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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

陥穽(かんせい)ファンド 危険な大学改革④ 「学生にも恩恵」は本当か

2024-04-28 07:14:09 | 政治・社会問題について
陥穽(かんせい)ファンド 危険な大学改革④ 「学生にも恩恵」は本当か


「学生は授業料が免除され、生活費の支給も受け、思う存分研究しながら博士課程の取得が可能になる」―。岸田政権は、大学ファンドから支援を受ける国際卓越研究大学(卓越大)になれば、学生も大きな恩恵を受けるといいます。
一方、現時点で唯一の卓越大候補となっている東北大学の学生からは、むしろ学生の経済負担が増えるのではとの不安の声が聞こえてきます。その一つが卓越大認定へ東北大が打ち出した全学生の留学必修化です。
実際、千葉大学では2020年度の留学必修化に合わせて入学金と授業料を2割値上げ。4年間で48万円の負担増になっています。留学には大学から補助が出るものの短期でも数十万円、中期なら100万円を超える自己負担が発生します。
千葉大に通うある学生は、留学プログラムが豊富なことは評価しつつ「経済的に苦しい学生には重い負担になるし、家庭の経済力が留学先などに影響してくるのは問題」と指摘。別の学生は「国際的なことをしているというパフォーマンス」と冷めた視線を向けます。




独自基金の育成
卓越大の現実も甘くありません。卓越大には毎年3%の事業成長と、大学ファンドからの卒業に向けた「独自基金造成」という実現困難なノルマが課されるからです。
大学ファンドは公的資金10兆円で基金をつくり、それを株などに投資し、運用益で卓越大に補助金を出す仕組みです。支援期間は最長25年間。卓越大はこの期間に、大学ファンドからの補助金と同規模の運用益を上げられる独自基金を造成しなければなりません。
政府は1校あたりの支援額を年間500億円と説明したこともあります。年間500億円の運用益を上げる独自基金の規模は、年利約4・5%(物価上昇分込み)という大学ファンドの高い運用目標を当てはめても1兆1千億円超です。
実際、東北大の独自基金の目標は約1兆3千億円。大学ファンドから仮に毎年500億円ずつ入ったとしても25年間の補助金総額は1兆2500億円です。

資金拠出も強制
しかも大学ファンドの補助金を直接独自基金に回すことはできないうえ、卓越大は大学ファンドへの資金拠出まで強制されます。各年度の拠出金額が次年度の補助金額に反映される仕組みだからです。拠出金は支援終了後に大学に返され独自基金に充てることができますが、それまでは年間数百億円単位の積み立てを自力で賄わなければなりません。
ちなみに拠出金に利子はつかず、大学ファンドが運用に失敗すれば減額される恐れもあります。
拠出金として大学ファンドに還流した後に残った補助金も自由になりません。政府は表面的には補助金の使い方は大学の「自由裁量」としながら、使用状況を文部科学相に毎年度報告させ、補助金の額に反映する仕組みにしています。3%の事業成長が至上命令とされ、財務の観点から学外委員の厳しい監督が入るもとで、学生支援が優先される保障はありません。
政府は大学ファンドで毎年3千億円の運用益を見込みます。しかし、本格運用を開始した2022年度は手数料と合わせて667億円の赤字に沈みました。運用益がでなければ補助金自体が絵に描いたもちです。政府がバラ色に描く大学ファンドは、どこから見ても非現実的な色彩をまとっています。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年4月26日付掲載


卓越大の現実も甘くありません。卓越大には毎年3%の事業成長と、大学ファンドからの卒業に向けた「独自基金造成」という実現困難なノルマが。
大学ファンドは公的資金10兆円で基金をつくり、それを株などに投資し、運用益で卓越大に補助金を出す仕組み。支援期間は最長25年間。卓越大はこの期間に、大学ファンドからの補助金と同規模の運用益を上げられる独自基金を造成しなければなりません。
株式などの運用利益をあてにするなんで、本来大学のやることではないんじゃないですか。

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