尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

福島原発は地震で損傷したのか

2011年07月08日 23時08分28秒 |  〃 (原発)
 今日発売の週刊金曜日7月8日号放射能はどこに落ちた」特集はとても役に立つので、直接購読してない人も書店で見たらぜひ見て欲しい。青山貞一「放射性物質はどこへ落ちた」は具体的な調査データにより南相馬市東部より福島市の方が空間線量率が高いところがあると示されている。(南相馬市は一部が20キロ圏に入るが、福島市はもっと遠い。)地表1mに比べると、地表面の放射線量がずっと高くなっている。それは「原発から各地に飛んだ放射性物質が降雨により地表面に沈降し、その後、地表に留まり放射線を出し続けているからと推察される。」ということである。
 さて次のページにある早川由紀夫氏の論考によると「汚染ルートとタイミングは福島原発で起こった爆破日時とは合わない」とのことである。「福島原発から大量の放射性物質が漏れたのは、爆発の瞬間ではなかった。爆発からしばらく時間を置いて、原発建屋から音もなく、静かに漏れ出したように見えるのだ。」

 僕は4月10日の段階で、このブログに以下のように書いた。
 「今回、炉心溶融が起こり大量の放射性物質が出ましたが、原子炉格納容器が残っているので、まだ大部分は抑えられている状況と考えています。今、格納容器に窒素を注入し爆発を防ぐ対応を取っていますが、絶対大丈夫という段階ではありません。」
 この段階でまだメルトダウンしていたという発表はなかったけれど、状況を見るとメルトダウン(炉心溶融)しているとしか思えなかった。後に地震当日の夜にすでにメルトダウンしていたという解析結果がずいぶんたってから出てきた。4月10日は震災ボランティアへ行く直前で、しばらく書けないので原発問題をまとめて書いたわけである。その後は具体的に書いてないけど、それは何が起きてるかの正確なデータも出てこないのに、専門家でもない僕が書けることはないと思ったからだ。地震当日夜のまだ勤務先の学校から帰れずテレビニュースも見られない時期に、もうメルトダウンしてしまっていたのだったら、その後の心配して見ていた時期はなんだったのか?

 さて、今一番知りたいことは、どこからどのように放射能が漏れだしたかということだ。今現在は大気中には新しい大きな排出はないと思われるが、地下水には漏れ出ているかもしれない。地震があり、津波が来て、爆発をした。よって原発内部がどうなっているかわかったものではない。
 その中で、今多くの人は「津波」「爆発」が大問題だったと考えていると思うが、問題はそもそもの地震の揺れでどのような損傷があったのかという問題である。なんでかと言うと、高経年化した福島第一原発(営業開始を見ると、1号機が71年、2号機が74年、3号機が76年、4号機が78年)では、揺れそのもので、どこにどのようなパイプのずれとか穴ができたか、わかったものでないと思うからだ。
 実際、5月25日付朝日新聞1面は3号機の「冷却配管 地震で破損か」とトップで報じている。また東京新聞6月1日付「こちら特報部」でも、「認めたくない?地震損傷」「『津波で暴走』怪しく」と大きく報じている。この問題がその後あまり追求されていないと思う。これは非常に大変な問題である。何しろ津波だったら想定外と言って言えないこともないが、地震の揺れそのものに関しては「想定外」とは言えないからだ。阪神大震災、新潟中越沖地震で耐震建築は見直され、揺れ自体には耐えられることになってるので、それが崩れたら、津波対策だけでは終わらずにすべての原発を止めなくてはならないことも考えられる。

 そして、高経年化(つまり古くなってぼろくなった)福島第一原発1号機を、今後も使い続けて大丈夫だよとお墨付きを与えたのは、国(原子力安全・保安院)だったからである。そのお墨付きの日付は、知ってる人も多いと思うけど、「平成23年2月7日」だった。大震災のひと月と4日前である。気になる人は原子力安全・保安院のホームページにある「東京電力株式会社福島第一原子力発電所1号炉の高経年化技術評価書の審査結果及び長期保守管理方針に係る保安規定の変更認可について」という長い名前のプレス発表資料を見てください。
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バッテリー技術の革命を

2011年06月30日 20時53分46秒 |  〃 (原発)
 明日から節電態勢がさらに強化されます。で、原発は再開すべきか、いや自然エネルギー開発に力を注ぐべきだ、それより文明社会の便利さ自体を問い直すべきだ…といろいろな意見が飛びかいます。これらの議論も大事だと思うけど、それより新技術の方向性で違う考え方もあるのでは、という話。これは先に紹介した安斎さんの本で教えられたことです。
 今の議論は「電気は貯めておけない」ことが前提になっています。しかし、一日中クーラーをつけてるわけじゃないから、つけてない時に充電しておいて、その電池でピーク時の運転ができるようになれば、何の問題もありません。技術的には、核廃棄物の最終処理や太陽光以外の自然エネルギーの大規模実用化などより、ずっと簡単なのではないかと想像します。というか経済性を無視すれば今でもできるのではないかと思います。(太陽光も蓄電技術だから、その大規模バッテリーは太陽光で可能になるのかもしれません。)

