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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

東日本大震災と日本経済の課題⑤・⑥

2011-04-17 23:32:22 | 震災・災害・復興・地震&災害対策など
東日本大震災と日本経済の課題⑤・⑥

引き続いて、識者の見解を紹介します。

それに先立って、いっせい地方選挙前半戦を終えて、日本共産党が「教訓を生かし、後半戦の前進のために力をつくそう-いっせい地方選挙前半戦の結果について」と、常任幹部会の声明を発表している。

【教訓を生かし、後半戦の前進のために力をつくそう――いっせい地方選挙前半戦の結果について】


その中で最後の(5)の部分が論戦的には重要だ。

(5)大きな目で現在の情勢をみれば、大震災という災厄は、多くの人々の政治にたいする見方を変えるような政治的激動をつくりだしつつあります。少なくない人々から、原発問題などでのわが党の行動と主張に接して、「共産党が長い間言い続けてきたことが真実だった」という声が、伝わってきています。「大企業の内部留保の活用」、「原発の新増設計画の中止」「原子力の規制機関の推進機関からの分離」、「原発頼みから自然エネルギーへの転換」などのわが党の主張が、現実政治を動かし、多くの人々に当然のこととして受け入れられる状況も広がっています。

 3月11日以来の大震災と原発事故は、今後、長期にわたって、その根本的解決が迫られる国民的な大問題となるでしょう。わが党は、その解決の方策を、「東日本大震災にあたっての提言」などで明示しており、それはわが党綱領のめざす「ルールある経済社会」という方向と重なりあうものです。危機のもとで、ジグザグや試行錯誤をともないながらも、国民が政治の真実とは何か、日本共産党の主張にこそ真実があるのではないかという認識を発展させる可能性があります。わが党が、震災から国民の命を守るために全力をあげて奮闘しながら、国民の探求を後押しするために力をつくすことが必要です。

 いまたたかわれているいっせい地方選挙は、そういう長期にわたる大仕事に私たちがとりくむ、最初の政治戦です。綱領的な確信と展望をもって、この選挙を悔いなくたたかいぬくことを心からよびかけるものです。



そうです。兵庫県の日本共産党の組織は、阪神淡路大震災を経験して地道な運動のなかで、被災者救援、住宅再建・生活再建を国が補償していくことを限られた範囲ですが実現してきました。
また日本共産党は、原発の津波や電源確保の危険性については以前から指摘してきました。


それが残念ながら現実のこととなった今、原子力行政の転換、自然エネルギーへの転換、長時間労働や24時間社会の見直しなど低エネルギー社会への転換など総合的な施作が求められます。
経済社会についても、効率優先から、福祉・安全優先の社会に転換が求められます。



大震災と日本経済の課題⑤
識者に聞く
「国民の住いを守る全国連絡会」代表幹事 坂庭国春さん

まち一体の住宅再建
 東日本大震災では、多くの人命が奪われ、人びとは住んでいた街も財産も根こそぎ失いました。福島第一原子力発電所の事故も加わり、多くの人々が避難所での不自由な生活を強いられています。被災者にとって生活基盤である住宅の確保は、緊急かつ最重要課題です。

つながりの重視
 政府は仮設住宅の建設を始めています。仮設住宅は重要ですが、ただ造ればいいというものではありません。1995年の阪神・淡路大震災時など、これまでの震災への対応と発想を全面的に変える必要があります。
 大事なことは、住民のコミュニティーを重視することです。被災者がこれまで居住してきた地域・集落ごとのつながり、人間関係が保たれ、復興が継続的に行われるよう十分に配慮した建設と供給を行うことです。仮設住宅には、住民が集まることができる集会施設を設置することも求められます。
 高齢者や障害者、病弱な人びとに対しては、「ケア付き仮設住宅」を供給することも実施すべきです。仮設住宅だけでは到底闇に合いません。公共住宅や民闇住宅の空き家への移住を促進すべきです。都市再生機構(UR)は、仙台市で2000戸近くの住宅削減を進めようとして、300戸を超える空き家を持っています。民間賃貸住宅の空き家は、岩手、宮城、福島の被災3県だけで10万戸以上あります。政府は、これらの住宅を借り上げ、被災者に提供することです。自力で住宅を再建しようとする人への支援も欠かせません。
 仮設住宅は、あくまで一時的な措置にすぎません。その先にある生活再建、住宅復興をどうするかが大きな課題になってきます。

