徹底追及 統一協会 新世事件編③ 印鑑販売 トークの実態 家族思う心につけこみ
統一協会(世界平和統一家庭連合)が長年続けてきた霊感商法。幹部らの有罪が確定した印鑑販売会社「新世」では2009年ごろ、販売の「トークマニュアル」を使って被害を拡大させました。幹部や販売員、被害者の供述調書などから、当時の「トークの実態」が見えてきます。
同社は3本セットで40万円~300万円の印鑑を販売していました。社長が検察官に「トーク」の狙いを簡潔に説明しています。
「お客様に姓名鑑定などを行いながら、『ニード』、すなわち、悩み事や関心事などを聞き出し、それが先祖の因縁であることを伝え、運勢を変えるためには印相を変える必要があるなどと述べて、印鑑を販売するというものだった」
印鑑販売会社「新世」の契約書。3本セットで120万円
事実上軟禁
やはり有罪が確定した同社営業部長が、さらに詳しく狙いを説明していました。
「悪い因縁話をしなければ、ゲストに『切実感』を持たせることができない」「『切実感』を持たせない限り、街中と比べて高額な印鑑を買いたいと決意させることはできない」
販売員の女性は、「姓名鑑定は客の悩み事や関心事を知るための題材にすぎなかった」と供述します。
トークに使ったのはパーテイションで区切った2メートル四方程度の部屋。客の隣、出入り口に近い側にはアシスタントが座りました。「お客様にしてみれば出口をふさがれ、事実上軟禁状態に置かれたと感じたことになる」
トークの途中、「鑑定士」役の販売員はたびたび中座し、別室にいる上司に客の反応などを報告し、指示を仰いだといいます。
被害者からはどう見えるか。07年に「運勢鑑定をする」と声をかけられた女性は、印鑑を買わされ、いったんは1000万円を献金させられました。
先祖の因縁
40歳の夫を病気で亡くしていた女性は、「先祖がたくさんの人を殺した因縁だ」と聞かされ、「私や息子に不幸でも起きるのではないか、息子も40歳で亡くなるのかと不安を感じ、どうしたらよいか戸惑ってしまった」。120万円の印鑑購入を決めました。
これで「不安や戸惑いをいったんは解消できたと思った」といいます。しかしその後、「先祖の因縁」を語るビデオを繰り返し見せられるうちに「やはりどこかに心配が残っていたため、ビデオにくぎ付けになった」。
そして、家族を不幸から救うため「○○家の中心人物はあなた。あなたが、因縁を断ち切れる」などと説得され、「何度も言われるうちに、心の欠けた部分を埋めてもらったような充足感、満足感がわいてきた」。そして「お金を天に捧(ささ)げることに決めた」と振り返っています。
全国霊感商法対策弁護士連絡会代表世話人の山口広弁護士は「家族を大切に思うやさしさにつけこみ、誰もが抱える悩みを先祖の因縁のせいだと思い込ませるのが統一協会の手口だ」と語ります。
同社は客に、即座に払えるだけの現金を払わせました。販売員が金融機関のATMに同行することもありました。また、印鑑購入を家族に言わないように告げていました。
営業部長がこの狙いを供述しています。
「『陰で徳を積むことが善だ』という教えがある。もっとも、端的に言えばキャンセルを防ぐためだった」(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年8月29日付掲載
「お客様に姓名鑑定などを行いながら、『ニード』、すなわち、悩み事や関心事などを聞き出し、それが先祖の因縁であることを伝え、運勢を変えるためには印相を変える必要があるなどと述べて、印鑑を販売するというものだった」
全国霊感商法対策弁護士連絡会代表世話人の山口広弁護士は「家族を大切に思うやさしさにつけこみ、誰もが抱える悩みを先祖の因縁のせいだと思い込ませるのが統一協会の手口だ」。
印鑑販売会社「新世」は客に、即座に払えるだけの現金を払わせました。
相手の不安につけこみ、少しずつ、お金を搾り取っていく手口です。
