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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

神戸児相 女児追い返し 問われる業務の民間委託

2020-04-06 13:24:20 | 政治・社会問題について
神戸児相 女児追い返し 問われる業務の民間委託
神戸市で最低気温が1度まで冷え込んだ2月10日午前3時、児童相談所(児相)に助けを求めにきた小学6年生の女児が、窓口業務を請け負うNPO法人の職員に追い返される事件が起きました。業務量増大を理由に全国で広がる児相の業務の民間委託。子どもの命を守る最前線が揺らいでいます。(佐久間亮)

神戸市が委託しているのは夜間・休日の電話・窓口業務です。夜間業務は1人で午後5時15分から午前9時まで。有償ボランティア扱いとされ報酬は1回9千円です。同市ではその後、2年前にも同様に高校生が追い返され、公園で一夜を明かしていたことが発覚。市の担当者は「マニュアルに不備があった」とし、見直しを進めているといいます。
NPO法人の理事長は、業務は高齢者向けの生涯学習機関の修了者32人で回していたとしつつ、児童相談について学ぶ機会はなかったと語ります。

増えない職員
日本共産党の味口俊之市議は、市の事業評価で児相の人件費が「かなり高い」と攻撃されたことが民間委託の始まりだとし「1995年の阪神・淡路大震災後の人員削減路線が今回の事件として表れた」と分析します。
政府も「可能な業務は民間委託」という姿勢です。19年4月時点で児相の設置自治体の7割にあたる49自治体が民間委託を実施。厚労省の担当者は、電話相談や虐待通告があった際の安全確認など專門性を必要としない業務は民間に任せ、児相は虐待が疑われる家庭への介入などに専念すると説明します。同時に、委託先や委託内容は各自治体の裁量になるため、神戸市のような事件が再び起きる可能性も否定できないと認めます。
横浜市はすでに夜間の受付業務を警備会社に委託しています。
関東の児相に勤める職員は10年近く働いても電話相談は難しいとし、民間委託に疑問を呈します。「最初は不登校の相談でも、聞いているうちに家庭内暴力の問題が見えてくることもある。電話は切られたらそれっきり。子どもを守るため入り口でどこまでアンテナを張って対応できるか、高い専門性が求められる」
深刻な児童虐待が問題になるたびに児相の職員体制は見直されてきました。しかし、東海地方の児相の職員は、20年間で虐待相談件数が13・7倍になったのに児童福祉司の人数は2・8倍で、増えているのも1年更新の会計年度任用職員ばかりだと語ります。






AIの活用も
国は、虐待通告の増加に対応するためとして、虐待の「初期対応」と「支援」を別の職員に担わせる「機能分化」も進めます。同職員は、人の入れ替えが激しく経験が蓄積されないなか、現場では機能分化とマニュアル対応が強調され、一時保護の判断にAI(人工知能)を活用する自治体も出てきていると指摘。「專門性を否定する流れに感じる」と懸念します。
「業務増加を理由にしているが本当の狙いは人件費抑制ではないか。機能分化で虐待の介入ばかりやることになれば、いまでも心を病む職員が多いのに、ますますやりがいを感じにくくなる」

専門性を否定する動き
児童相談所の勤務経験もある立教大学の浅井春夫名誉教授

神戸市の追い返し事件は、本来豊富な経験と理論的な知識が求められる業務を民間のNPO法人の契約社員である高齢者に任せたことから起きた構造的な問題です。子どもの命に直結する公の業務は、行政が責任を持って担うべきです。
児相の夜間対応は無断外出などの問題が起りやすく、かつて一時保護所の職員が子どもに殺害される事件も起きています。民間委託するにはあまりにもリスクが高い業務です。
現在、児相の現場で進むマニュアル化や機能分化の動きは、マニュアルを整備すれば専門性を確保できるという専門職軽視の経済効率優先の発想があります。マニュアル依存体質は高度な判断力も、職員間の協力関係も育ちません。保育園では株式会社が参入しており、児相にも民営化が拡大することをたいへん危惧しています。
ケースワーカー1人が担当する件数は、日本の100~120件に対し英国は20~40件です。世界的にみて極めて貧弱な児相の職員配置基準の抜本的な増員こそ必要です。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年4月6日付掲載


児童相談所のような、もっとも弱者に寄り添わないといけない行政サービスが民間委託されている。
民間委託ならまだ人が対応するわけだが、AIにゆだねる自治体もあるという。
新自由主義もここまでくるかと思う。

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