 現在もすでにずいぶん多くの電機製品がバッテリーで動いています。ひげそりや電動歯ブラシなんかはモーターを動かすだけで大して電力はいらなさそうだし、手に持って使いたい製品だから充電して使ってます。これらは小さな機械ですが、携帯電話などはいまや小さなパソコンというべきだけど、バッテリーを充電して使っています。ケータイするためにはコードがあっては意味なく、バッテリー技術の発展で携帯電話という機械ができました。携帯電話という商品ができてからもどんどん進化していって、バッテリーの使い勝手も急激に良くなっていきました。
 また、電気自動車というものも実用化されています。(しかし、今後はどうなるんでしょうか?)そういう風に考えると、ケータイや電気自動車まで実用化できるバッテリー技術の発展を、さらに追及していけば「電気を貯める」ことがもっとできるようになるのではないでしょうか?

 今までの大型家電が充電式でないのは理解できます。ケータイするわけじゃない、冷蔵庫やクーラー、洗濯機、テレビなんかを充電する意味はありません。コンセントにつなぎっ放しの方がいい。動かさないんだから。水道から水が出るのにわざわざ汲み置きするのは二度手間です。しかし、水不足で時間断水することは今でも時々聞かれるけど、そういう時は水道が出るときに水をためておきます。今や電気も不足する時代なんだから、大型バッテリーで夜などに電気を貯めておく技術が必要です。

 いや大都市では夜も朝も暑くてクーラーつけるぞと言われるかもしれません。その通りなんだけど、工場やオフィス、学校などを考えると、夜はほとんど使ってないでしょう。(業種によって夜間の方が使う場合もあるし、理系大学の実験なんかで夜も使うかもしれないが。)そういう大型施設を考えると、そこで大型のバッテリーが設置できるようになれば、とても効果があるはずです。
 家での家電状況を考えると、小型製品(1万程度)や自動車(100万超)はバッテリーが可能だけど、その中間の大型家電(10万超)の価格帯では、充電タイプにすることでコストアップになると価格競争に太刀打ちできないのではないかと思います。しかし、大規模オフィスなどでは、規模のメリットがあるのである程度実用性があるのではないかと予想します。ゴーヤを窓にはわせたり、雪を利用したりするよりも、よくないですかね。

 ただし、以上の話はしろうと考えです。すごい技術が開発されたはいいけど、レアメタルを使わなければならなかったということもありえます。(そういえば、原子力に使うウランもレアメタルで、石油より早くなくなりそうということですが。)
 また、夜間電力は主に原子力で作られてきました。一度運転を開始したら急に止められない原子力発電を前提にして、揚水発電とか夜間電力の利用が言われてきました。原発を使わないなら夜間電力も少なくなるとも考えられます。しかし、火力でも水力でも連続稼働した方がコストダウンになるのは当然ではないかと予想できます。昼の電力使用を抑えるために夜に発電して貯めておくことは可能でしょう。

 ということで、大規模なバッテリー技術の革命的発展をめざしましょう!

 ところで今回家電製品をいろいろと思い浮かべて考えましたが、掃除機が充電式になって欲しいですよね。まあ、日本の家庭事情ではそう広い部屋もないので、せいぜい10分、20分だからガマンしてるけど、長くなったコードを収納するのが面倒。学校みたいにけっこう広い場所を掃除するときは不便です。もうずいぶん充電式掃除機もあるようだけど、どんどん性能がアップしていくことを期待します。
 またドライヤー。旅行用品などではコードレスもあるけど、一般的にはコードがあると思います。まあドライが目的と言うより、正確には「ヘアスタイル・コンディショナー」として使うことが多いから、ドライヤーとしてはポータブルの方がいいけど、大型の鏡の方が動かないからコードレスの意味がないと言えるでしょう。しかし、それとともに、電気を熱に変換するという点で効率が悪いので、バッテリー式に向かないのかもしれません。

 商品としての電気とは何なのかを考える中で、こういうことを考えました。この話題はまたいずれ続けたいと思います。
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東電総会、訂正と補遺

2011年06月29日 23時20分27秒 |  〃 (原発)
 毎日重大なことを書き続けるのは読む方も大変だろうから、今日は休もうかとも思ったけど、訂正があるので。(なお、字の変換ミスの見逃しはいくつもあるので、いちいち訂正しませんので。昨日も「御前」という間違いがあった。今までも「辻本清美」「緒方拳」とかあったけど、菅直人論のところで市川房枝さんを「恒例の女性運動家」という間違いにはわれながらびっくり。)

 株主総会の話で、「89%で否決」と書き、だから株主提案が1割以上の賛成だと思ってそう書いた。これはNHKのニュースを聞いて書いたのだが、今日の東京新聞を見ると、否89、賛8、残り3%が棄権・無効票とあった。よって株主提案は1割行ってませんでした。しかし、賛否を明らかにしない場合や議決権行使書を送らない場合は会社案賛成になるはずなのに、どうすれば棄権できるのか、わからん。

