「農地中間管理機構」法案の問題点② 農家・農業委を排除
地域の権限奪う
「農地中間管理機構」法案の問題点の第三は、事業の推進にあたって「農業の競争力強化」という政府や県の方針が優先され、地域の実態に即した判断や市町村・農業委員会の意見を反映させる保障がないことです。
この事業による農地の貸借は、「機構」が、対象となる農地の地番や面積、借り手の名前などを「農用地利用配分計画」にまとめ、知事が認可し、公告することで権利が発生します。この手続きによって、一般の農地の貸借契約では必要とされる農地法にもとつく農業委員会の許可は不要になります。
そして、この「計画」の作成・決定にあたって「機構」は市町村に案の提出を求め、「必要があれば農業委員会の意見を聴くものとする」とされました。しかし、農地貸借についての最終的な判断は知事にゆだねられ、地域の農業委員会や市町村関係者は排除されています。
これは、度重なる規制緩和でもかろうじて維持されてきた、農地にかかわる農業委員会の許可・関与の仕組みに決定的な風穴を開け、農地にかんする権限を農村の現場から奪うものにほかなりません。

地域の共同で管理する水田の用水施設=千葉県
企業利益が優先
農地は個々の生産者の経営基盤であるとともに、地域社会の貴重な資源です。水田が中心で傾斜地も多い農村で農地を持続的に利用し、農業を維持していくには、大小多様な家族経営による共同が欠かせません。零細で分散した農地の集積にも所有者や住民の理解と共同が不可欠です。
農地法が、農村に定住し、みずから農作業に従事する農民(その共同を含む)の権利を最優先にしてきたのはそのためです。農地の管理を、地域の農業者から選ばれた委員が多数を占める農業委員会にゆだねてきたのも、農業者や住民による自治的な取り組みがふさわしいからです。
このような農地の実態や特徴を無視し、それに精通した農業委員会を排除して、農地の集積や有効利用が進むはずはありません。
「機構」法案は、地域の共同で維持されてきた農地・農業・農村に、もうけを最優先する企業論理を持ち込み、農村の崩壊を決定的に広げずにはおきません。それは、食料の安定供給や農業の持続的発展、多面的機能の発揮を脅かし、大多数の国民の願いに逆行するものです。
(おわり)
(日本共産党国民運動委員会 橋本正一)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年11月1日付掲載
地域性や気候性、農地の地形、農業に従事している農家の方々の生活実態に即した農業施策でなければならないところ、「競争力の強化」を優先されるような施策であってはいけませんね。
地域の権限奪う
「農地中間管理機構」法案の問題点の第三は、事業の推進にあたって「農業の競争力強化」という政府や県の方針が優先され、地域の実態に即した判断や市町村・農業委員会の意見を反映させる保障がないことです。
この事業による農地の貸借は、「機構」が、対象となる農地の地番や面積、借り手の名前などを「農用地利用配分計画」にまとめ、知事が認可し、公告することで権利が発生します。この手続きによって、一般の農地の貸借契約では必要とされる農地法にもとつく農業委員会の許可は不要になります。
そして、この「計画」の作成・決定にあたって「機構」は市町村に案の提出を求め、「必要があれば農業委員会の意見を聴くものとする」とされました。しかし、農地貸借についての最終的な判断は知事にゆだねられ、地域の農業委員会や市町村関係者は排除されています。
これは、度重なる規制緩和でもかろうじて維持されてきた、農地にかかわる農業委員会の許可・関与の仕組みに決定的な風穴を開け、農地にかんする権限を農村の現場から奪うものにほかなりません。

地域の共同で管理する水田の用水施設=千葉県
企業利益が優先
農地は個々の生産者の経営基盤であるとともに、地域社会の貴重な資源です。水田が中心で傾斜地も多い農村で農地を持続的に利用し、農業を維持していくには、大小多様な家族経営による共同が欠かせません。零細で分散した農地の集積にも所有者や住民の理解と共同が不可欠です。
農地法が、農村に定住し、みずから農作業に従事する農民(その共同を含む)の権利を最優先にしてきたのはそのためです。農地の管理を、地域の農業者から選ばれた委員が多数を占める農業委員会にゆだねてきたのも、農業者や住民による自治的な取り組みがふさわしいからです。
このような農地の実態や特徴を無視し、それに精通した農業委員会を排除して、農地の集積や有効利用が進むはずはありません。
「機構」法案は、地域の共同で維持されてきた農地・農業・農村に、もうけを最優先する企業論理を持ち込み、農村の崩壊を決定的に広げずにはおきません。それは、食料の安定供給や農業の持続的発展、多面的機能の発揮を脅かし、大多数の国民の願いに逆行するものです。
(おわり)
(日本共産党国民運動委員会 橋本正一)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年11月1日付掲載
地域性や気候性、農地の地形、農業に従事している農家の方々の生活実態に即した農業施策でなければならないところ、「競争力の強化」を優先されるような施策であってはいけませんね。