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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

危機の経済 識者は語る① 技術覇権を争う米中

2020-07-23 11:22:41 | 経済・産業・中小企業対策など
危機の経済 識者は語る① 技術覇権を争う米中
龍谷大学名誉教授 夏目啓二さん

2020年7月19日現在、新型コロナウイルスの世界累計感染者数が、1428万人を超えました。1日あたり新規感染者数も25万人を超えました。アジア(とくにインド)、中南米(とくにブラジル)など世界は、パンデミック(感染症大流行)のただ中にあります。
米国では、世界最多の累計感染者数371万人余り、死者数14万人余りで、1日あたり新規感染者数は7万人を超えました。先進国地域が6月に入ってロックダウン(都市封鎖)を解除し、社会経済活動を再開するなかで、米国は突出して感染拡大の危機を深めています。
現在起きている世界のパンデミックは、一国や一地域での感染抑制に成功しているからといって制御できるものではありません。6月19日、世界保健機関(WHO)は「パンデミックは加速している」と、警鐘を鳴らしています。
なかでも、米国の感染者数の再拡大が危機的で、世界の社会経済活動にも深刻な影響を及ぼしています。



上海にオープンしたファーウェイの新しい旗艦店の前に並ぶ人々=6月24日(ロイター)

原因は楽観論
米国がパンデミックの危機を生み出した最大の原因は、トランプ大統領の新型コロナウイルス感染症に対する楽観論にありました。①初期の段階で米国の感染症対策を遅らせたこと②その結果、医療従事者の献身的な貢献にもかかわらず、その後の医療体制を十分に整備できなかったこと③アフリカ系市民に広がる貧困問題、人種差別問題を放置し、米国社会の分断を広げたこと―でした。米国のパンデミックは、経済優先と自国優先を掲げるトランプ大統領の新自由主義により引き起こされました。
しかしながら、11月に大統領選挙を控えるトランプ大統領は、米国のパンデミックの原因を米中対立にすり替えました。①初期の段階で新型コロナウイルス感染対策を遅らせたのは、中国の情報隠しが原因だ②WHOは中国寄りの判断をしている―などといって、トランプ大統領は自らの失政の責任まで中国政府に転嫁しようとしています。

台頭する中国
米中対立は、世界でパンデミックが起きる19年末以前に、商品・サービスの貿易、直接投資、国際金融などの貿易交渉をめぐり起きていました。米中対立は、世界経済で台頭する中国の経済力を警戒するトランプ政権が、中国に譲歩を求める貿易交渉でも起きました。貿易交渉の品目は、消費財や日用品などのローテク製品にはじまりパソコンやスマートフォンなどのハイテク製品にまで及びました。
なかでも、次世代の情報通信技術である5G(ファイブG)と呼ばれるハイテク技術の開発と導入、普及をめぐって米中は、厳しい技術覇権競争を繰り広げています。5Gは、デジタル技術革新の中核にあります。クラウド技術、ビッグ・データ、AI(人工知能)、IoT(インターネット・オブ・シングス=モノのインターネット)などのデジタル技術革新が、世界のあらゆる産業、金融、流通、通信、サービスの分野に浸透し、その構造を転換しています。
米中対立の主役の一方は、中国のスマホメーカーのファーウェイです。19年5月、米中対立の主役のもう一方である米国の商務省から輸出規制の制裁を受けています。それから1年後、パンデミックただ中の20年5月、米国の商務省は、ファーウェイに対して輸出規制の措置をさらに延長・強化しました。商務省の制裁強化がファーウェイに及ぼす影響を明らかにし、この米中対立が、世界経済と日本経済に及ぼす影響を考えてみましょう。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年7月21日付掲載


世界的なパンデミックの広がりの中でも、米中の経済覇権争いはとどまるところを知りません。
中国のスマホメーカー・ファーウェイも市場拡大を狙っています。

豪雨災害Q&A③ 住宅被害 支援内容に差

2020-07-19 08:22:54 | 震災・災害・復興・地震&災害対策など
豪雨災害Q&A③ 住宅被害 支援内容に差
 住宅の被害にたいする支援制度には、どういうものがありますか。

