碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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安倍サンも福田サンも選にもれた「日本の歴代権力者」

2008年10月29日 | 本・新聞・雑誌・活字
まだまだ株価は下がり続けていて、どこまで落ちるか分からない。私のような経済オンチの無株者(?)でさえ、「アメリカをリーダーとする資本主義体制」だの、「近代高度産業社会」だのが、ダメダメ君になっているのを感じる。

それに、こちらの国では、麻生サンがまだまだ解散しそうにないし、食品問題も連続技だし、かなりトホホな状態だ。

で、小谷野敦さんの新著『日本の歴代権力者』(幻冬舎新書)。 

ここには、古代から現代まで、約1400年間の権力者126人が列挙されている。しかも天皇は一人も登場しない。

小谷野さんによれば、日本における権力者は天皇でない場合が多く、将軍や総理大臣でさえそうでなくなるという。

この「多重構造」こそが、この国の特徴なのかもしれない。

各人に関するコンパクトな解説文に潜む、“寸鉄、人を刺しちゃう”ような、鋭い言葉たちが光る。

「現代編」には、戦後の首相の中から15人が選ばれているけど、安倍サン、福田サンなどは登場しない。そんな彼らがトップにいた、この数年って一体・・・。

面白いのは、首相経験者以外で小沢一郎サンが入っていること。しかも、解説には「首相になる機会をことごとく失ってきた」とある。

今度はどうなのかねえ。首相になったとして、アメリカ丸と共に、仲良く沈んでしまいそうなニッポン丸を救助できるのか、どうか。うーん、悩ましい秋だ。

日本の歴代権力者 (幻冬舎新書 (こ-6-2))
小谷野 敦
幻冬舎

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