統一協会(世界平和統一家庭連合)が長年続けてきた霊感商法。幹部らの有罪が確定した印鑑販売会社「新世」では2009年ごろ、販売の「トークマニュアル」を使って被害を拡大させました。幹部や販売員、被害者の供述調書などから、当時の「トークの実態」が見えてきます。
同社は3本セットで40万円~300万円の印鑑を販売していました。社長が検察官に「トーク」の狙いを簡潔に説明しています。
「お客様に姓名鑑定などを行いながら、『ニード』、すなわち、悩み事や関心事などを聞き出し、それが先祖の因縁であることを伝え、運勢を変えるためには印相を変える必要があるなどと述べて、印鑑を販売するというものだった」
印鑑販売会社「新世」の契約書。3本セットで120万円
事実上軟禁
やはり有罪が確定した同社営業部長が、さらに詳しく狙いを説明していました。
「悪い因縁話をしなければ、ゲストに『切実感』を持たせることができない」「『切実感』を持たせない限り、街中と比べて高額な印鑑を買いたいと決意させることはできない」
販売員の女性は、「姓名鑑定は客の悩み事や関心事を知るための題材にすぎなかった」と供述します。
トークに使ったのはパーテイションで区切った2メートル四方程度の部屋。客の隣、出入り口に近い側にはアシスタントが座りました。「お客様にしてみれば出口をふさがれ、事実上軟禁状態に置かれたと感じたことになる」
トークの途中、「鑑定士」役の販売員はたびたび中座し、別室にいる上司に客の反応などを報告し、指示を仰いだといいます。
被害者からはどう見えるか。07年に「運勢鑑定をする」と声をかけられた女性は、印鑑を買わされ、いったんは1000万円を献金させられました。
先祖の因縁
40歳の夫を病気で亡くしていた女性は、「先祖がたくさんの人を殺した因縁だ」と聞かされ、「私や息子に不幸でも起きるのではないか、息子も40歳で亡くなるのかと不安を感じ、どうしたらよいか戸惑ってしまった」。120万円の印鑑購入を決めました。
これで「不安や戸惑いをいったんは解消できたと思った」といいます。しかしその後、「先祖の因縁」を語るビデオを繰り返し見せられるうちに「やはりどこかに心配が残っていたため、ビデオにくぎ付けになった」。
そして、家族を不幸から救うため「○○家の中心人物はあなた。あなたが、因縁を断ち切れる」などと説得され、「何度も言われるうちに、心の欠けた部分を埋めてもらったような充足感、満足感がわいてきた」。そして「お金を天に捧(ささ)げることに決めた」と振り返っています。
全国霊感商法対策弁護士連絡会代表世話人の山口広弁護士は「家族を大切に思うやさしさにつけこみ、誰もが抱える悩みを先祖の因縁のせいだと思い込ませるのが統一協会の手口だ」と語ります。
同社は客に、即座に払えるだけの現金を払わせました。販売員が金融機関のATMに同行することもありました。また、印鑑購入を家族に言わないように告げていました。
営業部長がこの狙いを供述しています。
「『陰で徳を積むことが善だ』という教えがある。もっとも、端的に言えばキャンセルを防ぐためだった」(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年8月29日付掲載
「お客様に姓名鑑定などを行いながら、『ニード』、すなわち、悩み事や関心事などを聞き出し、それが先祖の因縁であることを伝え、運勢を変えるためには印相を変える必要があるなどと述べて、印鑑を販売するというものだった」
全国霊感商法対策弁護士連絡会代表世話人の山口広弁護士は「家族を大切に思うやさしさにつけこみ、誰もが抱える悩みを先祖の因縁のせいだと思い込ませるのが統一協会の手口だ」。
印鑑販売会社「新世」は客に、即座に払えるだけの現金を払わせました。
相手の不安につけこみ、少しずつ、お金を搾り取っていく手口です。
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