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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

「農地中間管理機構」法案の問題点① 企業の農業参入優先

2013-11-01 21:57:49 | 経済・産業・中小企業対策など
「農地中間管理機構」法案の問題点① 企業の農業参入優先

安倍内閣は環太平洋連携協定(TPP)に“対応”する農政「改革」の第一歩として、農地の集積による競争力ある農業の確立をめざす農地中間管理事業を創設する関連法案を25日、国会に提出しました。その内容は、財界代表の委員が多い規制改革会議などの議論を色濃く反映したもので、農業や農地のあり方を根本から揺るがす問題があります。
農地中間管理事業は、離農者などの農地を借り受け、必要な場合には基盤整備を行い、その農地の利用を希望する農業経営者に貸し出すことが主な内容です。都道府県に設置される農地中間管理機構(以下「機構」)が実施します。
政府はこの事業で農業の大規模化や農地利用の効率化・高度化を促進するとして、来年度の農水予算概算要求の目玉に掲げるなど、当面の農政の最重点に位置づけています。



整備された水田で稲刈りする農家=千葉県

地域農家を排除
第一の問題は、農地の貸出先について、地域の農業者と農外からの参入企業などで“公平”な扱いを求めていることです。
農水省は当初、地域の農業者が話し合って決める「人・農地プラン」で位置づけられた大規模農家や集落営農が中心になると想定していました。ところが、外からの参入者が不利になるという規制改革会議の議論を受け入れて希望者を「公募」する方法に修正しました。
一方、法案では事業目的の一つとして「農業への参入の促進」を明記しています。これを公募によって選定することになれば、「競争力」が企業より劣るとして地域で頑張っている大規模農家などが排除されることになりかねません。
農業への新規参入者の確保はどの農村でも切実な課題です。しかし、この事業による「参入の促進」で、増加している都会青年の就農希望者などより、「販売力」「資金調達力」ある企業経営が優先されるのは目にみえています。

耕作放棄地外す
第二に、農地の借り入れにあたって条件の悪い農地を切り捨てようとしていることも問題です。
当初、この事業による農地の借り入れが中山間地域などで増えている耕作放棄地の解消に役立つかのように説明され、現場の関係者からその役割に期待する声も出ていました。
ところが、貸出先が見込めない農地を抱えれば財政負担が増えるとして借り入れの対象から排除し、引き受けた農地も一定期間、貸出先が見つからない場合には所有者に戻すことも、法案で打ち出しました。耕作放棄地の解消は、目的から消えてしまったのです。
それどころか、優良農地を希望する企業に差し出すという地域農業振興とは無縁の役割を「機構」が担わされることになりかねません。制度を検討した産業競争力会議で、農業進出をねらう大手コンビニチェーン社長は、優良農地を優先すべきと声高に主張しています。
(つづく)
(日本共産党国民運動委員会 橋本正一)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年10月31日付掲載


離農農家の農地の有効活用の様に見せかけて、大規模生産のできる効率的な農地をアグリビジネスに売り渡すことが目的なのですね。中山間地などの耕作放棄地は対象から外されているのですね。