こつなぎの写真ノート

身近な自然の彩りを楽しみながら

ドクダミ(別名、十薬(じゅうやく))に魅せられて、2020年6月

2020-06-13 | 

今年は、ドクダミ(ドクダミ科ドクダミ属の多年草)が庭で群れとなって、花を開いている。例年ならば、花が盛りになる前に刈り捨てるが、今年は「十薬(じゅうやく)」としての別名を、管理人が強く意識したからである。そして、友人から入手したヤエドクダミとフイリドクダミが、庭の定住者になったからでもある。

ヤエ(八重)との名は、花びらに見えるほう(苞)が八重の塔の形状になっていることに由来する。

このものでは、苞の一部が緑色を帯びている(いわば、先祖返りであろうか)。

フイリドクダミ(斑入りドクダミ)、別名はゴシキドクダミ(五色ドクダミ)である。

このものは、江戸時代に作出された園芸種「斑入りドクダミ」がヨーロッパに渡り、逆輸入されたものである。

日差しが当たる部分は鮮やかな赤色を帯びている。

日照(紫外線照射)で生成される活性酸素から身を守る、抗酸化色素(アントシアニン)ができるからである。

庭では、部分的に鮮やかさを出すために、半日陰の条件で育てている。

斑入りの葉とクマガイソウ(熊谷草、ラン)のそれとの対比(日陰にて)

 

マクロレンズで撮った、ノーマル版の花である。多数の小さな花が、円柱状の花序(花穂)にて密生している。

 

今年は、花序(円柱)が意外に長いような気がする。

昨年までは、このものが長くなる前に、本体を刈り取っていた(苦笑)。

 

ところで、ドクダミは抗菌性、抗カビ性の成分を含んでいる(武田薬品工業・京都薬草園ホームページ、エイザイ・くすりの博物館ホームページ)。また、そして抗ウイルス性の成分を含んでいるとの報告もある。成分の主なものは、炭素鎖の長いアルデヒド、デカノイルアセトアルデヒドである。このものが、あのドクダミ特有の臭いを放つ。

当方は、キレンゲショウマを、ドクダミの力を借りて、花を食害するクロハウリムシから守りたいと思っている。

 

ドクダミとアジサイの組み合わせも面白いかなと思って。

 

撮影、6月9,14日

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朝日新聞、天声人語(6月13日)から(抜粋・引用)。

日陰でも、いや日陰だからこそ映えるドクダミの花。それをきれいだと思ったのは、実は今年が初めてである。もしかしたら今まで、その美しくない名前の響きに心を縛られていたのかもしれない。......。ドクダミには「毒を矯(た)める、止める」の意味があり、十薬との別名も持つ。古くから薬用としてだいじにされてきた植物なのだろう。見ていると落ち着くその姿が、心の薬になってくれれば。