ある晴れた日に第196回
月曜から金曜までは障がい者ホームで過ごし、土日は自宅で暮らす君。
土曜日はミニストップでお弁当を買って、自販機でお茶を買ってから、家中の100円玉を製造年別に整然と並べる君。
日曜日にはミニストップでお弁当を買ってから、自販機でお茶を買ってから、小学6年生のときの授業日程を大きな模造紙に何枚も書きまくる君。
そして大好きなトマトシチュウを何杯も何杯もお代わりしては、何回もトイレへ行って巨大なウンチに変える君。
そんな君が、きょう誕生日を迎えた。
なんと四〇回目の誕生日を迎えた。
君の大好きなチョコレートケーキの上に、四本の蝋燭を立てて火をつけ、
部屋の電気を消してから、私たちは大きな声で歌った。
HAPPY BIRTHDAY TO YOU!
HAPPY BIRTHDAY KOU-KUN!
すると四〇歳になったばかりの君は、私に向かってこう言った。
「お父さん、僕を怒ったり、注意したりしないでね。僕をちゃんと可愛がってね」
HAPPY BIRTHDAY TO YOU!
HAPPY BIRTHDAY KOU-KUN!
おお耕君、父は約束するよ。約束するとも。
君をぜったいに怒ったり、注意したりせずに、ちゃんと、ちゃんと、可愛がることを。
HAPPY BIRTHDAY TO YOU!
HAPPY BIRTHDAY KOU-KUN!
