高水三山~棒の折縦走の後、泊まった名栗温泉、大松閣について書く。宿の前に降りたバス停の名前、この橋は、名栗川橋、大正13年にできたものだが、県指定の文化財、土木遺産になっている。
なんで、わざわざ書くかというと、35年前!、土木工学科の私の卒業研究で、鉄筋コンクリート製のアーチ橋を設計した。その橋と恰好、スパンともほぼ同じだからだ。学生の卒研では、全く新しいものを書くのではなく、先行研究を追って作るから、同系統の書籍のものを使ったんだろう。でも大正13年か、相当古いけど。
さて、大松閣、創業して百年も経つそうだ。女将はウチは材木屋だった、という。そしてなんと、天皇陛下(当時は皇太子殿下)が泊まった写真がある。棒の折山に登り、宿泊したようだ。こんな山の中、観光地でもない場所に、すごい宿があった。この前は、棒の折や竹寺に行く際、何度もバスで通っているが見逃していた。
そして温泉は、5階に展望風呂があり、さらに3つの建物が離れになっており、それぞれ特徴のある露天風呂(家族風呂)がある。本来はこの家族風呂、有料だが、今は無料で貸している。このうち空いている岩風呂を無料で借りる。
最後に温泉の泉質について、泉温は17℃、基準は25℃以上だから、これでは温泉にならない、冷鉱泉だ。もう一つの基準、温泉法の温泉成分は、0.176g/Lで、温泉法の基準1g/Lを満たさない。最後の温泉法の特殊性分19種のうち、総硫黄のみ1.9mg/Lで、これが温泉法第2条の1mg/L をクリアする温泉になっている。
よかったね。なお総硫黄とは、硫化水素イオン+チオ硫酸イオン+遊離硫化水素の合計になる。鉱泉分析法指針の療養泉基準2mg/Lにはわずかに及ばないのか、書かれていない。
またペーハーは8.38で弱アルカリ性、入浴した後は肌がすべすべになる。総硫黄のみでクリアする温泉も珍しい、でも成分が少ないのか、硫黄臭はしなかったな。
この温泉、埼玉県にあって、登山に便利な温泉だ。ちとお高いからなかかな来れないが、何かの記念日にまた来よう。