続きを。
最後にまた別の選手に話を。本人はほぼ泣いていました。色々と思うことがあるのでしょう。
「個人」でやっていた部分から「集団」への練習になった。集団行動ができなくて本当は一人でやりたかったという話をしていました。集団でやると自分の思い通りに物事が進みません。「我慢」しなければいけないことが増える。そこまでして競技をするのかという気持ちはずっとあったのだと思います。
1年次にインターハイに出場する機会がある。そこから翌年も…という気持ちはある。が、自分の「気持ち」をコントロールすることができない。少しでも何かあると「もうやらない」という気持ちが出る。レースが終わって私とマンツーマンで話をするというのはほぼ「恒例行事」のようになっていました。「もうやりたくない」という言葉を何度聞いたことか。
世の中、思い通りにいかないことのほうが多い。そこが分からないといけない。時間がかかります。昨年は記録会のアップ終了後、「このメンバーとリレーを走りたくない」と言い出して棄権。今でこそこうやって書けますがもう大変なことが数えきれないくらいありました。
それでも最後のレースが終わって後輩たちに「自分の感情のコントロールをする重要性」について話をしていました。結局、それで自分が上手く走れなくなるというのが分かっていたのだと思います。分かっているけどどうにもできない。悪循環を生んでいた。自分の失敗を後輩にはさせたくないという気持ちがあったのでしょう。「最初は一人がいい」と思っていたけど「このメンバーでやってきてよかった」という言葉もありました。一人ではできないこともみんなとだからできた。こういう言葉が出てくるというのは本当に「成長」だと思います。
更には「後輩と先生ともう一度インターハイに行きたかった」という言葉もありました。随分成長してくれているなと思います。うちのチーム以外であればまた違う結果だったのかもしれません。この冬は本当に一生懸命に取り組んでいました。県で勝てるのではないかと思う水準の走りをしていました。が、これもコロナの影響で果たせず。そこから気持ちを奮い立たせてもう一度チャレンジしようとしましたが故障。上手くいきません。
色々な話をしていました。この子がこの場面でこうやって「上級生」として「メッセージ」を伝える。これは周囲にはわかってもらえないかもしれませんが大きなことです。いったん引退しようと思ったが「後輩に技術的な部分の手本を示したい」という想いで残ってくれました。2年前では考えられないことです。こうやって成長する。それができたというのが本当に大きな意味があります。
感情をぶつけられることもありました。過去最高レベルだったと思います。それでも互いに考えながら譲歩しながらやってきたからここに立つことができた。見えない結果かもしれません。それでも間違いなく「大きな成長」をしています。この部分は私にとっては最高レベルの喜びかもしれません。通常では経験できないことをこの場で経験できたのかなと。
3年生が話をしている姿を見て2年生女子は泣き崩れていました。色々と思うことがあるのでしょう。下級生に慕われているところも大きくあったのだと思います。立ち上がれないくらい泣いていましたから・・・。これも貴重な経験です。「結果」とはなにか。足が速くなればそれでいいのか。速ければ他の部分がなくてもいいのか。私はそう思いません。「引退する」というときに「いなくなって良かった」と思われるのか、「もっと一緒にやりたかった」と思われるのか。大きく違ってきます。
こう考えると一緒にやってきた3年生は本当に下級生に慕われていたと思います。これだけ泣きながら話ができるというのも貴重な経験。本気だったからこそ流せる涙だと思っています。
まとまりませんが。記録として残しておきます。