こんな気持ちでいられたら・・・一病理医の日々と生き方考え方

人生あっという間、私の時間もあと少し。
よりよく生きるにはどうしたらいい?

日本における女性の立ち位置(1)・・・女性にワンオペを押し付ける社会

2017年07月10日 | 愛と女性とジェンダーと

一億総活躍社会の名の下、日本の女性には、男性と同じように勉強して、大学を目指し、さらに就職して、仕事をして、結婚して、仕事をしながら子供を産みそして育て、さらには親の介護もすることが求められている。もちろん、旦那の身の回り、食事の面倒を見るのは当たり前。あれをしろ、これもしろ、そしてそれぞれできて当たり前、なんていうことは土台無理な話だ。私にはできない。さらに酷いのはどれかがうまくいかなかったら、それは女性の責任となることだ。

子供がグレた。旦那が浮気した。介護をしなければ鬼嫁。女性にとっては四面楚歌。

”ワンオペ”という言葉がある。ワン・オペレーションとは、”人手が不足する時間帯(特に深夜)を中心に、外食チェーン店などで従業員を1人しか置かず、全ての労働をこなす行為をさす”。日本の病理医も”一人病理医”という、病院に一人しか配置されない場合が多く、その言葉の意味はよくわかる。

どのような仕事でもそうだが、ワンオペを続けていたら、仕事は追い込まれてしまうことが少なくない。一人病理医だと、診断の難しい症例に当たった時、相談できる人がいないと、もうどうしようもない。せめて背中を押してくれる人がいたらそれだけで十分なのだけど、そんな人がいないものだから不安が募り、精神的に参る。仕事量も半端でないので、ルーチンワークに迅速診断や剖検が加わったりしたら、もうどうしようもない。

日本の女性に求められていることは、日本の病理医に求められていることに通じている。

そんなワンオペ人生を求められている日本の女性。ワンオペ育児に耐えて子育てするテレビCMが批判を浴びていたけれど、たしかに私がこれまで出会ってきた働く女性の多くは育児の大部分を担っている。これは、日本の歴史上培われてきた文化なのだろうか?農作業では力仕事が主となるから、土を耕したり、収穫したりといったことは外で男性が担い、女性は、家で赤ん坊を背負いながらできることをする。ということの延長上のことなのか。その歴史は日本人のDNAとして刷り込まれ、男女の棲み分けとして定着している。これまでは互いにそれでうまくいっているように見えていたのだが、力仕事が機械に取って代わられて男性が力を発揮するべき場所は今やほとんどなくなった。それでも、ホワイトカラーとして男性は外に出ることを当たり前のように続けている。

そして、”家事は女性の仕事”と決めつけ、育児、介護を含めた家事一般を女性に押し付け、さらには人手不足を解消するための仕事までおも押し付けるような社会となっている。これでは、女性は気の毒だ。プロを別とすれば、今や、男女間で差が生じる家事というのはほとんどない。どうして全ての女性が、家事一般ができるのが当たり前、男性は何もできなくても許されるということになってしまったのだろう。これは、男性が面倒なことをやりたくないという口実のもとで”文化”を仕立て上げ、それを維持しているからではないか。

そうしてきたことが、戦後日本の歴史であるというのであればそれを受け入れるしかあるまい。でも、その結果は少子化という、種として最悪の結果を招いた。

明日に続く)

家庭にいたい男性もいる(はず)

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2 コメント

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こんにちわ (リディア)
2017-07-11 13:18:51
コロ健先生、
女性の代弁して頂き、嬉しく思います。

人間、一人で抱えると、
どうしても、
身体や心の何処かに、
歪みが生じてしまいます。
周りのサポートや、理解があれば、
もう少し、
女性も、生きやすい社会になると思うのですか。
返信する
そんな大それたことは (コロ健 to リディアさん)
2017-07-11 19:32:04
こんばんは、
代弁だなんて、そんな大それたこと考えてはいません。でもね、ちょっと最近の風潮、おかしいなと思って。男女平等というのなら、基本的な考え方から整理し直さないといけないように思うのです。
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