法音カウンセラー 釋 真聴 《日乗》

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里村専精師「浄土真宗にようこそ」No68

2017年01月04日 23時05分11秒 | 里村専精師の言葉

里村専精師の「浄土真宗にようこそ」No68をお届けします。

天親菩薩という人の足跡を思います。
ガンダーラ地方・プルシャプルに生まれた人でしたが、その生涯が暗示的です。
兄の無着は、早くから大乗を学ぶ人でしたが、
天親は有部(sarvstivdin)から学び始めます。
そして国禁を冒してまでと言われていますが、経量部にも学びました。
現在のカシミール地方ですが、ここで学んだことが思想の成長を培いました。
ガンダーラ(現在のペシャワール)に戻って、倶舎論を著します。
部派仏教と呼ばれていますが、ブッダのサンガが追及した人間学の展開があります。
やがて兄の無着に呼ばれて、アヨデーィアに行き大乗のサンガに帰入します。
アヨーディアは、祇園精舎から真直ぐ南に80キロメートルほどの所にあります。
現在ではアヨーディアは、ヒンドゥー教の聖地として問題を投げかけています。
この地で天親菩薩は、本当に菩薩としての学びを確立します。
兄の教えた唯識の伝統を享けて、天親は精密な人間学を確立して行きます。
それは人間を徹底的に探求した、大切な学びでした。
いい加減のヒューマニズムではありません。
徹底した人間成就の大道を、完璧にまで追及したものでした。
それはあくまでも、人間の駆使する理性を拒絶して、
ブッダの聖教を基準にして学ぶものでした。
ですから、それこそヒューマニズムという甘いものではなくて、厳しい人間学でした。
人間の狭い限定を超えて、人間存在の根底を明らかにする学びは大きな天地を開きます。
大乗仏教が生まれた、その根源の動機に根差して、天親の学びはありました。
理性の恣意で閉ざされる学びを厳しく拒絶して、
大きな人類的視野でのサンガ世界を訪ねるものでした。
「唯識三十頌」は短い論文ですが、厳密な人間学ですし、世界精神の偉大な遺産です。
現代の文明は、改めて天親菩薩の学びを見直すべきだと思われます。

 

《声明カウンセラー・くりのみ》が主宰・同人として参加している学習会です。
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