 さて、本日、東電の「株主総会決議ご通知」が送られてきた。多くの会社は配当(及び株主優待品がある場合も)が、この通知とともに送られてくる。(郵便局で現金に引き換えられる為替が同封されていることが多い。今はゆうちょ銀行だから、為替と言わないようだけど。銀行振り込みを指定しない限りそれが来る。)配当があるなら、早く来る方がいいとはいえるだろう。しかし、今回は無配だし、総会でも「質疑応答の内容を報告して欲しい」という要望が出た。どうなんだろう?午後4時過ぎまでかかった総会の通知をそれ以後に一斉に投函(というかどうするのか知らないが)して、今日中に届くのか?(料金後納郵便で出している。)一体いつ出してるのか?(第3号議案が否決されたのは午後4時。それから刷っていては今日着くはずはない。だから「予定稿」で印刷しておいたわけだが、それは実務上やむを得ないと考える。しかし、発送するのは総会が完全に終了してからでないとおかしい。)

 原発、エネルギー問題のことは今後も書いていくが、どうなんだろう?それだけになってはまずいでしょ、とも思うけど。今後他の原発でも事故が起きる確率と、普天間基地周辺で米軍機の事故が起きる確率はどちらが高いですか?でも、本土で普天間問題を今でもずっと気にしてる人はどれだけいるの?そして、今年も自殺者が3万人を超える確率はと言ったら、それこそ100%確実だ。
 放射能がこれだけばらまかれてしまったけど、それでも「ガン発生リスク」ではタバコの方がずっとずっと高いはず。そういうことも考えて行かないと。
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東電株主総会記

2011年06月28日 23時49分29秒 |  〃 (原発)
 今日はこっちがメインのはずが大事なことが起こり先に書きました。最近映画や芝居で夜遅く今日も朝から株主総会で疲れるんだけど、書いておきます。(あまり書く中身はないんだけど。)
 
 東京電力の株主総会きわめて不快な体験でした。僕は初めて株主総会というものに出たんだけど、これはいったいなんなんだろうと思いました。場所は芝公園の「ザ・プリンス パークタワー 地下2階 ボールルーム」というところです。ここは他にも大会社の総会によく使われています。自分の家から行きにくく、布川事件判決があった茨城県土浦の裁判所の方が近かったのにびっくり。まあ、東京の東北のはじですから。

 で、思ったより時間がかかり、メイン会場に入れませんでした。ニュースで報じられているように、9200人以上来たわけで、第5会場まで作られたわけです。僕は第2会場に案内されましたが、大きなプロジェクターで総会のようすを見ていただけで、言っちゃなんだけど総会参加者というより、傍聴者に過ぎない。開会少し過ぎてから、議長(勝俣会長)不信任動議が出て動議だから優先して採決したけど、メイン会場以外では採決を取らない。後でその件で質問が出たけど、議長は半数以上の株主の委任状を受けているからいいんだと強弁してましたけど、それならメイン会場で採決する必要もない。メイン会場だけ挙手をさせて、数えもしないで「反対多数と認めます」と議長が言う。どの会場にいても同じ株主としての権利を持ってるはずなのに、メイン以外には挙手もさせない。会社関係者が各会場に行って確認すれば済むだけでしょう。

 株主提案は否決されたと各テレビで伝えています。そうなんでしょうか?勝俣議長が「株主様の提案による第3号議案は反対多数で否決されました」と言ったのは確かです。しかし、菅内閣不信任案採決だったら、「賛成(白票)○○票」「反対(青票)○○票」と発表されました。よって否決だったんだなと納得できます。しかし、株主総会では「一応挙手させる」けど数えない。というか、出席票で議決権は行使してるので、インターネット、委任状と合わせ、票は事前に分かっているはずです。「賛成○○株、反対○○株、議長への委任○○株、よって第3号議案は否決されました」と発表すれば、納得できます。そりゃあ、大株主が会社賛成なんだから、株主提案は普通どの会社でも否決されます。でも、票数を発表しないんですね。それが株主総会なんだ。と思うと、資本主義というシステムは中国の全人代なんかよりずっと閉じられたシステムなんだなあと痛感しました。

 いろいろ質問が出て、いつもこういう会議で思うけど訳の分からない質問もあったけど、おおむね心に響いたり参考になった内容のものが多かったと思います。しかし、答弁は想定問答通りのものが多い感じであまり内容がなかった。御前10時から始まり、僕は午後2時頃を想定していたけど、延々と4時頃までかかりました飲まず食わずで6時間はお互いにつらいよ。お昼過ぎに、今日は長くなりそうだから休憩を入れろという動議があったけど、例によって否決。しかし、これは出席してる生身の人間のことだから、一株一票ではなく一人一票で採決して欲しかった。というかそれは会社法でできないだろうけど、挙手が多ければ議長が動議受け入れを考慮して欲しかった。もっとも腹減った、早く終わろうという方向に持ってくために昼食休憩を取る気は最初からないんだろうけど、今年は特別だよ。夜までやってもいいじゃないか。(遅くなったために、帰る途中の電車の中で、昨年卒業して就職した卒業生にバッタリ会いました。元気で働いてるということを聞けたのが、今日唯一のいい出来事。)

