今日もいい天気。
横須賀線が西に向きを変える大船駅手前の大きなカーブから見える富士山が、少し前より黒っぽく見えるのは一度積もった雪が溶けてしまったのだろうか。
などと今日も前振りから書き出してしまうと、ついいつものペースになってしまう。
大体は天気から始めて、本題にはいる。
本題といっても折々に思いついたこと、仕事のこと、普段から関心を持っていることについてのニュース、重大事故事件について考えたことを書いているうちにあっという間に3、40分経ってしまう。
普段考えることというのは、漠然とした塊のようになっていて、それを文字化するのは病理医という仕事に通じるものがある。
病理診断の診断文というのは、所見を病理医でない医師が読んでもわかるように”書かれていなくてはならない”。
したがって使うのは総論的な用語までにとどめ、あとはわかりやすい言葉を繋いで診断書を完成させる。
だから、自動販売機のようにお金を入れてボタンを押したら診断がポンと出てくることなどない。
病理診断が求められる組織というのは、ほとんどの場合そこに何らかの病変が含まれていて(含まれていないことを証明することを求められることもあるが)、それを診断書という形にしなくてはプロ(専門医)とは言えない。
例えば、一昨日の皆既日食で見えた地球の影の映った月の姿を表現するにはどうするだろう。
私だったら、
Moon and Uranus, 15 minites after total eclipse, binocular observation
Eclipse of lunar and Uranus
検討したのは地球による皆既月食が終わってから、15分後の月です。地球の影が月の右側のほぼ半分に認められます。左側は白色調に輝いています。背景の星は皆既食の時点に比して不明瞭です。月表面の形状は皆既食の時点ではわかりやすかったものの、凹凸を確認することは困難です。地球の食に入っている部分の右下には青紫色の点が認められ、天王星と考えられます。以上の所見は極めて稀な、皆既月食+月による天王星食と考えられます。
なんて書くのかもしてないが、それでも皆既月食とか天王星食という、食ということの最低限の知識がないとわからないことで、こういうことが基礎的な医学知識、総論的なこととなる。
私は天文学音痴なので、なぜ天王星が青紫に見えるのか、食の方向が斜めに進むのかなどの知識はないから、上記の”診断文”では詳細に触れておらず、こんなことでは診断書を責任を持って出すことのできる"専門医"すなわちプロとは言えない。
それはさておき、今抱えているある腫瘍の診断をどのようにしたらいいか悩んでいる。
組織像は目の前にあるかのようにありありと浮かんでいるのだが、なかなか文字化できないでいる。
これはおそらく大量の視覚情報がここに理解されておらず、多くの情報が並列状態にある(月と天王星が同時に見えている状況)せいで、このあと見えているものの重要度に従って文章を整えていかなくてはならない。
ああまた時間を使ってしまった
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私自身、昨年から何度も大腸や胃などの組織検査「好酸球」をやってますが、、、。
関東の病院では分かりませんが、
コチラでは、
病理診断の結果をドクターだけ確認するのではなく、
患者さんの前で、読み上げられて知らせるケースが多いと思います。
難しい言葉とかは、ドクターが補足される時もあれば、
患者自身が、詳しい説明を求める時も。
これは想像ですが、
病理医→臨床医→患者となれば、
伝言ゲームのように、
微妙にニュアンスも変化して受け取る場合があるからだと思います。
ドクターが、
「病理の○△先生が書かれた結果ですが、、、」と、
パソコン横のモニター画面に、
病理診断の結果を読めるように大きく映し出されてます。
なので、
いつも全文を拝見させてもらってる感じです。
お顔は拝見したことないですが、
○△先生!と毎回、お名前を伺っております。
好酸球はいろいろな局面で出てくるので病理医として評価するのもすごく難しいんです。
病理外来で患者さんに直接説明しようと思っても上手に伝わるかわかりません。
その点担当の先生が病理医の書いた専門的な診断書を、ご自身も理解しながら解説してくれたら、よく伝わるかもしれませんね。
それをするには臨床の先生もよく勉強しなくてはならないし、私たち病理医ももっと勉強しなくてはいけませんね。
気楽に頑張ってくださいね、応援しています。