「住まいは人権」
 第一は、従来の考え方から思い切って脱皮をはかることです。新たな地域・まちづくり、国づくりをめざすという発想の転換が必要です。それを実行する政策も従来の枠を乗り越える必要があります。復興に不可欠な個人補償の抜本的な拡充などが注目点の一つです。
 第二は、「住まいは人権であり、人間生活と福祉の基盤である」という考え方を、今後の復興の太い流れとして貫くことです。人間らしい生活のためには、なによりも住宅保障が必要であるという考え方です。政府、自治体は、そういう視点で住宅政策を行ってきませんでした。そのことがいま問われています。今後その立場に立てば、新たなアイデアも生まれてくるでしょう。
 第三は、住宅の再建を、まちづくりと一体に、住民が主人公の立場で進めることです。仮設住宅の場合もそうですが、もともと住んでいた地域・集落ごとのまちの再生が基本です。農業、漁業など産業の再生と結びついた地域の再建が重要です。阪神・淡路大震災の時は、地域のコミュニティーを引き離す住民無視のまちづくりが進められました。慣れ親しんだまちから遠く離れ、知り合いもいない場所での生活を余儀なくされました。お年寄りの「孤独死」が相次ぎ社会問題になりました。こうした“復興災害”ともいうべきことを繰り返してはなりません。
(聞き手 矢守一英)(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2011年4月13付


大震災と日本経済の課題⑥
識者に聞く

内部留保復興・雇用に
駒沢大学経済学部教授 小栗崇資さん

 未曽有の大災害となった東日本大震災は日本の経済・社会に大きな衝撃を与えています。今後の社会の復興に向けて企業のあり方も問われます。重要なことは、21世紀に入り急激に積み上がってきた巨額の企業の内部留保を社会的に意味のあるかたちで生かすことだと思います。

国内設備投資に
 企業の内部留保をどのように活用していけばいいでしょうか。
 一つは、大震災の復興資金に充てることです。
 内部留保の一部である利益剰余金は、資本金10億円以上の大企業(金融、保険業除く)だけでも143兆582億円(2010年12月末現在)にのぼります。1年問で7兆円余り積み増しました。また、現金預金や有価証券など「手元資金」は約64兆円に及びます。
 大企業がため込んだこの余剰資金に臨時的に課税することが考えられます。大企業に限定した非常時の一時的課税です。例えば約143兆円の利益剰余金に3%課税すると4兆円強の復興資金が生まれます。
 二つめは、国内の設備投資への再投資を促していくことです。
 企業はよく内部留保は設備投資に回っていて取り崩せないと言ってきました。しかし、その多くは国内の設備投資ではなく海外での投資に回されてきました。
 今回の大震災では東北・関東地方の被災地をはじめ多くの工場や事業所が被災しました。必然的に国内での設備投資を増やさざるを得なくなっています。この点では政府の取り組みとして、税制面の対策など企業が設備投資をしやすい環境を整えていくことが求められます。
 三つめは仕事と雇用のために積極的に使っていくということです。大胆な発想でやっていくことが求められます。
被災地での雇用の確保は当然です。関連の中小企業の再建を支援するために人を出すことなども必要です。内部留保を取り崩して非課税の収益とすることを特別措置で認め、雇用や支援の費用として計上できるようにすれば、損益も悪化せず経営に影響しません。
 復興の財源には従来の国債とは別枠で、低利の「震災国債」を発行することも考えられます。それを「手元資金」を潤沢に抱える大企業に引き受けてもらうことは必要でしょう。企業にとっては金融投資の一部ともなるので抵抗は少ないはずです

企業の利益にも
 内部留保の活用は、企業を痛めつけることではありません。企業が復興資金や設備投資、雇用にお金を使うことは、全体としてみれば、内需の拡大にもつながります。それはいずれ企業の利益となって還流していくはずです。
 そもそも、内部留保というのは労働者、国民の労働によって生み出されたものです。国民、国が危機に直面するこの時期に、そのお金を活用することは当然のことです。それは企業の社会的責任でもあります。
(聞き手 矢守一英)(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2011年4月14日付掲載