碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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他人の幸福のために尽くしていた“寅さん”はすごい

2008年10月30日 | 本・新聞・雑誌・活字
志村史夫さんが書いた『寅さんに学ぶ日本人の「生き方」~世の中、銭金、勝ち負けだけじゃ哀しい』(扶桑社)。

映画『男はつらいよ』をテキストにして語る人間論だが、面白いのは、著者の志村さんが半導体や物理学の専門家であること。

「競争原理とは無縁で、排他性を持たず、己の利益をおいても他人の幸福のために尽くす」寅さん。それを人間の理想像と捉え、映画場面の豊富な引用で裏打ちしていく。

起きないことはない、いや、起きるはずのないことも起きてしまう現在のニッポン。この本に書かれているように、<日本人本来の姿>が寅さんならいいんだけどなあ。そうであって欲しいよなあ。

寅さんに学ぶ日本人の「生き方」
志村 史夫
扶桑社

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