あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

夢は第2の人世である 第141回

2024-11-06 10:34:08 | Weblog

 

西暦2024年水無月蝶人酔生夢死夢百夜 

 

3時28分にケイタイがぶるぶる震えたが非通知だった。それから彼女と手をつないで夜の小道を歩き出したのだが、どんどん道が悪くなって道そのものが無くなってしまったのだが、それでも無理矢理歩き続けていると、突然死んだふりをした中年女が寄りかかるので一喝した。7/1

 

もしかすると、この中年女も、手をつないでいる若い女も、そしておらっち自身も、この世の人間ではなく、冥界の人なのかもしれないが、そんなことを考えても仕方がないので、なおも道なき道を突き進んでいったのよ。7/2

 

部落代表同士で争論しているんだが、おらっちは、今争っている前の段階で、より重要な論点があったことに気づいて、えらく焦っているところ。7/3

 

帰路駅馬車に乗った私は、モーレツな勢いで急坂を駆け降りる最中に岩にぶつかって空高く飛び跳ねる馬車に驚いて、降りるべき駅で降りられず、取引先に契約違反で訴えられたりしたのだが、それどころではない、命あっての物種だったのだ。7/4

 

一死一塁でおらっちに打順が回ってきたのだが、おらっちはジャッジや大谷ではないので長打狙いを捨てて、あわよくば自分も生きられる犠打的な単打狙いに切り替えた。7/5

 

フロイトか誰か精神分析の専門家が、入門書の中でインタビューに答えながら、「無意識」についてとてもいいことを語っていたのを思い出して、その本を探しているのだが、どこにも見当たらない。7/6

 

長い欧州旅行を終えてしばらく経った頃、ヴェネチア書房という本屋から、手数料を払えという督促と請求書がきたが、なんのことやらさっぱり分からないので、ほったらかしにしている。7/7

 

わがホテルの従業員たちは、ホテル内に1つの組合本部と、1つの空き部屋を労働組合の権利として確保していたのだが、思うことあって組合の書記を辞めた私は、もう宿泊施設として利用できなくなってしまった。7/8 

 

あらゆる映画のエンドシーンを作り直すことになったので、製作会社は、てんやわんやの大騒ぎだ。7/9

 

前歯の犬歯がひどく痛むので、朝一番でキシモト歯科に電話しなくちゃと思っていたが、不思議なことに、いつのまにか痛みが去ってしまったのよ。7/10

 

全国136か所の貿易港にミサイルが撃ち込まれるのを、あんぐり口をあけて鑑賞していたが、いきなり自分の背中で爆発したのには驚いた。7/11

 

夕方夫と共に公園を散歩していた妾は、突如見知らぬ暴漢数名の襲撃を受け、夫婦で防戦したものの、2人共大怪我をしてしまった。いったい彼らは何者だろう?7/12

 

それが景物であろうが、動植物であろうが、私が丁寧にスケッチすると、その図絵が、たちまち「そのもの」になるのでした。7/13

 

おらっちが、なぜか世界的に権威がある「日本賞」を受賞したので、日本中がニッポン・チャチャチャだった。7/14

 

純白のドレスを纏ったブロンズ新社のワカツキさんが、南青山の洒落たお菓子屋さんの庭で、一心不乱に読みふけっていた。昔ながらのオカッパ頭で。7/15

 

烈女の誘いに乗るとか、いっちゃん洒落たレストランの料理を口にするとか、おいしそうな夢の中に入っていくと、碌な結果にならないことが、よーく分かったずら。7/16

 

エレベーターとは何をする機械か、てんで分からなくなった老人たちは、思い思いに大小便をしたり、告解したりしている。7/18

 

我は凸凹中学校の代用教員だったが、教頭の不祥事で、修学旅行が中止になる噂を耳にしたので、勝手に子供らを引率して、日本全国遊覧の旅に出たのであった。7/19

 

革マルのナリオカが、いうに事欠いて、偉そうに「お前たちはインポだ」と決めつけのだが、おらっちは、そういう夫子自身が間違いなくインポなのだと思うに至った。7/20

 

明日の本番を前にして、主役のオセロが降板することになったので、みんなで少しずつ分担することにしたが、本来の役との区別を付けられないので、観客は大いに戸惑ったようだったが、そのうちに斬新でシュールな演出だと思ってだんだん納得してくれたようだった。7/21

 

報国寺の裏道を歩いていたら、川原という表札が出ている寂しそうな家があったので、カワハラアキコさんのお宅ではないのかと思ったが、もうこの世の人ではなさそうなので、諦めて通り過ぎた。7/22

 

馬鹿殿のドラ息子であるおらっちは、酒煙草ヤク女遊び革命ゴッコまで、ありとあらゆる悪さをやりまくったのだが、世話係のジイだけはいつもやさしく見守ってくれたのよ。7/23

 

学校の試験問題は、決められた時間内に、決められた形式で回答しなければならなかったが、それからおよそ50年後に正しく答えられた問題もあった。7/24

 

町内会から推薦されたウザッタイ元悪童が、あれよあれよという間に保守党と右翼の大物にのし上がって、夜郎自大な専制政治を独裁している。7/25

 

「水爆実験で繰り返し爆破されながら、残骸を悉く集積しましてね、こいつを再利用して何とからなんかいなと思っていたら、さる奇特な方が現れて、これで素敵な別荘を造ってくれませんかと仰るんですよ。」7/26

 

そとほり姫を、決して陸地にあげないよう、あらかじめ取り決めてあったのが、幸いした。7/27

 

わが市では、戦後70年間イスラエルと友好条約を結んでいたが、この夏市長と全議員の勇断の元、そいつを一方的に破棄してガザ市とのそれに切り替えたのよ。7/28

 

「南に急行すれば、船が壊れて破滅する」という長老の予言を退け、わいらあゆっくりと帆先を南に向けた。7/29

 

ここ沖縄のナンタラ記念館で、おらっちは、日本人のお面を引っ剥がされて、醜いヤマトンチュの顔貌と、ひたと向き合う羽目に陥ったのよ。7/30

 

打ち上げ失敗が相次ぎ、仕方なくおらっちは、愛する虎の子の女性宇宙飛行士を、最後の有人ロケットに搭乗させる羽目になったので、管制塔の秒読みが、気になって気になって仕方がないのです。7/31

 

障害の息子を背負いて来た筈が息子に負われて来たる道なり 蝶人


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