せっかく高い金を出して医者になったのだから、さあこれからは稼ぐぞ!と、闘志を燃やす医者は多いし、そもそもそのために医者になる人も少なくない。まだまだ駆け出しの若い医者が、あれこれ小遣いを稼ごうと、勉強そっちのけでバイトに精を出しているのを見ると、残念な気持ちになる。自分の価値が医学部に入るまでの勉強で止まっていることを自覚しないでいるのだろうと思ってしまう。
自慢ではないが、コロ健、中堅私立医大の出身で、学生時代それほど勉強もしなかった。これではいけないと思って、仕事が勉強というか、勉強が仕事のような病理医になった。それでもあまり勉強しないできてしまったので自分のことはあれこれ言うことはできない。ただ、勉強をしている臨床医と勉強していない臨床医の違いは見えるようになった。
研修医レベルでも幅広く勉強している医者は優秀なことがわかる。そして、国家試験がすべての目標だったというような医者はそれまでということもわかる。ずいぶん立派な大学を出ているのに、返事だけで乗り切ろうとしているのをみると情けなくなる(返事すらできない者もいるが)。大学受験、国家試験勉強などは要領で乗り切ることができても、医者の勉強はそうはいかない。若いうちは、発想が豊かでいろいろ発展していくことができる。臨床の現場で経験を積むとともに、論文をたくさん読んで、よく勉強してほしいと思う。日本の医療の将来は、あなたたちにかかっているのだから。
今があなたのスタートライン