 僕は「東電経営陣」は経営責任を取って総退陣するべきと思っています。それは今までの総会で「脱原発株主提案」に反対する会社案を採用して、原発を推進してきたという経緯から、その会社経営方針で(結果的に、とか想定外の大津波でとか付けたければ付けてもいいけど)会社に大損害を与えた。今まで株主提案に賛成してればこうなってないわけで、そこに法的、道義的にはまた検討がいるけど、経営上の間違いであるのは明白です。去年まで事故はないと言ってきて起こったんだから、単に口先で謝罪するんでなく経営責任を取るべきです。確かに今回清水社長は退任するけど実質的な最高責任者である勝俣恒久氏がこのまま会長を続投して会社の信用が保てますか?取締役が全員一挙に退任するのは確かに問題だとしても、会長、社長は辞めるべき。だから、取締役選任の議案は、個々別々に採決すべきだと思います。(議決権は個別に「あの人はダメ」と指定して行使できます。僕は勝俣さん他数人を不信任。)また、勝俣議長の不信任案をめぐっても、自分で議長をやったまま自分は公正公平な議事運営を心がけてるから大丈夫と言って、そのまま採決してました。やはり普通の会議の場合は議長不信任案が出たら議長を交代し、他の人が議事進行をして不信任案が否決されてからまた前の議長に戻るという手続きになるんじゃないかと思います。
 まあ、勝俣さんも休まず6時間よく頑張ってたんだろうけど、どうも実がない感じがしてならず、僕としては「原発に一定のメドが付いたら」退陣するべきだと思います。

 テレビニュースで「4700万の老後資金をつぎ込んでいた」と言う人がいたし、会場での発言で「父の遺言で固い電力株を買えということでずっと持ってる。東北電力株も持ってるけど、あれだけの大被害でも今回20円の配当があった。すべては原発事故のあったか、なかったか。」という人もいました。今ニュースを見たら株主提案は89%で否決と報じていました。株主提案が1割以上も支持されたのは大きなことだと思います。朝日の夕刊には東京都に電話や意見がいっぱいあったと出ていました。
 この問題はまだまだ考えていきますが、とりあえず株主総会ってこんな感じ。
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バカンスとシエスタ

2011年06月27日 23時14分27秒 |  〃 (原発)
 さて、前回は「ピーク時電力需要」をどう抑えるかの問題。そこでは、家にいるより大規模施設に出てきてもらうほうがいい言う風に書いたけど、それは「小さな話」である。ホントは一番いいのは日本にいないこと。あるいはせめて、東電管内じゃない北海道にでも行く。東北も電力問題があるけど、東北でもいい。西日本でもいいんだけど暑いんだよね。

 要するにバカンスである。これは本来電力事情には関係ない。日本人の働き方、今後の経済発展の方向性の問題である。ここまで蒸し暑くなった大都会でブーブー言いながら働いていても能率は上がらない。バカンスを取るべきだ。旧盆前後の数日しか休めないから、夏も高い旅館に行くことになる。10日以上の休みがあれば、全部高い旅館には行けないから、どうしたって安い自炊の施設が出来てくる。必ずそうなる。日本はどこに行っても文化、スポーツ施設はあるし、ハイキングコースや史跡があるから、日本人はバカンスが過ごせないなんてことにはならない。農村への経済効果もあるけど、経済というより若い世代に農村体験をしてもらう、あるいは外国体験をしてもらうことに教育的意義がある。
 大量生産品の量産ではなく、付加価値の高い文化的な商品を開発するしか日本の道はない。そのためには暑い都会で事務作業をするより、山の温泉でのんびり2週間くらい本でも読んで過ごすことも大事。

 バカンスというのは、要するに年休のほかに特別夏季休暇を15日ぐらい与えるということだが、15日はまあ急には無理だろうが、今は5日から7日程度のものを10日以上にはしていくべきだ。なお今年に関しては、年休と夏休み以外に「ボランティア休暇を5日~10日間程度取れる」という制度を多くの会社、役所で取り入れるべきだろう。それでバカンス増に替える。

 が、小さい子供がいる、介護の必要な年寄りがいる、という人も多いだろう。そんな長いバカンスに行けって言われても行けない。と言う人のために「勤務時間短縮」制度でもいいんではないだろうか。増えた夏休み分のうち5日分くらいは、勤務時間短縮に充てられるようにするのである。一日2時間で20日分。8月いっぱい早帰り可。で、「1時間は在宅勤務で充当」を見込む。(夏に関しては、絶対家でパソコン入力した方が能率がいいに決まってる。)だから、朝早く始めれば、7時半から12時半まで働いて、それで上がり。(労基法上、休憩時間の特例を設ける。)8月は「半ドン」でいいじゃないか。

