音楽千夜一夜第343 回
哀れDECCAレーベルに吸収され今は亡き蘭の名門PHILIPSレーベルの名盤を集めた55枚組CDを、やっとこさっとこ聴き終わったずら。
縦糸として通っているのはやはりハイティンク指揮コンセルトヘボウ管弦楽団のブルックナー、その周りにゲルギエフやマルケヴィッチ、コンドラシン、マリナーなどの指揮者、 ハスキルやブレンデル、アラウ、リヒテル、コワセイヴィッチ、内田光子などのピアニスト、イタリアSQ、ボーザール・トリオなどの室内楽の作品が延々と並んでいる。
このレーベルが素晴らしかったのは、グリュミオーとシェリングという流派の異なる名ヴァイオリニストを抱えていたことで、それぞれのピアノにハスキルとヘブラーを配したモザールのソナタや協奏曲はほんとうに聴きごたえがある。
今となっては舞台裏に消えてしまった演奏家の名前もちらほら見え隠れしているが、超一流ばかりではなく、そういう地味な顔ぶれの演奏に耳を傾けてみるのも一興だろう。
「ウィーンの三羽鴉」なぞといわれつつ尾羽打ち枯らす鴉もあるずら 蝶人