火災は、それまであったものを全て焼き尽くす。そして、その後には何も残らない。
沖縄那覇の首里城が火災に遭い、多くの大切な建物が失われたそうだ。私が首里城を訪れたのは5年前の秋。病理学会総会の合間を縫って丘を登った。その時はまだ修復中だったが立派な建物だった(沖縄、広島、長崎 - 2014年11月24日)。
後世に残していかなくてはならない大切な文化遺産が失われたということは心が痛む。そして、多くの沖縄の人にとっての誇りであった貴重な記憶が失われてしまったことは悲しみを増幅させる。ささやかなものとはいえ、私の記憶も炎とともに失われてしまった。
(朝日新聞デジタルより)
パリのノートルダム大聖堂が灰燼に帰したのが今年の4月だった。
姿形あるもの、いつかはそれが失われるとわかっていても、それらが失われないように努力する、すなわち失われないための投資をするということも受け継ぐ人間には求められる。
悲しみだけが残った