結局、県新人が終わって得たものは何か。明確なものはありません。収穫といえる部分は何か。課題となる部分は何か。ここは考えていかなければいけないと思っています。
まずは高跳びと三段跳びで自己ベストを更新して中国新人の出場権を得たことは大きなことだと思っています。跳躍系の指導は全くと言っていいほどできていません。その代り身体づくりと走練習はある程度やっています。それが競技力に繋がるというのは間違いないと思います。棒高跳びでIHに進んだ時も基本的には「身体づくり」と「走練習」のみ。棒高跳びの専門練習は定期的にgt先生に見てもらっていました。それである程度跳べていたのでもっと専門的にやれば違った結果になっていたかもしれません。とはいえ、「基礎的なこと」は重要だなという認識です。
あとは「走練習」が少ない1年生の100m選手が思った以上に長い距離に対応できるという部分。これまでずっと考えていた部分です。当たり前なのですが選手には「タイプ」があります。少ない本数で練習を積んでいくほうが向いている選手と本数を重ねながらやっていく選手。今回の1年生は間違いなく前者です。本数を増やす必要性がない気がします。ここに関しては2年生数人に伝えています。練習の「差別化」をするべきではないか。中学校や高校の「部活動」というカテゴリーでは「メニュー」が存在していてそれを全員でやっていくという流れです。こうなると「合う」「合わない」が出てきます。ある人にとっては「ちょうどいい」練習であってもある人にとっては「多すぎる」練習になる。
これまである程度「個別対応」をしていたつもりです。しかし、より細かく見ていく必要がある。そして、その「タイプ」に関してほかの選手も理解しないといけない。出力が高くて練習量が少なくても大丈夫な選手に対して「あの子だけ練習が少ない」という批判的な意見が出やすくなるというのでは意味がなくなります。状況に応じてやっていく。その中で「これがいい」という部分に合わせていく必要があると思っています。批判的に現状を見るのではなく「特性」を周囲が理解しながらやっていく必要がある。
同時に100m選手が400mを走る。これは今まであまりやりませんでした。本当にショートスプリント型が多かったというのもあります。しかし、今回1年生が今シーズン初めて走った200mで25秒9で走った。100mでは中盤以降動きが硬くなりスピードが落ちてしまう部分がある。それなのに200mは後半まで持つ。この200mのリラックスした走りの感覚を100mの後半に生かせればもっと記録が出るようになると思います。前半の走りは間違いなく12秒2くらいで走る感覚です。しかし、本当に中盤から止まってしまう。「苦手意識」というよりも「タイミングを合わせる」部分だったり、「力の使い方」が分からなかったりするのだと思っています。それができるようになればいろいろなことが変わってくる。全体がマルチスプリンターになることで少ない人数でも上のレベルで戦っていけるのだと思います。
さらにはIH出場選手たちの流れの悪さです。一番の要因は「筋力の低下」ではないかと思っています。冬季練習では「朝練」をやっていました。ハードルのドリルのみという感じですが。股関節周辺の筋力の向上なども含めて「技術的な変化」や「基礎筋力」が重要だと思っていたからです。午後の練習では不足する部分を「朝練をする」ことで補っていました。しかし、中国大会が終わってからはテスト週間に入ったこと、夏休みに入ったことで「ルーティン」としていた「基礎練習」を一切やらなくなっていました。8月末に学校が始まっても体育大会の準備などで「やりたいこと」「やらないといけないこと」ができていません。明らかに「不足」しています。IHが決まったから油断していたとは思いません。しかし、まだ「やるべきこと」が本物になっていなかったというのだけは確かだと思います。毎日やるべき補強的な練習ができない。積み上げてきてやっと走れるようになってきていたのにそれが「やらない」状況になるとあっという間に元に戻ると思っています。
IHがあるとそこに向けて走練習が増えてしまいます。これまでやっていたトレーニング的な部分もいつの間にかやらなくなる。暑さもあって「無理はできない」という判断に繋がり「やっておかなければいけない練習」である「身体づくり」「技術練習」の圧倒的な不足を生んでいます。分かっているようで私自身もその部分の徹底ができていなかったというのがあります。「補強をやるように」というのはずっと言い続けてきました。夏休みは1日あります。夕方に補強をすることは可能だと思います。それが実際にどれくらいできたか。陸上競技に賭ける思いがどれだけ行動に移せたか。今考えるともっと明文化して徹底する必要があった気がします。体調不良なども相次ぎ、練習ができないという状況が続きました。「任せる」というのも必要なのかもしれませんが、「自主性」というきれいな言葉にごまかされてはいけない。分かっていたのにいつの間にか雰囲気にのまれていた自分がいたのだと思います。
言い方が厳しいかもしれませんが、「覚悟」という部分では足りないと思っています。何かあればすぐに落ち込みますし、「自分が辛い」というのでいっぱいいっぱいになってしまいます。結局、IHに行ったというのは「中国大会で6番以内に入った」時点で終わっていて、すでに「過去のこと」です。前を向いて次にやるべきことに迎えていない気がしています。IHに進んだことで止まっているというのでは「戦える組織」にはなりません。それを忘れていないか。勿体ないなと思いますね。
明らかに「足りない」ことが増えている。それは絶対に心に刻んでおかなければいけません。今のままでは来年も戦えない。「戦う」と言いながらもそれを満たす内容ができていない。「本気」で目指しているチームとはこの段階で「差」が広がってしまいます。
厳しいことを書いているのかもしれません。「中国大会に行く」というのを目標にするのであればそこまで言いません。それはそれで良いと思っています。全員が「IHで戦う」というのではない。当然の話です。しかし、「IHで戦う」というのを目標として掲げるのであればこの状態では難しいと思っています。県内で戦える可能性があるチームは本当にごく一部だと思っています。その中でどうするのか。
もう一度考えてもらいたいなと思います。本当に。