名古屋・名駅街暮らし

足の向くまま気の向くままに、季節の移ろいや暮らしのあれこれを綴ります。

お隣さんの引っ越し

2010年04月22日 | セカンドルーム

 

昨日の汗ばむような陽気が一変して、今日は冷たい雨が降っている。
寒暖の差が大きく、日照時間も少ないので、農作物への影響が心配だ。

昨日、散歩をしていたら、草むらで青大将が、早くも日向ぼっこをしていた。
ユキが飛び掛る寸前に、リードを引いて事なきを得た。
目覚めたばかりの蛇の動きはまだ緩慢だったが、大きな口を開いて威嚇していた。
今日のような冷たい雨降りでは、エサにする蛙もヤモリも出歩かないし、この寒さで動きの鈍い蛇は、鷹やイタチの餌食になってしまう。
動物たちも、天候不順に戸惑っていることだろう。

お隣さんが、町へ引っ越したので、前を通る車が無くなり寂しくなった。
お隣さんといっても、橋を渡り細い道を歩いて、往復10分ほど掛かるので、訪ねて行かない限り動静はわからない。


家は集落の一番奥にあり、山を背にして、前を清流が流れ、脇には滝が流れ落ち、鳥のさえずりと瀬音以外に音の無い、まるで山水画のように静かな世界だ。
そこに、80代の老夫婦と60代の子供夫婦が住んでいた。
野菜の作り方を教わったり、作ってない野菜を貰ったりしてお付き合いをしていたが、おじいさんの足が弱くなり、外に出ることも、野良仕事も少なくなった。
子供夫婦は町へ勤めに出るので、留守中の心配が大きかったようだ。
先祖から引き継いだ家屋敷や田畑を残して、町へ移るのを反対していたおじいさんも、公共交通機関も無く救急車も入れない山奥の一軒家に住み続けることを諦めたようだ。
上の1軒がいなくなり、下はおじいさんの一人暮らし、向かいの2軒は既に空き家で、向こう3軒両隣の絆は成り立たない。
過疎の集落から1軒の家がなくなる事の影響は大きく、水路の清掃や草刈りなどの共同作業や、祭りや町内会の運営などの負担が残った家に掛かってくる。
それに加えて、耕作しなくなった田畑や、人が入らない山林が増えると、野生動物が動き回って周りの家の被害を大きくする。
それでも、町へ行く人たちのことを、悪く云う人はいない。
止むに止まれぬ事情で、土地を去る人の切ない心情が分かるし、いつか自分もという思いがあるからだろう。
現役の頃は度々の転勤で、仮の住まいであっても、多少の未練を残しながら引越しをしていたことを思い出す。
生まれ育った故郷を捨てる辛さは如何ばかりかと、その心情を察するに余りある。

コメント (6)
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