何度でも調査を
 大きくいって別表のように二つの制度があります。
問題になってくるのは調査による被害認定です。支援内容に大きな差が出てきます。1次調査では、浸水による「全壊」は床上1・8メートル以上、土砂の堆積による「全壊」は床上1メートル以上などとしています。しかし、これはあくまでも簡易なもので、それ未満でも実際に住めない場合は少なくありません。
被害認定に納得がいかない場合は、2次調査、再調査など何度でも求めることができます。内閣府も「畳が浸水し、壁の全面が膨張しており、さらに浴槽などの水回りの衛生設備等についても機能を喪失している」場合に「大規模半壊」「半壊」と扱うとしています。「半壊」であっても「浸水等の被害により、流入した土砂の除去や耐え難い悪臭のためやむを得ず住宅を解体する」場合、「全壊」と同様に扱うとしています(「浸水等による住宅被害の認定について」2004年10月28日)。
また、航空写真を活用しての判定や、被害区域の四隅をサンプル調査して当該地域すべてを「全壊」とすることも可能としています。


災害者住宅再建支援制度と災害救済法の住宅の応急修理の対象
被害認定区分損害割合被災者生活再建支援制度災害救助法の住宅の応急修理制度
基礎支援金加算支援金
全壊50%以上100万円建設・購入=200万円、補修=100万円、賃借(公営住宅以外)=50万円○(併給可能※)
大規模半壊40%~50%50万円
半壊20%~40%××○(59.5万円)
一部損壊(準半壊)10%~20%××○(30万円)
一部損壊(10%未満)10%未満×××
※応急修理の限度額を超える部分を、被災者生活再建支援制度の「補修の加算支援金」で受けた場合は、「建設・購入の加算支援金」は受けることができなくなるので注意が必要(内閣府の資料などから作成)


破損はなくても
「全壊」「大規模半壊」の場合は最高300万円が支給されます。しかしこれでは住宅再建費用のごく一部にしかなりません。新型コロナウイルスの感染リスクを減らすために避難期間を短縮する必要があり、支援金の抜本増額が求められます。「半壊」「一部損壊(準半壊)」の場合には「応急修理制度」があります。
内閣府の「災害救助法に基づく住宅の応急修理に関するQ&A」(19年11月21日)では、「被災者生活再建支援金」と「応急修理」の併給が可能としています(別表の※)。また、床上浸水で悪臭が取れないなど、そのままでは生活できない場合、破損はなくても「応急修理」の対象となります。(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年7月17日付掲載


住宅被害への支援金は、被害の度合いによって大きく差があります。
納得のいかない場合は、何度でも調査してもらいましょう。
床上浸水で悪臭が取れないなど、そのままでは生活できない場合、破損はなくても「応急修理」の対象となります。

豪雨災害Q&A② 土砂撤去 公費でできる

2020-07-18 08:13:33 | 震災・災害・復興・地震&災害対策など
豪雨災害Q&A② 土砂撤去 公費でできる
 家屋や私有地に流れ込んだがれきや土砂の撤去は、被災者個人の力ではどうにもなりません。

補助金など活用
 公費で撤去できます。災害救助法は、「障害物の除去」を定めています。災害によって、土石、竹林などの障害物が家屋や宅地に運び込まれ、日常生活ができない被災者への支援制度です。除去の費用は、1世帯当たり13万7900円(2019年10月基準)以内です。
さらに、環境省の「災害等廃棄物処理事業」と国土交通省の「堆積土砂排除事業」による補助金および特別交付金を活用することで、被災者の負担なしの撤去ができます。
土砂まじりのがれきも対象です。18年の西日本豪雨災害をうけ、日本共産党の仁比聡平参院議員(当時)が、宅地内の土砂やがれきの撤去について公費で行うことを強く求め、政府は環境省と国交省による連携制度を表明しました。環境省は4日、「令和2年7月3日からの大雨により発生した災害廃棄物の処理等に係る補助制度の円滑な活用について(周知)」を都道府県に発出。この制度を紹介し、今回の豪雨災害でもこの措置をとることが可能としています。



