納得すること

森亘先生の、病理解剖の目的のひとつが、”納得すること”である、というお話にいたく感激したということを書いた。
そのとき、森先生は「医療の限界を知ること」の大切さも強調しておられた。
”医療”とは何か。

私たち病理医もそれなりに”医療”を知ることはできる。
だが、”医療”とは、医療格差、医療経済、医学研究、感染症など社会全体を含めたもっと大きなものだ。

医師不足ひとつとっても、なぜそのような事態に陥っているのか、誰も真剣に考えない。儲からない、きつい領域に進む医者が少ない。それは、なぜ、儲からなくて、きついのか？”医は算術”とは昔から言われている訳で、なぜ、”医を仁術”にできないでいるのか。

かくいう私にしても、どのようにして我が国の”医療”、人類の”医療”に関わっているだろう。理想と現実の間にある泥沼の中で”医療の限界”というものを知っていく努力をしていくしかないのだろう。