橋本治さんの新刊は『最後の「ああでもなくこうでもなく」 そして、時代は続いて行く』(マドラ出版)。
残念ながら、来年春の<休刊>が決まった雑誌『広告批評』で、11年にもわたって連載が続いてきた、時評エッセイの最終巻だ。
連載自体は最終号まで継続されるのだが、単行本としてはラストになると、橋本さん自身が書いていた。
この2年ほどの間に起きた、食品偽装、サブプライム問題、そして秋葉原無差別殺傷事件などが論じられている。特色は、「人間」にフォーカスされていること。
例によって、決して分かりやすい内容ではない。いや、それは正確じゃないな。「テレビ的な分かりやすさ」のようなものを、橋本さんは目指してもいないし、「分かりづらい」という読者がいるのは承知で書いているはずだ。
でも、橋本さんは、そんな読者に「じゃあ、読むのやめれば?」とは言わないし、「ついてこれる人だけ、ついてきなさい」とも言わない。
たぶん、「十分には分からないけど、でも、橋本さんでなければ展開する人はいない論旨であり、やはり読みたい」と答える読者が大多数じゃないんだろうか。
とにかく、「人のあり方」に軸を置くこのシリーズが、この最終巻も含め、泥沼化する近代産業社会への強烈なカウンターパンチであることは確かだ。
残念ながら、来年春の<休刊>が決まった雑誌『広告批評』で、11年にもわたって連載が続いてきた、時評エッセイの最終巻だ。
連載自体は最終号まで継続されるのだが、単行本としてはラストになると、橋本さん自身が書いていた。
この2年ほどの間に起きた、食品偽装、サブプライム問題、そして秋葉原無差別殺傷事件などが論じられている。特色は、「人間」にフォーカスされていること。
例によって、決して分かりやすい内容ではない。いや、それは正確じゃないな。「テレビ的な分かりやすさ」のようなものを、橋本さんは目指してもいないし、「分かりづらい」という読者がいるのは承知で書いているはずだ。
でも、橋本さんは、そんな読者に「じゃあ、読むのやめれば?」とは言わないし、「ついてこれる人だけ、ついてきなさい」とも言わない。
たぶん、「十分には分からないけど、でも、橋本さんでなければ展開する人はいない論旨であり、やはり読みたい」と答える読者が大多数じゃないんだろうか。
とにかく、「人のあり方」に軸を置くこのシリーズが、この最終巻も含め、泥沼化する近代産業社会への強烈なカウンターパンチであることは確かだ。
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