原発依存から再生可能エネルギーへ 欧州諸国が転換
福島第1原子力発電所の事故が深刻化し、不安が広がるなか、原発に依存したエネルギー政策の是非が根本から問われています。欧州諸国は、地球温暖化対策も視野に入れて、再生可能エネルギーを活用する戦略へ転換を図っています。
欧州連合 2020年まで20%目標
欧州連合(EU、27カ国)は2010年3月に発表した、今後10年間の成長戦略「欧州2020」で「三つの20」を確認しました。
2020年までの目標は、①二酸化炭素などの温室効果ガス排出量を1990年比で20%削減する②総エネルギー消費に占める再生可能エネルギーの割合を20%にする③エネルギー効率を20%引き上げる―です。
2009年のEUにおける総エネルギー消費に占める再生可能エネルギー発電の割合は9%(うち63%が、木材などを利用するバイオマス発電や廃棄物発電)。欧州委員会は各国の目標提出を義務付け、27カ国中10カ国が超過達成、12カ国が達成の見込みで、EU全体として20・3%の達成が可能だとの見通しが示されました。
しかし今年(2011年)1月31日、エッティンガー欧州委員(エネルギー担当)は、目標達成のためにはこの分野における投資を、現在の年間350億ユーロ(1ユーロ=約120円)から700億ユーロへと倍増させる必要があると強調。加盟国間の協力(単一市場における電力供給など)の促進で、100億ユーロの節約は可能だと指摘し、加盟国にいっそうの努力を求めています。
ドイツ 地球温暖化対策の柱に
ドイツは、危険な原発の代替エネルギーとして、また地球温暖化対策の柱として、再生可能エネルギー開発に取り組んできました。
独政府が2000年に施行した「再生可能エネルギー法」は、風力発電、太陽光・太陽熱、バイオマス、水力などの再生可能エネルギーが2020年までにドイツ全体の発電量に占める割合を20%以上にすると規定しました。その後の計画で、2050年までに80%にすることを目標としています。
ドイツで、再生可能エネルギーによる発電量の割合は1998年の4・7%から、2000年に6・4%、2005年に10・5%と着実に増え、2010年には16・8%、1017億キロワット時となっています。
研究では2050年までに再生可能エネルギーによる発電の割合を100%にすることも可能と報告されています。
再生可能エネルギー発電を促進するため、同エネルギーでの発電を電力会社に市場価格よりも高く買い取らせる政策を実施。このため、大きな会社ばかりでなく、町村などの自治体や個人が組合をつくり共同出資で運営する形態も普及しています。
スペイン 太陽光や風力活用
2020年までに域内エネルギー需要の20%を再生可能エネルギーで賄うという欧州連合(EU)の目標に沿って、スペイン政府は風力や太陽光を使った再生可能エネルギーの活用に力をいれています。
山岳地帯、広大な台地、海洋地域に恵まれたスペインには、年間を通じて風が吹き続ける地域が数多くみられます。同国はこの独特の地形を生かして、風力発電を発達させています。その電力供給量は、欧州ではドイツに次ぐ規模です。
スペインの送電網管理会社によると、今年(2011年)3月の電力供給のうち、風力発電の占める比率は21%となり、月別で初めて最大の供給源になりました。風力、水力、太陽光などの再生可能エネルギーによる発電は、全体の約40%を占めています。
また長い日照時間を利用して、太陽光による発電量も増やそうとしています。2006年には、新築・改修する一部の建物について、太陽光発電機などの設置を義務付けました。中小企業や住宅などを対象に、太陽光発電機の設置費用を補助する制度も拡充しています。
EU各国の総消費エネルギーに占める再生可能エネルギーに由来するエネルギーの割合(%)
(欧州委員会調べ)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2011年4月7日付掲載
欧州は本当に戦略的に再生可能エネルギーに取り組んでいるんですね。
原子力に80%を依存しているフランスでさえ、福島第一原発の事故をうけて世論調査で「20~30年以内に電力の原発依存を減らすことを望む人が83%に達した」と、4月5日付のフランス紙「フランス・ソワール」が報道しています。
再生可能なエネルギーの内容はそれぞれの国の気候や地形などに左右されますが、日本なら日本なりの潮力、地熱、風力、太陽光、バイオマスなどに取り組めば、かなりの電力を賄えるのではないでしょうか。
要は「やる気」でしょうね。
福島第1原子力発電所の事故が深刻化し、不安が広がるなか、原発に依存したエネルギー政策の是非が根本から問われています。欧州諸国は、地球温暖化対策も視野に入れて、再生可能エネルギーを活用する戦略へ転換を図っています。
