サッカーW杯 光と影③ 交流重ね平和の力に
ワールドカップ(W杯)カタール大会は、ロシアによるウクライナ侵略が続くなかで開幕を迎えます。
世界が心を痛める現状にたいし、W杯はどんなメッセージを発することができるのか。
「われわれは攻撃的な世界、分断された世界に住んでいるが、私は人々を結び付け、文化の境界を超えるサッカーの力を大いに信じている」
4月、国際サッカー連盟(FIFA)の総会でジャンニ・インファンティノ会長は世界に対話を呼びかけました。今月15日には、「W杯期間中の一時的な停戦」も提案しています。
しかし、FIFAはロシアのウクライナ侵略直後、ロシアの除外をめぐっては対応が一時、揺れていました。最終的に除外を後押ししたのは選手、各国協会の声でした。
サポーターや選手、各国のクラブは戦争直後から、反戦の訴えを発していたからです。
2月、欧州のクラブや選手が「NO WAR(戦争はやめろ)」などと書かれた横断幕を掲げたり、Tシャツを着たりして抗議していました。それは日本のJリーグの一部でもみられた光景でした。
2月末、イングランド・プレミアリーグ、エバートンーマンチェスター・シティ戦ではスタジアムに、「私たちはウクライナを支持します」と書かれたメッセージと、たくさんのウクライナ国旗が翻りました。これらを目にした両クラブのウクライナ出身選手が涙ぐむ一幕がありました。
ウェールズ代表に敗れ、顔を覆うウクライナ代表の選手(中央)=6月5日、英力ーディフ(ロイター共同)
ウクライナ代表はカタール大会の欧州予選で、出場まで1勝に迫りました。しかし6月、プレーオフ決勝でウェールズに敗れ、出場はかないませんでした。
プレーオフ2戦をたたかう中、同代表のオレクサンドル・ジンチェンコ選手は目を赤くし、胸の内を吐露したことがありました。
「ウクライナの子どもたちと話をしたが、彼らには一つの夢がある。それは戦争を止めること。そして僕たちにはもう一つの夢がある。W杯に出場することだ。国民を幸せにするために」
今回、二つ目の夢はかないませんでした。しかし、サッカーをすること自体が困難な中、勇敢にたたかい抜いた姿は、多くの人々の心に刻まれました。
サッカーの平和への貢献は、選手らの行動やメッセージにとどまりません。今回は中東で初のW杯開催であり、イスラム圏で初の大会となります。観客の観戦も認められ、世界から300万人近い人々が集まります。
「世界の人々が異なる文化に接し交流する。互いに理解を深め合うことがW杯の一番の力だと思う」。サッカージャーナリストの大住良之さんは訴えます。
「私自身もこれまでのW杯でそのことを実感してきました。今回、世界の人々は、イスラム圏で生活する人たちの姿をまっすぐに目にすることになる。誤ったイメージがきっと変わると思います。回り道に見えるけれども、こうしたことの積み重ねが平和の一番の近道になると私は思っています」(おわり)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年11月19日付掲載
ワールドカップ(W杯)カタール大会は、ロシアによるウクライナ侵略が続くなかで開幕を迎えます。
2月末、イングランド・プレミアリーグ、エバートンーマンチェスター・シティ戦ではスタジアムに、「私たちはウクライナを支持します」と書かれたメッセージと、たくさんのウクライナ国旗が翻りました。これらを目にした両クラブのウクライナ出身選手が涙ぐむ一幕が。
今回、世界の人々は、イスラム圏で生活する人たちの姿をまっすぐに目にすることになる。誤ったイメージがきっと変わると思います。回り道に見えるけれども、こうしたことの積み重ねが平和の一番の近道になると。
ワールドカップ(W杯)カタール大会は、ロシアによるウクライナ侵略が続くなかで開幕を迎えます。
世界が心を痛める現状にたいし、W杯はどんなメッセージを発することができるのか。
「われわれは攻撃的な世界、分断された世界に住んでいるが、私は人々を結び付け、文化の境界を超えるサッカーの力を大いに信じている」
4月、国際サッカー連盟(FIFA)の総会でジャンニ・インファンティノ会長は世界に対話を呼びかけました。今月15日には、「W杯期間中の一時的な停戦」も提案しています。
しかし、FIFAはロシアのウクライナ侵略直後、ロシアの除外をめぐっては対応が一時、揺れていました。最終的に除外を後押ししたのは選手、各国協会の声でした。
サポーターや選手、各国のクラブは戦争直後から、反戦の訴えを発していたからです。
2月、欧州のクラブや選手が「NO WAR(戦争はやめろ)」などと書かれた横断幕を掲げたり、Tシャツを着たりして抗議していました。それは日本のJリーグの一部でもみられた光景でした。
2月末、イングランド・プレミアリーグ、エバートンーマンチェスター・シティ戦ではスタジアムに、「私たちはウクライナを支持します」と書かれたメッセージと、たくさんのウクライナ国旗が翻りました。これらを目にした両クラブのウクライナ出身選手が涙ぐむ一幕がありました。
ウェールズ代表に敗れ、顔を覆うウクライナ代表の選手(中央)=6月5日、英力ーディフ(ロイター共同)
ウクライナ代表はカタール大会の欧州予選で、出場まで1勝に迫りました。しかし6月、プレーオフ決勝でウェールズに敗れ、出場はかないませんでした。
プレーオフ2戦をたたかう中、同代表のオレクサンドル・ジンチェンコ選手は目を赤くし、胸の内を吐露したことがありました。
「ウクライナの子どもたちと話をしたが、彼らには一つの夢がある。それは戦争を止めること。そして僕たちにはもう一つの夢がある。W杯に出場することだ。国民を幸せにするために」
今回、二つ目の夢はかないませんでした。しかし、サッカーをすること自体が困難な中、勇敢にたたかい抜いた姿は、多くの人々の心に刻まれました。
サッカーの平和への貢献は、選手らの行動やメッセージにとどまりません。今回は中東で初のW杯開催であり、イスラム圏で初の大会となります。観客の観戦も認められ、世界から300万人近い人々が集まります。
「世界の人々が異なる文化に接し交流する。互いに理解を深め合うことがW杯の一番の力だと思う」。サッカージャーナリストの大住良之さんは訴えます。
「私自身もこれまでのW杯でそのことを実感してきました。今回、世界の人々は、イスラム圏で生活する人たちの姿をまっすぐに目にすることになる。誤ったイメージがきっと変わると思います。回り道に見えるけれども、こうしたことの積み重ねが平和の一番の近道になると私は思っています」(おわり)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年11月19日付掲載
ワールドカップ(W杯)カタール大会は、ロシアによるウクライナ侵略が続くなかで開幕を迎えます。
2月末、イングランド・プレミアリーグ、エバートンーマンチェスター・シティ戦ではスタジアムに、「私たちはウクライナを支持します」と書かれたメッセージと、たくさんのウクライナ国旗が翻りました。これらを目にした両クラブのウクライナ出身選手が涙ぐむ一幕が。
今回、世界の人々は、イスラム圏で生活する人たちの姿をまっすぐに目にすることになる。誤ったイメージがきっと変わると思います。回り道に見えるけれども、こうしたことの積み重ねが平和の一番の近道になると。