きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

進む中小企業振興策 東京・墨田区に見る① 路地回って相談活動

2013-11-27 15:54:54 | 経済・産業・中小企業対策など
進む中小企業振興策 東京・墨田区に見る① 路地回って相談活動

中小企業の振興を図る目的で地方自治体が制定する中小企業振興条例は、全国に広がり、今では26道府県、110区市町(中小企業家同友会全国協議会調べ)に上ります。日本共産党の提案に基づいて1979年、全国に先駆けて制定した東京都墨田区では、多様な支援策が取り組まれています。(川田博子)



「こんにちは、調子はどうですか」―すみだ中小企業センターの技術担当相談員の土井修典(しゅうすけ)さん(71)が、機械の軸受けなどの金属加工をする会社を訪ねました。土井さんは特殊な機械の図面を社長に示し、「この部品を一度作ってみませんか」ともちかけました。

自転車で回る
区内には機械・金属、皮革やニットなどのファッション、印刷・紙器関連の製造業、3705(2012年経済センサス速報値)の事業所が住宅に交じり点在。その6割が従業員4人以下です。
センターが最も力を入れているのが、相談活動です。取引担当と技術担当合わせて17人の相談員が交代で、事業所へ出向く「御用聞き方式」で訪れます。車が通れない路地もあり、自転車で回ります。
事業所からは、自社の開発商品の販売先や各種展示会への出展方法、製品広告の仕方などのさまざまな相談が寄せられます。製品の加工方法や機器の使い方などの技術的な相談もあります。12年度の訪問企業数は1952社にのぼりました。
取引担当相談員の弥冨尚志(いやどみ・なおし)さん(49)は「『複数工程に対応できる企業を紹介してほしい』との区外企業からの取引要望を各企業につなぐなど、受・発注相談に力を入れています」と話します。



金属加工会社の工場長と話す土井修典さん(右)

セミナー開く
センターの建物内でも定期的に、技術や取引相談、融資などの商工相談を無料で行っています。加工や設計技術、測定機器の使い方や経営を学ぶセミナーも開催しています。弥冨さんは「技術力の向上はもちろん、販路拡大や経営や営業力をつけることにも力点をおいています」と話します。
センターは、多方向から素材を加工できる機械や3次元の測定器などの各種工作、測定機械も備え、低額で利用することができます。
墨田区では1977年から2年間かけて、職員180人が製造業約9000社に足を運び、中小製造業と卸売業・小売業の全事業所の実態調査を実施。調査結果を踏まえて施策をすすめる基本指針として中小企業振興基本条例が制定されました。この調査結果が企業台帳として整備され(4年ごとに更新)、今も企業を知る生きた情報として役立っています。
製造業の海外移転や製品輸入、長引く不況の厳しい波のなか、日本の製造業は減り続けています。墨田区でも96年には7033だった製造業事業所は3705に減り、従業員数も減少傾向です。ものづくりの町を守ろうと同センター職員の奮闘が続きます。
(つづく)(この連載は4回です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年11月27日付掲載


センターの職員たちが相談に来るのを待っているのではなくって、実際に事業所に出かけて行って相談に乗るっていうのはいいですね。
事業者がなかなか聞きにくいことも聞き出すことができるでしょうし、なにしろ現場をみることで、別の視点でアドバイスできるでしょうから。