北東アジア平和協力構想 実現への道を探る③ 「日中韓」の枠組みは今
政治面では冷え切ったように見える日中韓3カ国ですが、3力国首脳会談を開催するための枠組みはいまも存在しています。日中韓3国協力事務局です。
3国事務局常設
3月11日、同事務局の岩谷滋雄事務局長(日本)、陳峰事務次長(中国)、李鍾憲(イジョンホン)事務次長(韓国)が都内で共同記者会見しました。李事務次長は日中韓の関係について、長期的には「地理的な近さ、経済の相互依存、文化交流などの前向きな要因が後ろ向きな要因を上回る」と期待を語りました。
3国協力事務局がソウルに常設されたのは2011年11月。1999年の東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス3(日中韓)首脳会議を始まりとする日中韓協力は、2008年にASEANから「独立」して首脳会議を年1回、持ち回りで開催。09年の首脳会議で、「効率的で組織化された体制」をつくるために常設事務局の設置を決めました。
3月には日本で第2回防災机上演習を実施。昨年11月にはソウルでの日中韓保健椙会合で、新型感染症対策で協力する共同実行計画を締結しました。
4月29日には日中韓3力国環境相会合が開かれ、PM2・5問題などで、各国が汚染物質の削減技術提供など、協力関係強化を明記した共同声明を採択しました。

日中韓環境相会合で、共同声明を採択し握手する(左から)韓国の尹成奎環境相、石原伸晃環境相、中国の李幹傑環境保護省次官=4月29日、韓国・大邸(時事)
武力行使抑える
インドネシア戦略国際問題研究センターのイイス研究員(国際政治担当)は、日中韓3カ国の協力枠組みの活用を提案します。「日中韓3国協力事務局は、東南アジア諸国連合(ASEAN)がやってきたことと同様の原型になり得る」と指摘。
「まず日中韓が東南アジア友好協力条約(TAC)のような条約を結びます。これは北東アジアの紛争解決で武力行使を抑える協力的な枠組みです。その発展のために、北朝鮮に条約への参加を呼び掛けるのです」
イイス氏は、北東アジアが難局の中、水面下でもいいから話し合いを始めるべきだと言います。「ASEANのような地域枠組みをつくる出発点となり、安定化に非常に重要な意味を持ちます」
他方、長年ASEAN外交にたずさわってきたインドネシアのスマディ国防相顧問は、成果を急いではならないと忠告します。「一足飛びに友好協力条約を結ぶのは難しいが、まず前段階として政治宣言のような形でコンセンサスを目指す。北朝鮮については、日中韓が何らかの対話フォーラムをつくり、そこに北朝鮮を招待する試みもあり得るでしょう」
(面川誠・松本眞志)(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年5月2日付掲載
「日中韓3国協力事務局は、東南アジア諸国連合(ASEAN)がやってきたことと同様の原型になり得る」というASEANからのメッセージ。
民間でも日中韓の交流があるって事は「しんぶん赤旗」などの報道で知っていましたが、公的な枠組みが存在してたってことは初めて知りました。大いに活用したいですね。
政治面では冷え切ったように見える日中韓3カ国ですが、3力国首脳会談を開催するための枠組みはいまも存在しています。日中韓3国協力事務局です。
3国事務局常設
3月11日、同事務局の岩谷滋雄事務局長(日本)、陳峰事務次長(中国)、李鍾憲(イジョンホン)事務次長(韓国)が都内で共同記者会見しました。李事務次長は日中韓の関係について、長期的には「地理的な近さ、経済の相互依存、文化交流などの前向きな要因が後ろ向きな要因を上回る」と期待を語りました。
3国協力事務局がソウルに常設されたのは2011年11月。1999年の東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス3(日中韓)首脳会議を始まりとする日中韓協力は、2008年にASEANから「独立」して首脳会議を年1回、持ち回りで開催。09年の首脳会議で、「効率的で組織化された体制」をつくるために常設事務局の設置を決めました。
3月には日本で第2回防災机上演習を実施。昨年11月にはソウルでの日中韓保健椙会合で、新型感染症対策で協力する共同実行計画を締結しました。
4月29日には日中韓3力国環境相会合が開かれ、PM2・5問題などで、各国が汚染物質の削減技術提供など、協力関係強化を明記した共同声明を採択しました。

日中韓環境相会合で、共同声明を採択し握手する(左から)韓国の尹成奎環境相、石原伸晃環境相、中国の李幹傑環境保護省次官=4月29日、韓国・大邸(時事)
武力行使抑える
インドネシア戦略国際問題研究センターのイイス研究員(国際政治担当)は、日中韓3カ国の協力枠組みの活用を提案します。「日中韓3国協力事務局は、東南アジア諸国連合(ASEAN)がやってきたことと同様の原型になり得る」と指摘。
「まず日中韓が東南アジア友好協力条約(TAC)のような条約を結びます。これは北東アジアの紛争解決で武力行使を抑える協力的な枠組みです。その発展のために、北朝鮮に条約への参加を呼び掛けるのです」
イイス氏は、北東アジアが難局の中、水面下でもいいから話し合いを始めるべきだと言います。「ASEANのような地域枠組みをつくる出発点となり、安定化に非常に重要な意味を持ちます」
他方、長年ASEAN外交にたずさわってきたインドネシアのスマディ国防相顧問は、成果を急いではならないと忠告します。「一足飛びに友好協力条約を結ぶのは難しいが、まず前段階として政治宣言のような形でコンセンサスを目指す。北朝鮮については、日中韓が何らかの対話フォーラムをつくり、そこに北朝鮮を招待する試みもあり得るでしょう」
(面川誠・松本眞志)(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年5月2日付掲載
「日中韓3国協力事務局は、東南アジア諸国連合(ASEAN)がやってきたことと同様の原型になり得る」というASEANからのメッセージ。
民間でも日中韓の交流があるって事は「しんぶん赤旗」などの報道で知っていましたが、公的な枠組みが存在してたってことは初めて知りました。大いに活用したいですね。