闇にまぎれて tyojin cine-archives vol.1837~1846
1)アンリ・ヴェルヌイユ監督の「ヘッドライト」
せっかく初老のジャン・ギャバンが離婚して新生活を始めようとぐあんばったのに、堕胎したフランソワーズ・アルヌールは、無理がたたって死んでしまう。
あまりにも可哀想な最期なり。原題は「てんで重要ではない人たち」で内容的にはこっちのほうが良かったずら。
ところでアルヌールちゃんは87歳で健在なんだって。
2)アラン・レネ監督の「去年マリエンバートで」
60年代のヌーボーロマンの旗手とされたアラン・ロブ=グリエが黒沢の「羅生門」にインスパイア?されて書き上げた、訳の分からん脚本に基づいて、アラン・レネが知ったかぶりして撮った。訳の分からぬ映画。
私は1964年にこの映画を見てたまらなく退屈したのだが、ただひとつの収穫はこの映画に出てくるマッチ取りの「ニム」というゲームの必勝法を会得して、一時期友人たちに尊敬?されたことだった。
3)ロバート・ワイズ監督の「アンドロメダ…」
マイケル。クラントン原作の「アンドドメダ病原体」をワイズが丹念に正統的SFの映像にしている。
宇宙から飛来した謎の生命体の侵略と戦う科学者たち。
元娼婦の紅一点が興味深い。
4)クロード・シャブロル監督の「いとこ同士」
田舎から巴里に出てきた糞真面目なブラン勉強少年君を、いとこの都会クロード・ブリアリ青年がもてあそぶが、最後に文字通りの命取りになる。
しかし間に挟まった女もずいぶんな奴だ。でもブランが落ちたのに、どうして勉強のしないで遊んでばかりのブリアリは試験に受かったのかしら。
5)細田守監督の「時をかける少女」
筒井康隆の原作を2000年代の新鮮な感覚でよみがえらせた秀作アニメーション。この原作はこれからもいくたびもリニューアルされていくだろう。
6)マキノ雅弘「ハワイの夜」
鶴田浩二と岸恵子美男美女が大戦前夜のハワイで恋に落ちたが真珠湾攻撃で引き裂かれる悲劇を1953年の現地ロケで。
ぶす可愛い岸と鶴田のラブシーンがぎこちない。
7)ローランド・ジョフィ監督の「ミッション」
スペイン統治下のパラグアイで起こる原住民クリスチャンの悲劇。
ポルトガル領に編勇された原住民たちは奴隷になることを拒否して戦うが、宣教師と共に滅びる。
1986年の英国映画でデ・ニーロとジェレミー・アイアンズが熱演。
8)ジョン・ヒューストン監督の「女と男の名誉」
1985年公開のハリウッド映画で、ジャック・ニコルソン、キャスリン・ターナー、アンジェリカ・ヒューストンが競演。
マフィアの仁義が男女の愛を絞め殺す哀しき宿命をアイロニカルに描く。
恋人を殺してマフィアの次期親分になったニコルソンの心はボロボロだろう。
9)アレハンドロ監督の「バベル」
モロッコ、東京、米&メキシコにおける様々な「事件」を同時並行的三題噺として描くが、そのことがバベルというタイトルが意味するものとどのように結び付いているのかはさっぱり分からない。
ケイト・ブランシェットは血塗れで、菊池凛子はスッポンポンで熱演。
10)ポール・アンドリュー・ウィリアムズ監督の「アンコール!!」をみて
愛妻レッドグレイヴに死なれた孤独で狷介な老人テレンス・スタンプが、合唱の楽しさに触れて第二の人生に踏み出すまでを描く、いかにもな英国映画。
「この一番」というところで負けてしまうそういう人は昔からいた 蝶人