 もちろん、人によりけりだが長いシエスタを取ってゆっくり家に帰る。会社全体が長いシエスタを取る。1時から4時頃まで休む。その後夕方に2時間くらい働いて6時に終える。仕事量が終わるかと言えば、どうせクリエイティヴな仕事ができる時期ではないし、事務作業、顧客対応は夕方勤務社員が担当し、ワークシェアリングすればいい。つまり、バカンス、シエスタで人が減る期間は、アルバイト等で対応するほか、元気でお金が欲しい人はダブルワークすればいい。
 とにかく東京の夏の午後はオフィスで働くのは辛い。思い切って長時間のシエスタにすれば、そこに新しい産業も起こるし、新しいライフスタイルも生まれる。ホテルは「ランチバイキング+マッサージチェアで休憩プラン」などを作るだろうし、サウナで休んでもよし、子供と美術館や博物館へ行くとか、夏はシエスタでランチ合コン、などなど。

 もちろん大事なことは、休みをどうすごすかは個人の自由であって、部屋に引きこもって冷房をきかせてゲームをしていても、それはそれで構わないということだ。でもせっかくの夏のバカンスをそうやって過ごしていていいのか、というムードになるだろう。思い切って大胆に制度をつくることで、新しい発想が生まれ新しい産業が生まれると思う。電力事情の問題はひとまずおき、どういう働き方の社会を作るかということが先の問題だろうと思う。自分が楽しくなれるように考えていくのが本筋だと思う。
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「ピーク時電力不足」への対応問題

2011年06月26日 22時37分01秒 |  〃 (原発)
 「電気というもの」「節電とは何か」ということについて、何回か断続的に書きたい。(東電の責任というテーマが終わってないが、それはまた後で。)
 今年はとにかく節電である。例えば、箱根登山鉄道が恒例の「あじさい列車」の夜間ライトアップを今年はしないという記事があった。ホームページには、「今年(2011年)は電力需給状況から夜間のライトアップは中止とさせていただきます。光に彩られたあじさいの観賞をお楽しみにお待ちいただいたお客さまにおかれましては、大変申し訳ございませんが、何卒、ご理解を賜りますよう、よろしくお願い申しあげます。」と書いてある。しかし、これはおかしいのではないだろうか?

 なぜ今年は例年以上に節電が叫ばれるのだろうか。僕が思うに、節電には3つまたは4つの理由が考えられる。
経費節減。景気低迷、震災で企業利益が減り、家計、税収も減ってるから経費を節減しなくてはならない。
地球環境への配慮。火力発電で出る二酸化炭素量を減らすために、電気を節約する。
原発事故で夏のピーク時電力供給に不安がある。大規模一斉停電を避けるために、電力を節約しなくてはならない。
④もう一つ、震災以後の「自粛」ムードに配慮して、今年は派手な行事を止めたり、「震災に配慮してます」というポーズのために電気をつけず暗いままにしておく。

 ④は理由になってないが、実際は批判されないために④の理由で節電してることも多いのではないか。①②は昨年もあるが、今年特に節電というのは、③の「ピーク時供給への不安」からのはずである。だから節電対策はピーク時の電力需要を減らすことが中心でなくてはおかしい
 
 6月だというのに急に暑い日が続き、東電管内では需要が供給の「90%」を超えた日が出た。その時のピークは午後2時から3時だという。毎日電力予想が出てるが、ピークはいつも午後2時頃になっている。これは常識で理解できる。
 だから、夜寝るとき暑い日があったら、その時は会社や工場はほぼ休んでて電力は余ってるからクーラーを控える必要はないはずである。節約したいとか健康に悪いとか別の理由ならともかく、電力事情だけを見れば大丈夫なはずだ。
 箱根登山鉄道に関して言えば、むしろ昼間は来ないでくれ、夜のライトアップは今年もやるから、できるだけそっちに来てくれというのでないとおかしくないか。説明として「電力需給状況」を理由にしてるなら、「ピーク時の電力供給」を下げるため客を夜に回す方がいいはずだ。

 今いろんなところでやってる節電対策という名のサマータイムとかクールビズとか、皆「ピーク時の電力需要を下げる」という対策にはあまりなっていない。家庭に対して、脅しのように節電しろというだけなので、このままでは熱中症になるお年寄りが増えるだけで大変なことになる恐れがある。

 しかし、ではピーク時電力需要を下げるにはどうすればいいのだろうか
 安斎さんは先に紹介した本の中で「朝日新聞に対して、高校野球を秋にすればと言った」という話を書いてるけど、朝日もそう言われても甲子園はすでに押さえてある以上困るだろう。しかし、決勝戦は朝にするとか、阪神は「死のロード」に出てて夜も空いてるんだから、大胆に「シエスタ」を取る(第3試合の開始を午後5時頃にする)などの対策はできるはずだ。

