いやあ、すごい本が現れた。
佐野眞一さんの新著 『沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史』(集英社インターナショナル)である。
650ページを超えるボリューム、その内容の濃さ、読む者に考えさせる現実、まさにチカラ技だ。
甘粕正彦や阿片王などを通じて”満州の闇”を描き、それが現在にまでつながっていることを示した佐野さん。今度は沖縄だ。
これにも理由があって、戦後日本の<ありのままの姿>を捉えようとすると、満州と沖縄という二つの国土がせり上がってくるというのだ。そんな佐野さんの執念が、この傑作ノンフィクションを生み出したといえる。
この本の最大の特色は、「戦争被害者の島」、また「米軍基地の島」といった沖縄に対する既成概念に囚われていないことだ。
そうした「大文字」を排し、「小文字」にこだわっている。具体的には、徹底して<人間の物語>を追いかけているのだ。
失踪と怪死で人生の幕を閉じた沖縄出身のエリート議員。沖縄ヤクザ界の頂点に立つ超大物を即死させたヒットマン。島の経済はもちろん中央政治さえ動かす「沖縄四天王」と呼ばれる男たち。そして年間20億円の地料を受け取る「軍事地主」等々。彼らの歩みは<戦後沖縄の足取り>そのものなのである。
そうそう、この本の中で、ライブドアに関係していた野口氏が沖縄で亡くなった「カプセルホテル怪死事件」についても取材が行われている。佐野さんの結論は、「彼の死はほぼ間違いなく自殺である」。
さらに、「他殺説」を展開していた週刊誌に対しても、「興味本位」「大衆迎合の見本」と手厳しい批判をしている。
佐野さんは可能な限り本人に会う。無理なら真相を知る者を探しまわる。たとえば、74年の組長狙撃事件に関しては、主犯と共犯の両方に会っている。
こうした取材で明らかになるのは、本文中に何回か出てくる言葉でいえば「思わず耳が勃起してくるような話」ばかりであり、読む者にも沖縄の実相がほの見えてくる。
それはまた、アメリカに振り回されてきた日本と、沖縄を振り回し続けてきた日本の醜い姿でもあった。
佐野さんが、講演で語ったという言葉が記されている。私たちは、普段気がつかないでいたり、忘れていたりするが、とても大事なことだと思う。
「私たちは日々、歴史が動く瞬間に生きています。
私たちは歴史をつくる存在であると同時に、
現代史の生きた目撃者でもあるのです」
うーん、やはりノンフィクションも面白い。
佐野眞一さんの新著 『沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史』(集英社インターナショナル)である。
650ページを超えるボリューム、その内容の濃さ、読む者に考えさせる現実、まさにチカラ技だ。
甘粕正彦や阿片王などを通じて”満州の闇”を描き、それが現在にまでつながっていることを示した佐野さん。今度は沖縄だ。
これにも理由があって、戦後日本の<ありのままの姿>を捉えようとすると、満州と沖縄という二つの国土がせり上がってくるというのだ。そんな佐野さんの執念が、この傑作ノンフィクションを生み出したといえる。
この本の最大の特色は、「戦争被害者の島」、また「米軍基地の島」といった沖縄に対する既成概念に囚われていないことだ。
そうした「大文字」を排し、「小文字」にこだわっている。具体的には、徹底して<人間の物語>を追いかけているのだ。
失踪と怪死で人生の幕を閉じた沖縄出身のエリート議員。沖縄ヤクザ界の頂点に立つ超大物を即死させたヒットマン。島の経済はもちろん中央政治さえ動かす「沖縄四天王」と呼ばれる男たち。そして年間20億円の地料を受け取る「軍事地主」等々。彼らの歩みは<戦後沖縄の足取り>そのものなのである。
そうそう、この本の中で、ライブドアに関係していた野口氏が沖縄で亡くなった「カプセルホテル怪死事件」についても取材が行われている。佐野さんの結論は、「彼の死はほぼ間違いなく自殺である」。
さらに、「他殺説」を展開していた週刊誌に対しても、「興味本位」「大衆迎合の見本」と手厳しい批判をしている。
佐野さんは可能な限り本人に会う。無理なら真相を知る者を探しまわる。たとえば、74年の組長狙撃事件に関しては、主犯と共犯の両方に会っている。
こうした取材で明らかになるのは、本文中に何回か出てくる言葉でいえば「思わず耳が勃起してくるような話」ばかりであり、読む者にも沖縄の実相がほの見えてくる。
それはまた、アメリカに振り回されてきた日本と、沖縄を振り回し続けてきた日本の醜い姿でもあった。
佐野さんが、講演で語ったという言葉が記されている。私たちは、普段気がつかないでいたり、忘れていたりするが、とても大事なことだと思う。
「私たちは日々、歴史が動く瞬間に生きています。
私たちは歴史をつくる存在であると同時に、
現代史の生きた目撃者でもあるのです」
うーん、やはりノンフィクションも面白い。
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