球磨川の氾濫で浸水し、使えなくなった家財道具=9日、熊本県人吉市

要望を上げよう
また、これから撤去する家屋やがれきだけでなく、すでに撤去に着手したり終了したりしている場合も、補助対象になります。環境省は6日、「令和2年7月3日からの大雨に係る災害等廃棄物処理事業において、既に所有者等によって全壊家屋や宅地内土砂混じりがれきの撤去を行った場合の費用償還に関する手続きについて(周知)」を出しています。さらに、全壊家屋だけでなく、「その他の災害等廃棄物処理事業についても適用できる可能性がある」としています。自治体に要望を上げていきましょう。
畳や布団、廃家電、倒木などの処理困難物もふくめて、自治体がおこなっている回収費用も、「災害等廃棄物処理事業費補助金」の対象になり、補助金および交付税措置が適用できます。高齢者など「災害ゴミを集積場まで運ぶのは無理」などの声にこたえて、市町村にどんどん要請しましょう。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年7月16日付掲載


風水害や地震などの災害で自宅になだれ込んだ土砂やがれきの撤去は、公費で撤去してもらえます。
すでに自費で撤去した場合も、あとから支払ってもらうことができます。
領収書や写真もとっておきましょう。

豪雨災害Q&A① コロナ禍での避難生活

2020-07-17 09:18:47 | 震災・災害・復興・地震&災害対策など
豪雨災害Q&A① コロナ禍での避難生活
大雨の被害が九州、東海を中心に拡大しています。
新型コロナウイルス感染の恐れもあるなか、避難生活で気をつけるポイントや被災者支援の制度をQ&A形式でまとめました。

生活環境の改善
 コロナ禍のもとでの避難生活。どんなことに注意すればいいのでしょうか?
 感染症対策に万全を期しながら、避難所での生活環境を改善させることが必要です。内閣府は、「避難所の確保及び生活環境の整備等について(留意事項)」との「通知」を4日に、「避難所における新型コロナウイルス感染症への対応に関するQ&A(第1版)」を6月10日に出しています。
「通知」では、「可能な限り多くの避難所の開設」と「ホテル・旅館、研修所、その他の宿泊施設」の活用を促しています。「Q&A」では、健康チェックリスト、サーモグラフィーの設置、避難所のスペースのパーティションやテントなどの配置図、医療機関などによる支援体制の構築などを求めています。
食事や食材購入・炊事場確保については、「管理栄養士等を必要に応じて雇い上げる」「メニューの多様化、適温食の提供、栄養バランスの確保、高齢者や病弱者にたいする配慮等、質の確保」を明記。簡易ベッド、畳、マット、カーペット、冷暖房機器、洗濯機、乾燥機、仮設風呂やシャワーなどは欠かせません。
さらに、プライバシーの確保やジェンダー平等の視点も大切です。「通知」では、「その他必要な設備備品」も環境整備の対象としています。避難者が必要なものはどんどん要望しましょう。レンタルだけでなく、購入も求めましょう。



豪雨災害の被災者が生活する熊本県八代市の避難所。新型コロナウイルス対策で、ソーシャルディスタンス(他者との距離)を保つため段ボールで仕切られている=7月9日、同市

「在宅」に支援は
日本共産党の志位和夫委員長は9日、武田良太防災担当相に、自宅や車中泊、親戚など「分散型避難」をしている方々への支援を求めました。被災地では、「食事や服の支給は避難所に寝泊まりしている人だけかと思っていた」などの声が相次いでいます。
内閣府は10日、「在宅避難者への物資・情報等の提供について」との「通知」を各県に発出しました。食料や水、紙おむつ、生理用品などの必要な物資の配布、医師・保健師による保健・医療サービスの提供、住まいや生活環境に関する行政からの正確な情報などを「適切に提供していただくようお願いします」としています。
国は、「通知」などを出して終わりでなく、着実に実現するために責任を持つことが求められています。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年7月15日付掲載


日常生活から離れての避難所での生活。洗濯機や乾燥機などはもちろん、プライバシーの確保やジェンダー平等の視点からの対策も必要。
自宅や車中泊といっても、ライフラインが途絶えていては支援が必要。食料や生活物資の支援を。

