いで湯の里 由布市① 震災 地域経済に打撃
大分県のほぼ中央に位置する由布市(人口約3万5200人)は、由布岳などの山々に囲まれた盆地に自然豊かな高原や温泉があります。自然を守った住民のまちづくりで、年間約400万人の観光客が訪れるまちになりました。今年4月に起きた熊本地震の影響を受けながらも、新たなまちづくりに踏み出しています。(川田博子)
まちの玄関であるJR由布院駅から北東へのびる「由布見通り」には、土産物店や飲食店が並び、リュックを背にした観光客が行き交います。
日本人客少ない
多くの観光客が訪れる金鱗(きんりん)湖近くの土産物店では、地震で商品が陳列台から落下して破損し、柱も傾きました。店主の酒井正明さん(54)は、「昨年の3割まで急減した売り上げは6割近くまで戻ってきた。でも、日本人のお客がまだ少ない」と訴えます。
海産土産品を扱う宇井実朗さん(51)の店では、売り上げは4月の半分以下に落ち込んだままです。「九州では、複数県にまたがって旅行するお客さんが多いから、熊本県の熊本城や阿蘇神社などが大きな被害を受けて、修復できていないのが痛いね」とため息をつきました。
客室の壁のひび割れ、什器(じゅうき)の破損などの被害を出した旅館やホテルも少なくありません。創業90年の亀の井別荘でも、温泉源泉から湯をひくポンプや配管、エアコン室外機、客室のテレビや調度品が破損。多額の被害が出ました。主人の中谷太郎さん(49)は、「いつもと変わりなく明かりをともすことがまちの希望になる。また、従業員を失業させてはならない」という思いで一日も早い復旧に尽力。一部の客室を除き、被災2日後に営業を再開しました。「日帰りのお客様は昨年同時期の8割強まで戻ってきました。でも宿泊はまだ4割を超えるくらいです」
散策を楽しむ観光客=大分県由布市
落ち幅過去最大
大分県の観光統計調査によると、ゴールデンウイーク(4月29日~5月8日)の県内ホテル・旅館宿泊客数は前年同期の65%、主要な観光施設の入場者数も同53%。過去最大の落ち込みでした。熊本や大分などを巡る九州周遊のツアーが中止になり、修学旅行生、日本人や外国人観光客の予約キャンセルが相次いだことが原因です。
由布院玉の湯の桑野和泉社長(51)は、「地震の直後からお客様からのキャンセルが続き、やむを得ずパート従業員に休暇をお願いしました。従業員だけでなく、食材を納品している商店や農家、シーツを扱うクリーニング店などにも影響がでています」と話します。
由布市は、塚原高原、由布院温泉、湯平温泉などを有し、宿泊業、飲食サービス業従事者数が全産業従事者数の17・2%を占めます。県内では九重町、別府市に次いで高い割合です(2014年経済センサス基礎調査)。
観光客の激減は、関連産業を含めて市の経済全体にも打撃を与えました。5月の商工業・観光業の売上額は、市全体で前年同月比68%、由布院温泉がある湯布院地域では同39%になりました(市・由布市商工会・由布市まちづくり観光局調べ)。
しかし、落胆してはいられません。「いつもと変わらないおもてなしを用意して、お客様にきていただこう」―。住民の取り組みが始まりました。
(つづく)(2回連載です)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年7月28日付掲載
由布市そのものが復旧しても、近隣の観光地が復旧しないと観光客が戻ってこないって難しいですね。
由布市は、大分では別府に次ぐ温泉地ですので、宿泊客が早く戻ってきて欲しいですね。
大分県のほぼ中央に位置する由布市(人口約3万5200人)は、由布岳などの山々に囲まれた盆地に自然豊かな高原や温泉があります。自然を守った住民のまちづくりで、年間約400万人の観光客が訪れるまちになりました。今年4月に起きた熊本地震の影響を受けながらも、新たなまちづくりに踏み出しています。(川田博子)
まちの玄関であるJR由布院駅から北東へのびる「由布見通り」には、土産物店や飲食店が並び、リュックを背にした観光客が行き交います。
日本人客少ない
多くの観光客が訪れる金鱗(きんりん)湖近くの土産物店では、地震で商品が陳列台から落下して破損し、柱も傾きました。店主の酒井正明さん(54)は、「昨年の3割まで急減した売り上げは6割近くまで戻ってきた。でも、日本人のお客がまだ少ない」と訴えます。
海産土産品を扱う宇井実朗さん(51)の店では、売り上げは4月の半分以下に落ち込んだままです。「九州では、複数県にまたがって旅行するお客さんが多いから、熊本県の熊本城や阿蘇神社などが大きな被害を受けて、修復できていないのが痛いね」とため息をつきました。
客室の壁のひび割れ、什器(じゅうき)の破損などの被害を出した旅館やホテルも少なくありません。創業90年の亀の井別荘でも、温泉源泉から湯をひくポンプや配管、エアコン室外機、客室のテレビや調度品が破損。多額の被害が出ました。主人の中谷太郎さん(49)は、「いつもと変わりなく明かりをともすことがまちの希望になる。また、従業員を失業させてはならない」という思いで一日も早い復旧に尽力。一部の客室を除き、被災2日後に営業を再開しました。「日帰りのお客様は昨年同時期の8割強まで戻ってきました。でも宿泊はまだ4割を超えるくらいです」
散策を楽しむ観光客=大分県由布市
落ち幅過去最大
大分県の観光統計調査によると、ゴールデンウイーク(4月29日~5月8日)の県内ホテル・旅館宿泊客数は前年同期の65%、主要な観光施設の入場者数も同53%。過去最大の落ち込みでした。熊本や大分などを巡る九州周遊のツアーが中止になり、修学旅行生、日本人や外国人観光客の予約キャンセルが相次いだことが原因です。
由布院玉の湯の桑野和泉社長(51)は、「地震の直後からお客様からのキャンセルが続き、やむを得ずパート従業員に休暇をお願いしました。従業員だけでなく、食材を納品している商店や農家、シーツを扱うクリーニング店などにも影響がでています」と話します。
由布市は、塚原高原、由布院温泉、湯平温泉などを有し、宿泊業、飲食サービス業従事者数が全産業従事者数の17・2%を占めます。県内では九重町、別府市に次いで高い割合です(2014年経済センサス基礎調査)。
観光客の激減は、関連産業を含めて市の経済全体にも打撃を与えました。5月の商工業・観光業の売上額は、市全体で前年同月比68%、由布院温泉がある湯布院地域では同39%になりました(市・由布市商工会・由布市まちづくり観光局調べ)。
しかし、落胆してはいられません。「いつもと変わらないおもてなしを用意して、お客様にきていただこう」―。住民の取り組みが始まりました。
(つづく)(2回連載です)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年7月28日付掲載
由布市そのものが復旧しても、近隣の観光地が復旧しないと観光客が戻ってこないって難しいですね。
由布市は、大分では別府に次ぐ温泉地ですので、宿泊客が早く戻ってきて欲しいですね。