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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

北東アジア平和協力構想 実現への道を探る② キーワードは「一体性」

2014-05-09 20:53:24 | 国際政治
北東アジア平和協力構想 実現への道を探る② キーワードは「一体性」

韓国の朴槿恵(パククネ)大統領が提唱した北東アジア平和協力構想の真意はどこにあるのか―。同大統領の外交アドバイザーの一人で、構想の起案に参加した世宗(レジュン)研究所の陳昌洙(チンチャンス)日本センター長をソウル市内に訪ねました。(面川誠・中祖寅一)

世宗研究所は、安全保障問題で韓国の代表的シンクタンクの一つです。おだやかな表情で出迎えてくれた陳氏は、構想の背景について真剣な口調で語り始めました。
「中国の浮上が激しくなり、いま共通の課題について話し合わないと、対立して本当に破綻するという危機感が強くなっている」「中国の防空識別圏の問題や日本の集団的自衛権の問題によって、目に見える形で対立が先鋭化している。いま本当に行動するべきだという気持ちだ」



陳昌洙(チンチャンス)・世宗(レジュン)研究所日本センター長

長期的な視野で
陳氏が語る構想は、SARS(新型肺炎)などの伝染病、災害救助、環境などの「ソフトイシュー」で長期的視野に立ち、「協力の習慣」と「信頼の文化」の形成を進めることです。長期的視野に立つこと▽課題ごとに多元的に話を進め「認識の共同体」をつくること▽「韓国は主導権を求めない」ことなどを柱にあげます。
キーワードは、「北東アジアとしてのアイデンティティー(一体性)」です。
域内諸国の経済的相互依存関係は増大しているのに、政治と安全保障面での協力は立ち遅れている―こうした問題意識から、足りないのは「一体性だ」と感じたのです。
陳氏はいいます。「よりハードなイシュー、例えば北朝鮮の核問題、日本の集団的自衛権の解釈変更と中国の軍拡など安全保障問題については、ある程度信頼があるときに話をする」

日本の歴史問題
一方、陳氏は、北東アジアに「一体性」が欠けている一番重要な要因について「韓国は日本の歴史問題だとみている」と指摘します。
日本共産党も「北東アジア平和協力構想」で、過去の日本の侵略戦争と植民地支配への反省を「不可欠な土台」と位置づけています。旧日本軍「慰安婦」問題で、日本軍の関与を認め、おわびと反省を表明した「河野談話」を見直そうとする動きにも、志位和夫委員長が正面から反論した見解を発表しました。陳氏は、志位見解について「日本でもっとも良心的な政党だとみんなが理解している」と感想をのべました。
日本共産党の北東アジア平和協力構想について陳氏に尋ねると、こう語りました。「賛成だし協調できる課題だ。災害救助など非伝統的安保の課題も含め、できるところから民間も含め、柔軟に共同することが重要だ」
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年5月1日付掲載


新型肺炎や災害救助、環境などのソフト面での協力と信頼の関係を作っていく、韓国は主導権を求めない…。かなり懐の広い外交を展開しようとしているんですね。