こんな気持ちでいられたら・・・一病理医の日々と生き方考え方

人生あっという間、私の時間もあと少し。
よりよく生きるにはどうしたらいい?

副流煙というタバコの罠

2018年12月26日 | いじめ飲酒とタバコとギャンブル

私は40代半ばまでニコチン中毒症で、毎日朝から晩まで常習的に喫煙していた。中毒からの離脱は自力でできたけど、結構時間はかかったし、いろいろ悩み、苦労もした。なんとかタバコ無しでも生きていられるということを理解し、この10年は吸っていない。最近タバコの煙、すなわち副流煙のことが心配になってきた。こちらにもニコチン、タール、一酸化炭素ほか多数の発がん物質が含まれている。何より心配なのは副流煙のせいでニコチン中毒が生じてしまうかもしれないということ。そう、副流煙にはタバコの罠が仕掛けられているということに気がついたのだ。

タバコを常習的に吸っている人から吐き出される副流煙中のニコチンを常習的に吸わされていたら、吸わされるほうもニコチンを吸収してしまうということになる。主流煙(喫煙者が吸う煙)の3倍近くのニコチンが副流煙に含まれているそうだ。そうすれば、当然のことながらニコチン中毒に陥る可能性が高い。

「俺も吸ってみようかな?」そんな感じで、喫煙者の輪は広がっていく。もしかしたら、かつての私の友人で、私がきっかけとなった人がいるかもしれないと思うと、心が痛む。もしかすると、駅のホームで毎朝私の吐き出した煙をすわされていた人の中にそういう人がいたかもしれない。

「親父が吸ってるタバコ、面白そうだな」ということで、軽くニコチン中毒になっている中坊が吸う最初の1本は親父のタバコで、それが見つかって親父に殴られる。考えてみると無茶苦茶な話だが、昔は副流煙なんて気にもしていなかった。子供のいるところで、親は絶対にタバコを吸ってはいけない。時々、タバコの煙を子供に吹きかけている親がいるが、あれは虐待だ。

「あなたの吸っているタバコ、私も吸ってみたいな」私の周りの女性喫煙者がタバコを始めたきっかけは、付き合っている喫煙者の男性のタバコが最初だったという人が少なくない。そういう女性にとって、喫煙はかつて付き合っていた男のニコチン中毒という影をニコチン中毒(=喫煙者)という形で引きずっているということになる。物理的に別れていても、ニコチン中毒という形で昔の男が潜んでいるということになる。そんなことを問いただしても認める女性などほとんどいないだろうから、有無を言わさずやめてもらうように頼むか、そのことが我慢できなけれが別れたほうがいい。

友人、親族、恋人、なんでもいいけど、そういう身近な人が振りまく副流煙の中のニコチンにも中毒症状を発症するメカニズムが隠されている。

私は今ではニコチン中毒からはほぼ離脱できている、というかニコチンがなくても生きていられるが、一体いつどこでタバコに手を出してしまうことになるかいつも不安だ。一緒に飲んでいる人が喫煙者であったりすると、その人のタバコをもらいたくなる気持ちが起こらないわけではない。アルコールはニコチンとの親和性が高いので、副流煙中のニコチンがアルコールの力で体内に吸収され、さらにアルコールのせいで前頭葉機能が抑制されて気がでかくなってしまって、「一本ちょうだい」と言って、つい吸ってしまうということは十分起こりうるのだ。

今年の忘年会はあらかた終わったところだろうけど、年明けにだって酒を飲む機会はいくらでもあるので、気をつけないといけない。ニコチン中毒でない人(非喫煙者)は、副流煙のそばすなわち喫煙者のそばにどうやったら近づかないで済むかを考えたほうがいいだろう。

ニコチン無しでもあなたは生きている

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
やっぱりそうなんですね (コロ健 to きらきら星さん)
2018-12-30 20:48:13
あー、やっぱりそうだったんですね。この前、ある人に、「お子さんはすくすく育ってる?」と聞いたら、「ええ、おかげさまで。でも最近、喘息みたいになってきていて、ケホケホやってます」と軽く応えられ、『それって、あんたがタバコ臭いからじゃないの?』と言いたかったんですが、3次があるのか確証が持てず、口をつぐんでしまいました。その人に会うたび、臭く、離れた後でも臭く、匂いが移ってくるので私自身が参っています。なかなか離れることができない相手で困っています。
それにしても、そのお子さんが気の毒です。
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3次 (きらきら星)
2018-12-30 18:41:29
1次は喫煙者 2次は副流煙 3次は。。。
喫煙者の衣服についている有害物質。欧米では大問題になってます。家に帰ると室温や本人の体温で衣服についている有害物質が出てきます。周りの人や抱っこしている乳幼児も肺に吸い込みます。喫煙室の壁が黄色くなっているのを見れば、想像できるでしょう。この物質が一番有毒らしいです。政府はこの事実をなぜか公表しません。石綿の有害性を昭和35,6年頃大学の講義で聴いた記憶がありますが、何の対策も取らず、今頃になって。。。。     煙草の有害性もこの程度の対策で終わりでしょうか。
 
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私もビックリ!! (コロ健 to リディアさん)
2018-12-27 21:40:50
こんばんは。
副流煙のことが気になって調べてみたら、”主流煙を1とした場合、副流煙にはニコチンが2.8倍、タールが3.4倍、一酸化炭素が4.7倍も多くみられます(厚生労働省『喫煙と健康』第2版)”というじゃないですか、驚きです。
分煙といってもタバコの匂いはどこからともなく漂ってきますからね。そんな中にも有害物質がふくまれていますから、厄介です。
タバコは百害あって一利なし、どころか周りの人を巻き込む最悪の存在です(もちろん、麻薬はもっと始末に負えませんが)。
考えれば考えるほど、税金を払わせた上に、国民の健康を奪ってきた国を憎く思います。タバコのせいで肺がん、呼吸疾患、心臓疾患が増えて健康保険が破綻しそうになっているのに、タバコをやめない政治家、役人が少なくないのにも閉口します。
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こんにちわ(^-^)/ (リディア)
2018-12-27 16:17:36
コロ健先生、お疲れ様です!
禁煙歴10年なのですね。
私は、タバコを吸わなくなって、
まだ半年ですが、、、(涙) 
先生を見習わせて頂いて、 
これから先も、
禁煙は続けて頑張るつもりです。
毎朝の通勤途中、
副流煙が気になるので、
風下に立つと、副流煙が直撃する為、
風上へ移動するようにしております。
ニコチンは、
副流煙の中にも含まれているのですね。
てっきり、発ガン物質だけだと思ってました。
ニコチン中毒になる危険性を伺い、
今、喫煙されてる方々が、
所定の喫煙所を利用して下さって、 
しっかりとした分煙化の環境になってくれることを、
願うばかりです。
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