
その後、若手社員が自殺して、それが労災と認められて、その事件が人事関係の労災のバイブルになってる企業だ。その後も社員の自殺事件を起こしている。今度もまた起きて、世間は、本気か、見ている。ご遺族は記者会見などでも本気に取り組みむうに訴えている。お気の毒だ。
さて、最近、「この鬼十則を手帳から外すことを検討している」、というニュースが流れた。ははあ、正直言って、この企業さんはまだ本気じゃないね。風が収まるのを待っている風だ。本気なら、なぜ、「手帳から外す」と言い切らないのか。手帳から外す程度の話は、人事部長クラスの一言で簡単に決断できる。プレスも簡単に出せる。「外すことを検討している」は、逆風が収まった頃、やっぱりやめた、となれば元通りにできる。嘘は言ってませんという訳だ。
広告の会社だ、こんなことを間違えるはずがない。慎重に考えてこのような内容にしたんだろう。姑息だ。世間の逆風が収まるのを待っていると思うのは、私だけだろうか。
この事件を機会に日本の長時間労が転換できればいいと思ってるんだが。