数値が示す日本経済① 税財政 消費税と税収空洞化
日々目まぐるしく変わる経済指標を中期的な視点でとらえてみると、日本経済の実態が浮かび上がってきます。税財政から金融、農業、エネルギーなど各分野にわたり点検します。
国の税収に占める消費税の割A口が急増しています。1989年に3%の税率で導入された消費税が国の一般会計税収に占める割合は当初6%でした。消費税率が3%だった96年度まで、一般会計の税収に占める消費税の割合は1割程度でした。
消費税への依存
97年に消費税は5%に引き上げられました。ただ同時に地方消費税が創設され、国税分は4%です。それでも一般会計税収に占める消費税の割合は2割を超えるようになりました。金額の上でも法人税に匹敵する額になりました。
2014年度からは8%に消費税率が引き上げられました(国税分は6・3%)。一般会計税収に占める消費税の割合は3割に迫ります。金額でも法人税収を上回り、所得税収と並ぶまで伸びてきました。
一般会計税収に占める消費税の割合が高くなっているのは、消費税率引き上げのためだけではありません。高額所得者や大企業の税負担も減少しているからです。
消費税増税の中止を求める署名をする男性(中央)=7月25日、東京・新宿駅東口
1989年には50%だった所得税の最高税率は2000年には37%まで引き下げられました。その後、若干の引き上げがありましたが、現在でも最高税率は45%にとどまります。法人税率も1989年度の40%から段階的に引き下げられ、2016年度は23・4%にすぎません。国の法人税と地方の法人住民税、法人事業税を合わせた法人実効税率も89年度は50%を超えていましたが、16年度は29・97%まで下がり、18年度には29・74%まで引き下げることを安倍晋三政権は決めています。
消費税は低所得者ほど負担が重くなる不公平な税金です。消費税率を引き上げる一方で、高額所得者や大企業の税負担を引き下げることは税収の空洞化を生み出し、能力に応じて負担する「応能負担」の原則から外れていくことになります。
突出する軍事費税金の使い道では軍事費への支出が突出しています。1989年度には4兆円に満たなかった軍事費は、2011年度には当初予算と浦正予算を合わせ額で5兆円を超えるようになり、16年度からは当初予算で5兆円を超えるようになりました。1989年に比べるとー・3倍以上に膨れ上がっています。
とりわけ15年9月に安倍晋三政権が強行した戦争法を受けて、16年度予算には垂直離着陸機オスプレイ4機(447億円)、戦闘機F35A(6機1084億円)、早期警戒機E2D(1機260億円)、滞空型無人機グローバルホーク(146億円)など米国製の高額兵器の導入を進めています。(この項終わり)(清水渡)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年8月9日付掲載
1989年に税率3%で消費税が導入されたころから比べると、消費税への依存度がいかに大きくなったか歴然としています。
消費税が増えたからって、税収全体が増えた訳ではない。税収の構造改革が行われたわけです。
日々目まぐるしく変わる経済指標を中期的な視点でとらえてみると、日本経済の実態が浮かび上がってきます。税財政から金融、農業、エネルギーなど各分野にわたり点検します。
国の税収に占める消費税の割A口が急増しています。1989年に3%の税率で導入された消費税が国の一般会計税収に占める割合は当初6%でした。消費税率が3%だった96年度まで、一般会計の税収に占める消費税の割合は1割程度でした。
消費税への依存
97年に消費税は5%に引き上げられました。ただ同時に地方消費税が創設され、国税分は4%です。それでも一般会計税収に占める消費税の割合は2割を超えるようになりました。金額の上でも法人税に匹敵する額になりました。
2014年度からは8%に消費税率が引き上げられました(国税分は6・3%)。一般会計税収に占める消費税の割合は3割に迫ります。金額でも法人税収を上回り、所得税収と並ぶまで伸びてきました。
一般会計税収に占める消費税の割合が高くなっているのは、消費税率引き上げのためだけではありません。高額所得者や大企業の税負担も減少しているからです。
消費税増税の中止を求める署名をする男性(中央)=7月25日、東京・新宿駅東口
1989年には50%だった所得税の最高税率は2000年には37%まで引き下げられました。その後、若干の引き上げがありましたが、現在でも最高税率は45%にとどまります。法人税率も1989年度の40%から段階的に引き下げられ、2016年度は23・4%にすぎません。国の法人税と地方の法人住民税、法人事業税を合わせた法人実効税率も89年度は50%を超えていましたが、16年度は29・97%まで下がり、18年度には29・74%まで引き下げることを安倍晋三政権は決めています。
消費税は低所得者ほど負担が重くなる不公平な税金です。消費税率を引き上げる一方で、高額所得者や大企業の税負担を引き下げることは税収の空洞化を生み出し、能力に応じて負担する「応能負担」の原則から外れていくことになります。
突出する軍事費税金の使い道では軍事費への支出が突出しています。1989年度には4兆円に満たなかった軍事費は、2011年度には当初予算と浦正予算を合わせ額で5兆円を超えるようになり、16年度からは当初予算で5兆円を超えるようになりました。1989年に比べるとー・3倍以上に膨れ上がっています。
とりわけ15年9月に安倍晋三政権が強行した戦争法を受けて、16年度予算には垂直離着陸機オスプレイ4機(447億円)、戦闘機F35A(6機1084億円)、早期警戒機E2D(1機260億円)、滞空型無人機グローバルホーク(146億円)など米国製の高額兵器の導入を進めています。(この項終わり)(清水渡)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年8月9日付掲載
1989年に税率3%で消費税が導入されたころから比べると、消費税への依存度がいかに大きくなったか歴然としています。
消費税が増えたからって、税収全体が増えた訳ではない。税収の構造改革が行われたわけです。
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