診断をしていて、ふと我に返ってモニタの右下の時計を見ると17時半だった。
「もう、こんな時間か。迅速(診断)が14時過ぎだったから、それが終わってから2時間半。あっという間だなー」と思いながら、少し伸びをする。窓の外はまだ明るい。あっという間に春が来ている。
病理の検査技師と世間話をすることもなく(技師さん同士も無駄話はしていない)、半日が過ぎる。
臨床医は患者さんのみならず、いろんな人と話しながら仕事をする。ところが病理医は誰とも口をきかず、もくもくと仕事をやっているけど、こんなのって平気なものなのかなと思うが、たぶん平気なのだろう。こうやって、顕微鏡にしがみついて、所見を導き出して、診断を決め、診断書を必死に書く。そんな病理医の仕事が好きなんだろうなと気がつき、好きな仕事をやっていられることがちょっと嬉しくなる。
そして、気を取り直して、まだまだ片付かない標本の山に戻る。
この職場もあと少し