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犬の伊勢参り (平凡社新書) |
クリエーター情報なし | |
平凡社 |
先日読んだ日本国紀に載っていた、「犬の伊勢参り」。日本の治安の良さや、日本人の特徴を表すものとして紹介されていた。しかし、どうもすっきりしない。ほんとにあったのかと、疑問が湧く。そこで、ネットで調べた本を購入し、読んでみた。犬の伊勢参りを研究してる方もいらっしゃるんだな。
時代は江戸時代、記録が文書にたくさん残ってるから、犬の単独行、単独での伊勢参りは間違いなくあった。これはいくつか、時代背景があって、実現したものだ。
当時、犬は、ほとんどが、里犬や街犬というように、村全体で飼っていた。現代は、欧米スタイルで、飼い主が飼うものだが、当時は村全体で飼っていた。今は、エサは飼い主があげるが、当時は、誰でもがあげるものだった。一方、犬の習性は、エサをくれる人、可愛がってくれる人になつくし、ついて行く。
そして、この当時は、伊勢参りが大ブームになっていた。そこである老人が、自分はもう歩けないが、代わりに犬に伊勢参りに行ってもらおう、として、首にお伊勢参りの犬であることや、いくらかのお金をぶら下げるようにして、送り出した。
それを見た街道の人は、途中まで一緒に連れて行ったり、首にぶら下げたお金を取ってエサをあげたり、また新たに小銭をぶら下げている袋に入れたり、小銭が多くなると、これを銀に代えて、首を軽くしたりして、送っていた。
当時も、村から村へと荷物を送る制度があったそうだが、この中の荷物の一つとして、犬を送った記録もある。伊勢参りだと、何百枚もの証文が残っている。
今の岩手県から送り出した犬が、3年して、伊勢参りから帰ってきた、記録がある。これが中国だと、金はすぐとられ、韓国だと、犬は食べられてしまう。
犬の伊勢参り、それも単独行は、当時の時代背景と、犬の習性から出来上がったものだ、と著者は結んでいる。こんな隠れたいい話、まだまだありそうな気がする、掘り起こしていこう。