 では、同じような発想で映画館なんかも午後の上映は中止にしてしまうというのはどうか。いやしかし、もっと考えてみると話は逆で、平日の午後の映画は無料にしてしまうほうがいい。家でクーラーつけてテレビを見てる元気な老人、夏休みで部屋に引きこもってゲームしている青少年諸君が、できるだけ近くのシネコンに映画見に行った方が効率がいい。どうせ映画館は冷やしてるんだから、皆が利用して家庭のクーラー使用を減らした方がいい。まあ無料はともかく、「平日午後の映画は1000円」ならどうか。ペイするのではないか。またスーパーなども「平日午後安売り」を行う。地域商品券も「平日午後使用の場合のみ割引」にして行政が売り出してはどうか。もっともこうして暑い時に出歩くのがいいかどうかという問題もあるが。
 といろいろ思いつくのだが、こういうアイディアを出しあう方がいい。そして夜の電力は大丈夫だとアナウンスするべきだと思う。(夏休みに夜間照明を過度に抑えるのは犯罪対策上疑問だ。)

 もちろん、僕はむやみにキンキンギラギラするのは好きじゃないから、節約するべきはした方がいいと思っている。しかし、この世はとかく住みにくい。憂きことばかり多い。そういう時には「たまにするちょっとしたムダ使い」はとてもよく効くクスリとなる。昼間の電力事情を気にするあまり、夜もガマンしてストレスをためたらおかしい。(観点を少し変えて、この問題を続けたい。)
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安斎育郎さんの「福島原発事故」

2011年06月24日 21時00分24秒 |  〃 (原発)
 いろいろ原発事故に関する本が出てます。もちろん全部は読めません。そんな中で、東京の本屋だとあまり見ないけどおススメ本を一冊紹介。安斎育郎さんの「福島原発事故 どうする日本の原発政策」(かもがわ出版)と言う本です。あとがきの日付が4月18日、発行日が5月13日。だから、事故後にすぐ書かれた本で、事故の現況については出てきません。しかし、そういうことが全部わかるにはまだ時間もかかるだろうし、事故内容だけでなく、放射線の危険性、核分裂のしくみ、原発政策の歴史などがわかりやすく書かれた本として、とても貴重だと思います。とにかく説明がわかりやすい。

 安斎さんは東大工学部の原子力工学科の第1期生だった方です。ところが原子力開発政策に批判的だったため、東大医学部助手になったものの口もきいてもらえない「アカデミック・ハラスメント」を受けます。その後、京都の立命館大学で平和学を教えるようになり、狭義の原子力研究とは離れていたのですが、本来の専門が放射線防護学ということで、今回の緊急出版となります。

 立命館大学では国際平和ミュージアムを作り、今年3月の退職後も名誉館長を務めています。そこは長野県上田市にある戦没画学生美術館「無言館」の京都別館があるところで、最近公開された記録映画「無言館」にも安斎さんが出ていました。ホームページを見ると、来週6月29日(水)の16:45~18:00の時間に、「福島原発から何を学ぶか?-二度の現地調査をふまえて-」という安斎さんの講演が立命館大学で行われるとのことです。京都まではなかなか行けませんが。

 安斎さんは最近は原子力というよりも、岩波新書「だます心だまされる心」のような科学を装ったエセ科学への批判、正しい科学教育の普及などに力を入れてきました。これらの活動はとても貴重なものだと思います。「福島原発事故」も「事態を軽視せず、過度に恐れず、被害者支援と復興にモリモリと取り組もう」という姿勢で貫かれています。なお、微量放射線について、「ちょっと不謹慎」と言いつつ「がん当たりくじ」と表現していて、この表現は前からのものですが、なるほどそうか!とあまりにピッタリの表現にとても納得できました。

 安斎さんの名前は前から知っていて、それは都立両国高校出身だからです。両国高校も中高一貫になり附属中に扶桑社の歴史、公民教科書が採用されています。その問題が起きたときに、都立高校出身者の学者、文化人などを調べたことがありました。僕はかつての都立高校の自由闊達な校風を誇りに思っているので、都立出身者が平和や人権のために活動しているのを知るととてもうれしく思うのです。
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東電の個人株主として

2011年06月23日 22時55分17秒 |  〃 (原発)
 21世紀に入ってから、幸か不幸かいろいろな問題に良く当たる。都教委の「高校改革」で、当時勤務していた夜間定時制は閉課程、母校の白鴎高校は中高一貫校。その白鴎高校附属中で都教委が「つくる会」教科書(扶桑社)を採択。仕方ないので同窓生による反対運動を始めて7年目。(先週「会報8号」を発行した。)安倍内閣では誰も本当にやるとは思っていなかった教員免許更新制度が成立、自分が第1回目の該当者となる。まさかそのまま実施されるわけはないと思って講習を受けずにいて退職に追い込まれる。

 さて、その時大いにあてにしていた財産がある。東京電力株である。
 父親の遺産でもらった東電株2000株。昨年9月に増資が発表されて急激に値を下げた。相続当時2400円で、今までは大体の時期でその金額を少し上回っていたのだが、1900円程度に値を下げた。具体的に見てみると、2010.9.6に2494円。それが11.4に1884円。2011.3.11には少し回復していて2121円だった。その後ストップ安で値を下げ続け、6.23現在293円。気になる人は自分で計算してみてください。(売ってないので机上の損失だけど。)

