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里村専精師 浄土真宗にようこそ(No012)

2013年05月21日 23時27分35秒 | 里村専精師の言葉

里村専精師の「浄土真宗にようこそ」No12をお届けします。

浄土真宗にようこそ(012)

親鸞聖人の浄土往生の決断は、「雑行をすてて本願に帰す」というものでした。
『私に信心があります』とか、『私は悟りました』なとどいう不遜な言葉はありません。
親鸞が帰したものは、阿弥陀仏の本願の歴史でした。
本願は歴史を縫って、一筋のサンガの事実を形成していました。
それは歴史するサンガです。
釈尊の時代を起点にして、龍樹・世親を生んだサンガへと歴史しています。
そして中国では、曇鸞から発して玄中寺にそれは歴史しました。
道綽(562-645)禅師は、そのサンガに大きな驚きを見て安楽集を書いたのです。
その安楽集を、誰が読んだでしょうか。
善導大師が、おそらく熱心な読者だったようですが…。
ほとんどの人に読まれることもなく、安楽集は法然(1133-1212)を待ったのです。
およそ五百年を過ぎて、本願の仏道はようやくそれを読む人を見つけるのです。
法然上人に師事して、親鸞は大きなサンガを見つめます。
歴史するサンガに覚めて、親鸞は釈尊をも包んで展開するサンガに生きるのです。
それは大きな世界の確信でした。無量光明土と讃歎されています。
この世に生きる総ての人を包む光明に満ちた世界が開かれているのです。
このことを『大般涅槃を超証する』とも親鸞は言います。
雑行をすてて本願に帰して、親鸞には大きなサンガ世界が見えていたのです。
如来の大行を讃歎する親鸞は、本願によって開かれた一切衆生の存在根拠に安立します。
親鸞はその90年の生涯を通して、ただ南無阿弥陀仏するのでした。
大きな如来の行に生かされて、親鸞は感動に満ちた往生道を生きたのでした。
如来の大行は、歳月を度外視して着々と息づいているのですから。


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