きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

税逃れ③ 主役 多国籍企業

2016-07-26 14:37:57 | 予算・税金・消費税・社会保障など
税逃れ③ 主役 多国籍企業

課税逃れ対策を話し合う経済協力開発機構(OECD)の租税委員会が日本で開かれました。本部のあるパリ以外の地で開かれたのは初めてのことでした。OECD租税委員会は、租税分野における国際的なルール策定や各国が共通に抱える問題への対応策の検討を行うOECDの委員会の一つです。租税委員会の本会合が開かれるのは年2回です。

抜け穴埋める
6月30日と7月1日の2日間にわたった会合は、初日の午前中に本会合が行われ、引き続き第1回の拡大会合が行われました。拡大会合の正式名称は「BEPS(税源浸食および利益移転)包摂的枠組み会合」です。この会合には、さまざまな発展段階にある幅広い国々が対等の立場で参加。
多国籍企業が利益を隠し、人為的に低・無課税地域へと移転させることを可能にする国際ルールの抜け穴を埋めることを目的としたものです。BEPS対策への参加国・地域は京都会合開催の時点で82力国。今後、100力国・地域を超える見込みです。
麻生太郎財務相は、会場となった京都市内のホテルで、記者団に、こう強調しました。
「これは、企業と税金をとる立場とのたたかいだ。途上国も先進国と同様、税金を払うべき企業なり個人から税金をとることができていないという問題に直面している」
各国税務当局の闘争の相手は、多国籍企業であり超富裕層である、というのです。
本会合では、課税逃れ対策に協力的でない国や地域を特定するための基準づくりで合意しました。
その基準とは、①税の透明性と情報交換に関する国際組織の「グローバル・フォーラム」が実施する情報交換評価を満たしているかどうか②税務当局間での金融口座情報の自動的交換を、遅くとも2018年までに実施することを約束しているかどうか③租税に関する行政支援を相互に行うための多国間条約に署名しているか―です。



OECD租税委員会後に記者会見する麻生太郎財務相=6月30日、京都市内のホテル

G20で公表へ
この三つの条件のうち二つ以上を満たさなければ、「非協力的」国・地域に該当します。さらに①の「グローバル・フォーラム」の評価で「不順守」とされた場合だけでも「非協力的」に該当することになります。この基準は、23~24日に中国の成都で開催されるG20財務相・中央銀行総裁会議に提案され、2017年7月に開かれる20力国・地域首脳会議(G20サミット)で、いわゆる「ブラックリスト」が公表される予定です。
多国籍企業が利益を隠すタックスヘイブンといえば、中南米などの小国を思い浮かべがちです。ところが金融大国のアメリカは②の金融口座情報の自動的交換には参加していません。もし、OECD租税委員会が3基準すべてを満たさなければ「ブラックリスト」に載せると合意していたなら、アメリカが「ブラックリスト」の対象国になっていたのです。
確かに税逃れの主役は、巨額の利益をタックスヘイブンに秘匿する多国籍企業や超富裕層です。しかし、各国の為政者たちが、多国籍企業・超富裕層のための政治を行い、行政に圧力をかければ、税逃れを許さない国際的取り組みが骨抜きにされてしまうのです。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年7月22日付掲載


タックスヘイブンの地域は南米の小国ですが、そこで暗躍する主役は多国籍企業や世界的な大富豪です。