 僕が書きたいのは、二つ。東電株主の責任東電の責任問題(これは明日以後)である。
 僕は父親の遺産で初めて株主というものになった。他に数社の株もあった。不動産、現金、債券を遺族で相続するときに、たまたま東電株が僕に振り当てられた。自分で希望したわけではない。その後、他社株を売り払い、株主優待で映画を見られる会社に買い替えたりした。しかし、東電は持っていた。理由が特にあるわけではないのだが、ネット株じゃないから仕事があると証券会社に連絡しにくい。(3月の暴落時は仕事が多忙すぎて売ろうという気も起こらなかった。)配当が安定しているということもあったけど、なんとなく遺産記念で持っていたというのが正直なところだ。(実は野村證券株もあったけど、証券不祥事が起こったころ、車を買い替える資金のために東電か野村かどっちか売ろうと思い、野村株を売ったのである。)
 ある政治家が値上がり目当てで持ってる株主の責任を追及せよなどと言ってたが、とんでもないことだと思う。もちろんそういう株主もいるだろうが、東電などは安定した財産として長期保有していた人がほとんどだと思う。長期保有する個人株主を育てなくて日本の経済成長はあるのか。

 株主になると株主総会の案内が来るが、初めのうちはせっせと反原発株主提案に賛成票を投じていた。当日参加できない株主のために書面投票のハガキが来るのである。(今はネット投票も可能な会社が多い。)チェルノブイリ原発事故の後は集会やデモも行ったので、91年に相続した時も気持ちは脱原発である。ところが、ここは自分でも反省するところではあるが、ここ数年はハガキでもネットでも投票していなかった。東電だけでなく、どの社にもそうである。自分のような極小株主がどうしようが大勢には何の関係もないからである
 そうはいってもアムネスティのハガキを世界各地の独裁政権には送っていた。そういうことは効果が少なくともやる気になるのだが、正直都教委とか東電なんかのほうが何も言う気がしないのである。反省と言うのは、自分が株主提案に賛成投票し続けなかったことにではなく、なんか何を言っても仕方ないような相手にはもう面倒くさいなという気分が自分の中にあったということに対してである。(「都教委シンドローム」と名付けることにした。)

 僕の株はどの程度の割合かということを調べてみる。昨年10月に2億株以上増資され、現在16億701万7531株が発行済株式総数。計算すると、0.00012%になる。正直言って0.01%くらいかと思ってたけど、二けたも違う。(マイクロパーセントという呼称単位を作りたい。)日本の全有権者が約1億人であるから、選挙を通して僕が日本政治に負ってる責任と権利の方が、東電株主としての責任と権利より8倍も大きい。(小選挙区を考えると、選挙権はもっと大きい。)個人株主などという存在も悲しいくらいに小さなものである。
 しかも選挙というものは原理上1票差で決まることもありうるし、比例代表の場合は自分の入れた票がそのまま割合に反映する。一方、1株1票の株主総会では自分の投票行動がどうであろうが、まあ普通は会社提案が(銀行や保険会社、機関株主などが会社に賛成するので)勝利することが決まっている。(株主提案可決には3分の2を要する。)

 というようなことを思うと、株主運動という行動で日本の大会社を変えるという発想には、正直無力感を感じてしまっていたのである。

 そういう問題を別にして、原発事故に関して株主として倫理的責任はあるかというと、それはないと考えている。もともと株式会社というのは、株を所有する投資家が金銭以外の責任を負わないという「カンパニー・リミテッド」である。様々な会社が不祥事を起こしているが、株主には法的、倫理的責任はないという責任限定をすることで、投資家を集めるというのが資本主義体制下の株式会社である。株主の責任というのは、株が値下がりするか、さらに倒産して無価値になるかもしれないというリスクを負うということにつきる。経営者には経営責任があるが、株主には経営のミスそのものの責任はないわけである。

 それにしても、なんでこのような時期(退職しようという時期)にこんなことが起こったのか。この事故に関してはいろいろと考えることが多いけど、津波被害を受けた上避難生活を強いられている人がいることに比べれば、自分で買ったわけでもない株が下がるくらいで音を上げたりはしない。けど、ずっと持ってても配当が復活する日が来るのだろうかとか、国策の間違いなんだから何とかしてくれと思わないでもない。ホリエモンが有罪確定で収監されたけど、原発は安全だと言った学者や今まで推進してきた政治家は、はるかに大きな被害を株主や株式市場に与えたことをよくよく痛感して欲しい。
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都民はみんな東電株主

2011年06月22日 23時43分18秒 |  〃 (原発)
 教科書問題、授業料無償化問題をいずれ書きたいのですが、しばらく原発、エネルギー問題を書きます。時々本や映画の話も書くけど、基本的にはずっと原発関連で。

 まずは、28日に迫った東京電力の株主総会について。
 毎回、反原発東電株主運動の会から株主提案が出ます。その他、いつもなら配当案があるけど今回はさすがに配当ゼロ。社長が退任し取締役17名、監査役2名選任の人事案件があります。

