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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

TPP交渉と財界① 工程表配り「参加」策動

2014-04-24 17:01:07 | 経済・産業・中小企業対策など
TPP交渉と財界① 工程表配り「参加」策動

環太平洋連携協定(TPP)交渉をめぐる日米の関税協議が重大局面を迎えています。農業だけでなく国民生活のさまざまな分野に悪影響を与えるTPP。その影には財界の策動があります。
(金子豊弘)

日本国内でTPP協定締結を強力に求めてきたのは経団連をはじめとした財界団体です。2010年10月1日、その強い後押しを受けた菅直人首相(当時)は国会での所信表明演説で「環太平洋パートナーシップ協定交渉等への参加を検討し、アジア太平洋自由貿易圏の構築を目指します」と表明しました。
菅首相の「検討表明」発言を機にTPP参加問題が政治の熱い焦点として急浮上していきます。
同年11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議は日本で開かれました。オバマ米大統領も訪日。同月14日に採択された声明は、TPP協定締結に向けた取り組みに言及しました。当時、日本はTPP交渉参加を表明してなかったものの、菅首相は議長国として「関係国との協議を開始する」と記者会見で発言し、日本政府の積極姿勢を強調しました。



米倉弘昌経団連会長が第2回新成長戦略実現会議に提出した工程表=2010年10月8日

利潤獲得競争へ
APEC首脳会議に先立って経団連は「アジア太平洋地域の持続的成長を目指して」(6月15日)と題する提言を発表し、TPP参加へ政府に圧力をかけていました。
提言は、アジア太平洋地域で多国籍企業が利潤獲得競争を自由に展開できることを求めて次のように強調しました。
「経済活動の広範な分野において高い水準の自由化を目指す包括的でハイレベルな枠組み作りに貢献する必要がある」
さらに「国境措置、国内措置を問わず、聖域を設けることなく、制度・ルールを大胆に見直す必要がある」と提起しました。農産物などにかかる関税については、「関税の削減・撤廃に取り組むべきである」と指摘。“聖域なき関税撤廃”を日本政府に迫ったのです。関税撤廃は、日本農業に壊滅的な打撃をもたらします。
その一方で経団連は、大企業の海外進出に対する保護政策を要求。「投資家対国家の仲裁制度の普及」を求めました。これは、多国籍企業が進出先の政府から「不当な法律や規制で損害を受けた」とみなした場合、国際的な第三者機関に提訴し、それが認められると進出先の国から賠償を得られる制度のことです。多国籍企業による国民主権の侵害をもたらします。

15年まで「完成」
経団連は提言の中で工程表を提示。TPPへの日本の参加と15年までにTPPを「完成」させることを求めました。
経団連の米倉弘昌会長は、民主党の菅政権下で開催されていた新成長戦略実現会議の第2回会合(10年10月8日)でこの工程表を配布。「アジアと米国の橋渡しのため」に日本の「早期参加」を強く求めました。TPPに対するアメリカ側の狙いは、米系多国籍企業がアジア太平洋地域で何の制約を受けることなく自由に活動できるようにすることです。TPP協定締結は、日米多国籍企業の共通の要求なのです。
(つづく)(3回連載の予定です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年4月22日付掲載


日本の農業に対しては聖域なき関税撤廃を迫っておきながら、自らの企業の海外進出に対しては、多国籍企業が進出先の政府から規制を受けた場合は、それがたとえ正当なものであった時も、賠償させることのできる制度を作ろうってことです。
なんとも図々しいことではないでしょうか。