照る日曇る日第1236回
「マカバイ記」の前篇はアメドニアのアレクサンドロスがペルシアとメディアの王ダレイオスを打ち倒すところから始まって、アブボスの子プトレマイオスがユダヤの英雄シモンとその息子たちを殺害し、なおその兄弟ヨハネに迫るところで突然終わってしまう。
その後どうなったのかと急いで後編を読んでも、ヨハネのヨの字も出てこないのはどういうわけだろう。どうやら後編のほうが前篇より前の時代の記述になっているらしい。
いずれにしても、当時のユダヤ民族が東西南北の強国の間を、必死の防戦と様々な外交手段を駆使して、懸命に生き残りを図っていたことがよく分かる。
「知恵の書」は当時の識者が語りおろした神の信者かくあるべしの教訓書で、読んでいてもあまり面白くはない。
「春の花を見逃さず、バラのつぼみがそおれないうちに我々の冠としよう」というのが「不敬虔な者の人世観」として戒められていると、なんと愚かなことを抜かすものよ、とかえって反発してしまうのである。
ア・プリオリに「この人は偉い。跪拝せよ」と言われても頭も心も動かない 蝶人