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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

参院選報道 識者は語る

2016-07-03 11:54:04 | 参議院選挙(2016年)
参院選報道 識者は語る

最大の問題は改憲の扱い
元NHKディレクター 戸崎賢二さん




最大の問題は、ニュースが、争点である改憲問題について、「憲法改正」という一般的な用語でしか伝えていないことです。
安倍晋三首相は「憲法改正は争点ではない」と言っていますが、国会でも改憲を明言してきましたし、自民党の改憲草案の内容もすでに明らかです。
9条を破棄して国防軍を創設し、「国際協力」でも軍事行動できるようにする、言論・表現の自由は公の秩序によって制限するなど、重大な改変です。
しかし、テレビが、首相が憲法の何を変えようとしているのかを伝えることはほとんどないのです。これでは市民には改憲の問題がきちんと見えません。
NHKの世論調査では、「最も重視したい政策」の第1位が社会保障で経済政策、消費税と続きました。改憲の問題がなかなか争点になっていません。その傾向を助長しているのがテレビ報道ではないでしょうか。
もう一つの問題は、各党の政策や主張がカタログ的にしか報じられていないことです。
政党や政治家が言っている言葉の羅列や比較だけに終わっている。語られていることが本当なのか、現実はどうなっているのか、独自の調査報道がほとんどないままです。
戦後政治の大転換をもたらすのが憲法改定です。今回の選挙は歴史の分岐点です。そのことをテレビ報道はもっと見据えるべきです。



放送抑制に屈しないで
『放送レポート』編集長 岩崎貞明さん



2014年の総選挙以降、テレビの選挙関連報道は、目に見えて低下しています。
今回、自民党は放送局側に「党首討論の日程は6月25日まで」と提示し、それ以降の出演を事実上拒否しています。テレビ朝日21日「報道ステーション」の党首討論では、安倍首相が「フェアじゃない」などと気色ばむ場面もあったりしました。そういうことが度重なると政権のイメージダウンにつながりかねない、という懸念が彼らにはあるのではないか。
自民党は14年の総選挙直前に、街頭インタビューの編集の仕方にまで注文をつけるような文書を各放送局に出しました。また、放送の「政治的公平」をめぐる問題が国会で大きな議論となったりする中で、放送局側も「政治の扱い」には神経質になっています。
公職選挙法上も「放送番組編集の自由」が原則とされているのに、各党の露出時間の配分などに非常に神経をとがらせています。
「政治的公平」ばかりを意識するから、突っ込んだ意欲的な企画が実現しないという面があります。無理してリスクを取るぐらいなら別のネタを追ったほうがいい…報道番組の制作者がそういう思考になっているのではないか。
それが現実には投票率の低下につながり、結果として与党に有利な選挙結果を生んできた、という側面があると思います。
自民党が放送への露骨な圧力を強めていることは大問題ですが、それに屈する放送局の姿勢も重大です。


「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年7月3日付掲載


NHKの世論調査で「憲法改正」が上位に入らないのはそういう舞台裏があったのですか…。
自民党からの圧力に屈せず、報道人としての心意気を発揮して、有権者に情報提供してほしいものです。
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参院選報道テレビから消えた 党首討論公示後は1回だけ

2016-07-03 09:56:27 | 公共交通・安全について
参院選報道テレビから消えた 党首討論公示後は1回だけ
自民の圧力で強まる萎縮傾向


「選挙中、テレビでの参院選報道が少ないのでは?」「中身も焦点に迫り切れてない」―そんな声が聞こえてきます。
象徴的なのが、NHKと民放キー局の計5局が実施している、各党トップが論戦する党首討論です。



公示後の党首討論は6月24日の「NEWS23」だけ(TBSテレビから)

今回は、論戦が本格化する公示後は、6月24日のTBS「NEWS23」だけ。「投票日前の2週間、党首討論がまったくない」状況がまかり通ろうとしています。
公示後の党首討論は、前回2013年の参院選では4回でした。14年の総選挙時は3回に減ったものの、投票日の11日前には放送されていました。12年総選挙(民主党政権時)は5局すべてで公示後に実施。最後は投票日の3日前でした。
4野党は6月に2回にわたって今回の異常さを自民党に突き付け、「テレビ以外の場も含め」ての党首討論を申し入れました。しかし自民党は拒否したままです。
安倍首相は「期日前投票が増えた」ことを「党首討論前倒し」の理由にあげています。しかしこの間の国政選挙の期日前投票者は全有権者の1割ちょっと。大多数は投票日までの論議の行方を見定めて投票しているのが現実です。
さらに見逃せないのは、選挙のさなかというのにテレビで選挙そのものが報じられないことです。
NHK午後7時のニュースでいえば、「注目の選挙区」を数日放送、ある選挙区の候補者を紹介し、演説の映像を流しただけです。ほかには土、日曜日に党首らの遊説を紹介するという程度です。
選挙報道というなら、参院選では何が問われるのかという重大争点について、取材力・構想力を発揮して、論点を特集的に提示していくのが放送の任務のはずです。
このように選挙報道の「質」だけでなく、「量」でも大きく後退しているというのが実態です。
とくに14年総選挙前、自民党は在京主要テレビ局に、各党出席者の発言回数や街頭インタビューの使用などについて、報道を束縛し、干渉する要望文書を送りました。この結果、選挙報道が激減したというのが実際の状況です。
さらに昨年来の「NEWS23」や「クローズアップ現代」への政権からの圧力や、高市総務相の「停波」発言などが相次ぎ、各局の政治・選挙報道の萎縮傾向がさらに強まっていると広く指摘されています。
選挙の時こそ、いっそうメディアが議論を深め、自由で自主的な論点検証報道を強めるべきだ―いまこのことが何よりも求められています。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年7月3日付掲載


放送局側が党首討論を企画しても、自民党が論戦から逃げていては成立しません。
選挙報道は、放送局主体でできるもの。積極的に取り組んでほしいものです。

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