欧州連合 2020年まで20%目標
欧州連合(EU、27カ国)は2010年3月に発表した、今後10年間の成長戦略「欧州2020」で「三つの20」を確認しました。
2020年までの目標は、①二酸化炭素などの温室効果ガス排出量を1990年比で20%削減する②総エネルギー消費に占める再生可能エネルギーの割合を20%にする③エネルギー効率を20%引き上げる―です。
2009年のEUにおける総エネルギー消費に占める再生可能エネルギー発電の割合は9%(うち63%が、木材などを利用するバイオマス発電や廃棄物発電)。欧州委員会は各国の目標提出を義務付け、27カ国中10カ国が超過達成、12カ国が達成の見込みで、EU全体として20・3%の達成が可能だとの見通しが示されました。
しかし今年(2011年)1月31日、エッティンガー欧州委員(エネルギー担当)は、目標達成のためにはこの分野における投資を、現在の年間350億ユーロ(1ユーロ=約120円)から700億ユーロへと倍増させる必要があると強調。加盟国間の協力(単一市場における電力供給など)の促進で、100億ユーロの節約は可能だと指摘し、加盟国にいっそうの努力を求めています。
ドイツ 地球温暖化対策の柱に
ドイツは、危険な原発の代替エネルギーとして、また地球温暖化対策の柱として、再生可能エネルギー開発に取り組んできました。
独政府が2000年に施行した「再生可能エネルギー法」は、風力発電、太陽光・太陽熱、バイオマス、水力などの再生可能エネルギーが2020年までにドイツ全体の発電量に占める割合を20%以上にすると規定しました。その後の計画で、2050年までに80%にすることを目標としています。
ドイツで、再生可能エネルギーによる発電量の割合は1998年の4・7%から、2000年に6・4%、2005年に10・5%と着実に増え、2010年には16・8%、1017億キロワット時となっています。
研究では2050年までに再生可能エネルギーによる発電の割合を100%にすることも可能と報告されています。
再生可能エネルギー発電を促進するため、同エネルギーでの発電を電力会社に市場価格よりも高く買い取らせる政策を実施。このため、大きな会社ばかりでなく、町村などの自治体や個人が組合をつくり共同出資で運営する形態も普及しています。
スペイン 太陽光や風力活用
2020年までに域内エネルギー需要の20%を再生可能エネルギーで賄うという欧州連合(EU)の目標に沿って、スペイン政府は風力や太陽光を使った再生可能エネルギーの活用に力をいれています。
山岳地帯、広大な台地、海洋地域に恵まれたスペインには、年間を通じて風が吹き続ける地域が数多くみられます。同国はこの独特の地形を生かして、風力発電を発達させています。その電力供給量は、欧州ではドイツに次ぐ規模です。
スペインの送電網管理会社によると、今年(2011年)3月の電力供給のうち、風力発電の占める比率は21%となり、月別で初めて最大の供給源になりました。風力、水力、太陽光などの再生可能エネルギーによる発電は、全体の約40%を占めています。
また長い日照時間を利用して、太陽光による発電量も増やそうとしています。2006年には、新築・改修する一部の建物について、太陽光発電機などの設置を義務付けました。中小企業や住宅などを対象に、太陽光発電機の設置費用を補助する制度も拡充しています。
EU各国の総消費エネルギーに占める再生可能エネルギーに由来するエネルギーの割合(%)
国名 | 2005年実績 | 2020年の目標 |
イタリア | 5.2 | 17 |
英国 | 1.3 | 15 |
オーストリア | 23.3 | 34 |
オランダ | 2.4 | 14 |
スウェーデン | 39.8 | 49 |
スペイン | 8.7 | 20 |
デンマーク | 17 | 30 |
ドイツ | 5.8 | 18 |
フィンランド | 28.5 | 38 |
フランス | 10.3 | 23 |
(欧州委員会調べ)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2011年4月7日付掲載
欧州は本当に戦略的に再生可能エネルギーに取り組んでいるんですね。
原子力に80%を依存しているフランスでさえ、福島第一原発の事故をうけて世論調査で「20~30年以内に電力の原発依存を減らすことを望む人が83%に達した」と、4月5日付のフランス紙「フランス・ソワール」が報道しています。
再生可能なエネルギーの内容はそれぞれの国の気候や地形などに左右されますが、日本なら日本なりの潮力、地熱、風力、太陽光、バイオマスなどに取り組めば、かなりの電力を賄えるのではないでしょうか。
要は「やる気」でしょうね。