日韓の歴史をたどる㉕ 民衆の抵抗 「白い旗」を掲げたままに

2020-07-14 20:17:58 | 日韓の歴史をたどる
日韓の歴史をたどる㉕ 民衆の抵抗 「白い旗」を掲げたままに
樋口雄一

日本と朝鮮は歴史的に、違う言葉と慣習、食習慣を作りあげてきました。日本はこの違いを無視して植民地支配を強行、大きな抵抗を生みました。
短期間に朝鮮の民俗・習慣を無視して日本化を進め、朝鮮人と朝鮮文化を差別したこと、日本の利益を前面に朝鮮の土地と人を収奪し、豊富な人材と文化、豊かな土地、資源を持つ国を奪ったことが広範な抵抗を生んだ理由です。

侵略批判の言動 取り締まる法律
朝鮮人民衆の日本へのさまざまな形での抵抗を取り締まるため、日本は韓国政府に1907(明治40)年、保安法を制定させました。同法は「政治に関し不穏の言論動作または他人を煽動教唆(せんどうきょうさ)」などによって治安を妨害するものに2年以下の懲役などの重い刑を科し、日本の侵略を批判する言動を取り締まりました。
1919年に三・一運動が起きると、その弾圧のために同年4月、「政治に関する犯罪処罰の件」(制令7号)を公布・施行。最高刑を10年以下の懲役または禁鋼と大幅に引き上げました。1925年に日本国内で治安維持法が成立すると朝鮮でも同時に施行され、独立運動や社会運動を弾圧しました。
朝鮮民衆は三・一運動のような直接的な行動以外にも、さまざまな抵抗をしました。日本の戦争遂行政策とそれへの抵抗といえる事例を挙げます。
・戦時下の日本と同様に朝鮮でも、天皇誕生日などの祝日に日本国旗を揚げることが強制されていましたが、朝鮮で発行されていた日本語新聞の釜山日報には、朝鮮人が「玉のない国旗」を揚げていたり、はなはだしい時には5日間もぶっ通しで掲げているという嘆きが載っています。
「玉のない国旗」とは、赤い「日の丸」のない白い旗のことで、それを何日も揚げているのは不敬だと指摘しているのです。朝鮮人にとって、なんのために挙げるのか理解できなかったのです。
・1942年10月、慶尚北道の警察部長が大邱地方法院の検事正に出した文書には、米を供出した後に自家消費の食がなくなった農民が、配給日をねらい、警察や面事務所(日本の村役場に当たる)に押しかけて配給を要求したという報告があります。そのような行動が広がっているという内容です。
・朝鮮農政の研究者、総督府小作官の久間健一は、『朝鮮農政の課題』(1944年)で、農民は米の収穫直前、あるいは刈り取り、脱穀、小作料納付時などに98の不正な方法で米を盗み取ったと詳細に書いています。食糧難のなかで生命を維持するための農民の抵抗の一つでした。



朝鮮総督府が設置し朝鮮人を投獄した刑務所の展示模型(『独立紀念館』から)


国民精神総動員朝鮮連盟が配った東方遥排を強要するチラシ(『独立紀念館』から)

西大門刑務所が当時の様子伝え
・強制動員で日本に連れてこられた労働者も、食糧不足などで集団での紛争はめずらしくありませんでした。職場から逃亡したそれらの人は、朝鮮人集住地区や追及されない軍の作業場に入り込みました。そのため工場の現場などでは労働者が不足し、逃亡が見つかるとひどいリンチで死亡することもありました。
抵抗したために、保安法、制令7号、治安維持法の3法が適用された朝鮮人の総計は1907~1941年末までで1万5032人で、件数は2549件となっています(朝鮮『司法協会雑誌』22巻11号、1943年の掲載論文から)。この数字は、裁判の第1審で有罪となった人のみです。
朝鮮人の多くの人々が朝鮮内の各刑務所に収監されました。現在、観光地のソウルでは、3法が適用された人々が収監されていた西大門刑務所が、当時の様子を伝えるために公開されています。
1945年8月15日を迎えた朝鮮人は、朝鮮全土、外国にいた大半の人々が解放を一斉に祝い行進しました。朝鮮人にとってこの日は「解放」の日で、現在でも祝日です。
(ひぐち・ゆういち 朝鮮史研究者)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年7月7日付掲載


植民地化された韓国。国旗掲揚といっても抵抗するため、日の丸の無い「白い旗」を掲げるって、なかなかやるじゃない。
西大門刑務所は志位さんも訪れたと言うけど、弾圧の実態を今に伝える貴重な建物です。