コンビニ 便利さの陰に⑥ 本部が交渉を拒否
コンビニ店主から多くの悩みの声が上がります。
「深夜の来店は30人ほどなのに、その時間帯の人件費が総人件費の半分を占める。24時間営業をやめたい」
「売り上げが芳しくない。手取りを増やすために見切り販売を始めたい」
けれども店主のほとんどは、みずからの思いを店舗担当の本部社員に伝えることができません。
会社が適否決定
兵庫県姫路市内のファミリーマートの店長を11年務めてきた酒井孝典さん(54)も、以前は、社員に何も言えない店主でした。
ファミリーマートの場合、本部と加盟店との契約は原則として10年で終了します。契約書には、会社(本部)が、加盟者の契約期間中の業績や経営姿勢、契約違反の有無、本部との協調関係などを総合的に勘案し、「会社が再契約の適否を決定する」ことが書かれています。「再契約」の決定権は本部だけがもち、「独立した事業者」であるはずの加盟店は再契約決定の可否にかかわれません。
さらに本部は「経営力審査基準」を設けて、フランチャイズ契約違反や接客サービス、商品の品ぞろえや固定客獲得の審査項目で加盟店の優劣を判定し、得点化します。その得点を店主に伝えて、店舗運営の是正を指導しています。「経営力審査基準の点数が『再契約』されるかされないかの決定に大きく影響している」と話す店主は、少なくありません。
同審査基準の点数がどのように再契約にかかわるのかについて、ファミリーマートは「加盟店との契約に関することにはお答えできない」(広報)との答えでした。
酒井さんは「再契約されないことは、加盟店が生活の糧を失うこと。加盟店には、『自分の意思に反して契約が一方的に終了されるのではないか』との恐れが常にある」と力を込めます。ファミリーマート本部と加盟店の再契約率(10年未満の契約延長も含む)は70・8%(2011年度)、75・8%(12年度)でした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/7c/ee1180349eab9239875fb9cc989e0787.jpg)
酒井孝典さん
話し合いの場を
公正取引委員会によるコンビニ本部と加盟店との取引実態調査(11年7月発表)結果からは、本部の“優越的地位の乱用”の実態が見えてきます。
本部から仕入れ数量や新規事業の導入などの各種要請があった場合に「応じざるを得ない状況である」と回答した加盟店は半数近く(46・5%)。その事情をたずねると(複数回答)、「契約上、本部に有利な条件での契約になっているため」が6割弱(56・5%)、「本部の要請に応じないと(契約)更新できないことを示唆されることがあるため」が4割(37・3%)にのぼりました。
いま、各コンビニ本部は地方自治体と、高齢者見守りや災害時対応等のさまざまな協定を結んでいます。その際、本部は自治体の担当者と直接、やりとりします。その自治体内の加盟店店主の意見を聞くことはありません。協定締結後に、店舗経営相談員を取りまとめるマネジャー名で、店主に協定締結を伝え協力をよびかける文書が配られるだけです。
加盟店と本部が対等に話し合える場をつくらなければならない―酒井さんが執行委員長を務める「ファミリーマート加盟店ユニオン」は12年、ファミリーマートに、フランチャイズ契約の再契約基準に関する団体交渉を2度申し入れましたが、拒否されました。
今年4月16日、東京都労働委員会は、ファミリーマートが拒否したことは、正当な理由のない団体交渉拒否の不当労働行為に当たると認定。「団体交渉を拒否してはならず、速やかに誠実に応じなければならない」と命じました。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年8月7日付掲載
24時間営業が基本のコンビニですが、地域によっては実情に合っていない場合もあります。深夜の来店は30人ほどなんて非効率の極みですね。
コンビニ加盟店と本部の団体交渉は必要です。
コンビニ店主から多くの悩みの声が上がります。
「深夜の来店は30人ほどなのに、その時間帯の人件費が総人件費の半分を占める。24時間営業をやめたい」
「売り上げが芳しくない。手取りを増やすために見切り販売を始めたい」
けれども店主のほとんどは、みずからの思いを店舗担当の本部社員に伝えることができません。
会社が適否決定
兵庫県姫路市内のファミリーマートの店長を11年務めてきた酒井孝典さん(54)も、以前は、社員に何も言えない店主でした。
ファミリーマートの場合、本部と加盟店との契約は原則として10年で終了します。契約書には、会社(本部)が、加盟者の契約期間中の業績や経営姿勢、契約違反の有無、本部との協調関係などを総合的に勘案し、「会社が再契約の適否を決定する」ことが書かれています。「再契約」の決定権は本部だけがもち、「独立した事業者」であるはずの加盟店は再契約決定の可否にかかわれません。
さらに本部は「経営力審査基準」を設けて、フランチャイズ契約違反や接客サービス、商品の品ぞろえや固定客獲得の審査項目で加盟店の優劣を判定し、得点化します。その得点を店主に伝えて、店舗運営の是正を指導しています。「経営力審査基準の点数が『再契約』されるかされないかの決定に大きく影響している」と話す店主は、少なくありません。
同審査基準の点数がどのように再契約にかかわるのかについて、ファミリーマートは「加盟店との契約に関することにはお答えできない」(広報)との答えでした。
酒井さんは「再契約されないことは、加盟店が生活の糧を失うこと。加盟店には、『自分の意思に反して契約が一方的に終了されるのではないか』との恐れが常にある」と力を込めます。ファミリーマート本部と加盟店の再契約率(10年未満の契約延長も含む)は70・8%(2011年度)、75・8%(12年度)でした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/7c/ee1180349eab9239875fb9cc989e0787.jpg)
酒井孝典さん
話し合いの場を
公正取引委員会によるコンビニ本部と加盟店との取引実態調査(11年7月発表)結果からは、本部の“優越的地位の乱用”の実態が見えてきます。
本部から仕入れ数量や新規事業の導入などの各種要請があった場合に「応じざるを得ない状況である」と回答した加盟店は半数近く(46・5%)。その事情をたずねると(複数回答)、「契約上、本部に有利な条件での契約になっているため」が6割弱(56・5%)、「本部の要請に応じないと(契約)更新できないことを示唆されることがあるため」が4割(37・3%)にのぼりました。
いま、各コンビニ本部は地方自治体と、高齢者見守りや災害時対応等のさまざまな協定を結んでいます。その際、本部は自治体の担当者と直接、やりとりします。その自治体内の加盟店店主の意見を聞くことはありません。協定締結後に、店舗経営相談員を取りまとめるマネジャー名で、店主に協定締結を伝え協力をよびかける文書が配られるだけです。
加盟店と本部が対等に話し合える場をつくらなければならない―酒井さんが執行委員長を務める「ファミリーマート加盟店ユニオン」は12年、ファミリーマートに、フランチャイズ契約の再契約基準に関する団体交渉を2度申し入れましたが、拒否されました。
今年4月16日、東京都労働委員会は、ファミリーマートが拒否したことは、正当な理由のない団体交渉拒否の不当労働行為に当たると認定。「団体交渉を拒否してはならず、速やかに誠実に応じなければならない」と命じました。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年8月7日付掲載
24時間営業が基本のコンビニですが、地域によっては実情に合っていない場合もあります。深夜の来店は30人ほどなんて非効率の極みですね。
コンビニ加盟店と本部の団体交渉は必要です。