あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

降旗康雄監督の「鉄道員(ぽっぽや)」を見て

2012-09-17 09:37:56 | Weblog


闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.309


降旗監督と木村大作、そして主演の高倉健の組み合わせはつねに妙に男子的であり、重厚長大にして鈍重であり、軽妙さとスマートさに欠け、例えば小津作品には流れている普通さや自然さが皆無であり、あまりにも日本的な湿度が高すぎるので、見ていて嫌になることが多い。

この作品でもそれは共通しているが、最後のクライマックスがあまりにも激烈なので、その涙、涙また涙の衝撃があらゆる七難を覆い隠して劇的な感動を与える。浅田次郎は本当に隅に置けない作家だ。

広末涼子は儲け役だが、あれではまるで痴呆のようで到底演技とはいえないし、こういう題材にうってつけのはずの大竹しのぶも随分控え目な演技だ。坂本龍一の主題歌は彼ならもっと出来る筈だが、いろいろ試行錯誤してこの線でまとめたのだろう。

この人の音楽は、どれも頭で考えた音楽なので良い作品であってもそれが気になるので自他ともに愉しめないのが最大の欠点。武満にもそういうところがある。なお坂本の娘美雨の歌唱はお母さんと違って絶望的に下手くそである。

音楽ついでにいうと、全体を通じて高倉健の妻だった江利チエミの持ち歌「テネシーワルツ」が頻出するがこれはどういう次第だったんだろう。


迷蝶のさして迷わず飛びゆけり 蝶人

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