きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

コンビニ 便利さの陰に⑥ 本部が交渉を拒否

2015-08-09 16:57:42 | 経済・産業・中小企業対策など
コンビニ 便利さの陰に⑥ 本部が交渉を拒否

コンビニ店主から多くの悩みの声が上がります。
「深夜の来店は30人ほどなのに、その時間帯の人件費が総人件費の半分を占める。24時間営業をやめたい」
「売り上げが芳しくない。手取りを増やすために見切り販売を始めたい」
けれども店主のほとんどは、みずからの思いを店舗担当の本部社員に伝えることができません。

会社が適否決定
兵庫県姫路市内のファミリーマートの店長を11年務めてきた酒井孝典さん(54)も、以前は、社員に何も言えない店主でした。
ファミリーマートの場合、本部と加盟店との契約は原則として10年で終了します。契約書には、会社(本部)が、加盟者の契約期間中の業績や経営姿勢、契約違反の有無、本部との協調関係などを総合的に勘案し、「会社が再契約の適否を決定する」ことが書かれています。「再契約」の決定権は本部だけがもち、「独立した事業者」であるはずの加盟店は再契約決定の可否にかかわれません。
さらに本部は「経営力審査基準」を設けて、フランチャイズ契約違反や接客サービス、商品の品ぞろえや固定客獲得の審査項目で加盟店の優劣を判定し、得点化します。その得点を店主に伝えて、店舗運営の是正を指導しています。「経営力審査基準の点数が『再契約』されるかされないかの決定に大きく影響している」と話す店主は、少なくありません。
同審査基準の点数がどのように再契約にかかわるのかについて、ファミリーマートは「加盟店との契約に関することにはお答えできない」(広報)との答えでした。
酒井さんは「再契約されないことは、加盟店が生活の糧を失うこと。加盟店には、『自分の意思に反して契約が一方的に終了されるのではないか』との恐れが常にある」と力を込めます。ファミリーマート本部と加盟店の再契約率(10年未満の契約延長も含む)は70・8%(2011年度)、75・8%(12年度)でした。



酒井孝典さん

話し合いの場を
公正取引委員会によるコンビニ本部と加盟店との取引実態調査(11年7月発表)結果からは、本部の“優越的地位の乱用”の実態が見えてきます。
本部から仕入れ数量や新規事業の導入などの各種要請があった場合に「応じざるを得ない状況である」と回答した加盟店は半数近く(46・5%)。その事情をたずねると(複数回答)、「契約上、本部に有利な条件での契約になっているため」が6割弱(56・5%)、「本部の要請に応じないと(契約)更新できないことを示唆されることがあるため」が4割(37・3%)にのぼりました。
いま、各コンビニ本部は地方自治体と、高齢者見守りや災害時対応等のさまざまな協定を結んでいます。その際、本部は自治体の担当者と直接、やりとりします。その自治体内の加盟店店主の意見を聞くことはありません。協定締結後に、店舗経営相談員を取りまとめるマネジャー名で、店主に協定締結を伝え協力をよびかける文書が配られるだけです。
加盟店と本部が対等に話し合える場をつくらなければならない―酒井さんが執行委員長を務める「ファミリーマート加盟店ユニオン」は12年、ファミリーマートに、フランチャイズ契約の再契約基準に関する団体交渉を2度申し入れましたが、拒否されました。
今年4月16日、東京都労働委員会は、ファミリーマートが拒否したことは、正当な理由のない団体交渉拒否の不当労働行為に当たると認定。「団体交渉を拒否してはならず、速やかに誠実に応じなければならない」と命じました。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年8月7日付掲載


24時間営業が基本のコンビニですが、地域によっては実情に合っていない場合もあります。深夜の来店は30人ほどなんて非効率の極みですね。
コンビニ加盟店と本部の団体交渉は必要です。

コンビニ 便利さの陰に⑤ 契約解除は店主の脅威

2015-08-09 16:44:35 | 経済・産業・中小企業対策など
コンビニ 便利さの陰に⑤ 契約解除は店主の脅威

セブン-イレブン・ジャパンは、加盟店のオーナー(店主)は「ビジネスパートナーであり、独立の事業主でもある」とし、「お互いに強い信頼感を基盤とした良好な関係を構築していくことが、当社の最大の責務です」と言います(同社ホームページ、社員行動規範〈抜粋〉)。
しかし、オーナー側からは、こんな声が聞こえます。
「本部は『発注権はお店にある』という。でも、店舗経営相談員から『うなぎかば焼重、ほかでは売れています。10個お願いします』などと提案されると断りきれない」
「店舗経営相談員から『契約更新できない』と言われたことはない。しかし、必ず更新できる保証はなく、不安。本部が良く思わないことはしない方がいい」

本部優位の関係
「コンビニ加盟店ユニオン」は2009年、セブン-イレブン・ジャパンに「団体交渉のルール作り他」について団体交渉を申し入れました。しかし、同社は拒否。
14年3月20日、岡山県労働委員会はセブン-イレブン・ジャパンに対し、団体交渉の申し入れに応じるよう命令しました。その命令書の「当委員会の判断」からは、加盟店との関係における本部優位がみえてきます。
委員会は、会社(本部)と加盟店の契約の際、営業時間、ロイヤルティーの配分基準などが「当事者間の交渉等によって変更されることはあり得ず、加盟店主になろうとする者の選択肢は、契約を締結するか否かしかない」と指摘。「このことは、会社と加盟店主との間の交渉力に大きな格差があることのあらわれである」と認定しました。
新商品・新サービスの導入については、会社は「その商品・サービスがセブン-イレブン・イメージを構成する重要な要素と認めた場合は、加盟店主に強くその導入を指導するため、加盟店主がそれらの導入を拒絶することは著しく困難である」としました。



コンビニ加盟店への商品の配送=東京都内

裁量余地小さい
店舗経営相談員から加盟店への経営・運営アドバイス・指導についても、「セブン-イレブン・チェーンの特質である同一のシステムと統一的なイメージの確保の要請から強力に行われるものであり、加盟店主の裁量、自主的判断の余地は極めて小さい」としました。
店主に対する契約解除権や契約更新拒絶権について、「会社がそれを行使することがまれであるとしても、情報システムにより事業の全てを把握されて、他に生計の手段を持たない加盟店主にとっては常に脅威となり、会社の指導に対して従順にならざるをえない立場に立たされている」と指摘。「実態上、加盟店主が会社からの個々の業務の依頼に対して基本的に応じなければならないという関係が認められる」と確認しました。
セブン-イレブン加盟店のオーナーで、「全国FC加盟店協会」会長の庄司正俊さん(63)は、こう語ります。
「セブン-イレブン本部は09年に加盟店の値引き販売に関して公正取引委員会から『排除措置命令』を受け、社会的責任も問われた。それ以降の加盟店への対応は、店舗経営相談員が提案して店主に判断させるという“ソフト路線”に変化している。しかし、本部が加盟店より優位に立ち、セブン-イレブンの全国同一のシステムやイメージを損なわない範囲で加盟店に対応するという本質は変わっていない」
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年8月6日付掲載


コンビニの本部は、加盟店の顧客や販売情報を一手に掌握していて、本部からのアドバイスがいかにももっともらしい様に見えるが…。
やっぱり、顧客と対面で商売している加盟店の店主の意向は尊重しないといけない。