 実は僕も東電株主の一人なんだけど、その話は明日。株主提案は詳細は総会開催通知に出てるので見たい人はそちらで。簡単に書くと「我が社は、古い原子力発電所から順に停止・廃炉とする。」「我が社は、原子力発電所の新設・増設は行わない。」という箇所を定款に新設するという提案です。これは現実的な脱原発提案で、東電の利益という観点からも望ましいし、大規模事故を起こした会社としてまさに時宜をえた経営方針であると考えます。従って、個人株主として賛成

 しかし、今日はそのことではなく、東京都が東電の大株主であるという問題。今までそれは知ってたけど、都が株主総会でどうしてるのかは全く知らなかった、というか問題意識がなかったのです。今回も気づいたのは先週。もう時間はあまりないけど、都に電話してみました

 まずは基礎データ。東電全体では発行済株式総数は16億701万7531株。東京都は4276万6千株を保有し、2.66%を占め、第5位の大株主です。これは戦前の東京市電を経営していた電気局が戦中、戦後の変遷を経て東電となったという歴史的経緯があるようです。そのため、都では交通局が担当し、配当はバス会計に入れてきました。配当だけで25億以上にもなるのです。今年はそれがゼロとなる。

 さて、電話してみたら、担当の交通局の財務課につながりました。株主総会は毎年交通局長が出て議決権を行使しているとのことでした。(ただし、毎年時期的に都議会開催中なので、局長が出られない時は代理が出席とのこと。)今年の議決権行使の内容はまだ決まっていない。庁内で検討し、27日までに決定する。都議会で議決する必要はなく、報告義務もないということでした。
 そこで、株主提案に賛成するべきであるということと、それと同時にどういう結論になるかは都民も関心があるところで、都民に知らせて欲しい(マスコミ発表など)と要望しておきました。

 都が大株主ということは、東電株は都民の大切な財産だということです。株主としてどのように株主総会議決権を行使するかは、都民に知る権利があります。というより、都民は意見を言う義務があるのではないかと思います。それは原発に反対か賛成かということ以前の問題で、都庁内部で決めていた今までがおかしく、本来は都議会で決するべき問題なのではないかと思います。
 むろん都が株主提案に賛成しても多数にはなりません。また「原発事故後の知事選で原発賛成知事が当選しているから、都民の民意は株主提案反対である」という考え方だってありえます。しかし、そのことも含めて、議論が公開され都民に知らされる必要はあると考えます。

 まだ時間は少し余裕があるので、是非多くの都民が都に意見を述べてみてはどうでしょうか
 株主提案に賛成するように。あるいは、株主総会ではどうするのか決まったのか、都民や都議会に報告しないのかということでもいいと思います。また都議会議員に働きかけるのも大切だと思います。

 都へのメール提案の窓口は、ここから「都民の声総合窓口」をクリック。
 電話は、代表電話 03-5321-1111
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震災2カ月-「知事抹殺」を読む

2011年05月12日 20時48分37秒 |  〃 (原発)
 昨日は震災2カ月だが、同時にハンセン病違憲国賠訴訟の熊本地裁判決10周年の日だった。映画見てて遅くなって、帰ってメール見るまで全く忘れてました。東京の新聞には報道がなかったが、さすがに熊本日日新聞には出てる。「差別なくす旗振り続ける」 

 震災の死者は毎日少しずつ増えている。今や生還はないわけだから、死者が増えるとは、行方不明者が少しずつ減っていることを意味する。僕が被災地にいた4月18日に死者が行方不明者を上回り、5月7日に行方不明者が1万人を割った。今朝の朝刊では「死者1万4981人、行方不明9853人」である。昨日は行方不明者9880人だった。阪神淡路大震災の死者・行方不明者は6437人だった。2カ月たって、未だに阪神淡路大震災の犠牲者すべてを上回る行方不明者がいるのである

 福島第一原発事故は、まだその行く末が見えない。この問題に関しては、前福島県知事佐藤栄佐久の「知事抹殺 つくられた福島県汚職事件」(平凡社、2009)を読んだ。これは実に興味深く、面白くてためになる必読本。後半の「汚職事件」をめぐる部分も冤罪主張本として面白い。昨年の特捜捜査スキャンダルを経て、いまや誰もこの事件を検察の構図だけで判断する人はいないだろう。何しろ2審東京高裁では「わいろ額ゼロ」という認定なのだから。贈賄側は水谷建設で、これは小沢一郎事件に出てくるところだから、福島県知事事件の構図が崩れると重大な問題となってくる。ところで、佐藤前知事は逮捕されてから、独房で食事すると思ってなかったなどと書いてる。参議院議員、県知事にして、裁判所は初めてだというし、全然司法界のことを知らないのである。(地元の松川事件の救援を知らなかったか。)

 一方、前半の原子力をめぐる国との闘いのところは、こっちが知らないことばかりで、いやびっくりした。というか、東電の事故隠し、もんじゅの事故などは個々には覚えているが、佐藤知事が国と闘ったことで、2003年には一時東電の福島、柏崎の全原発が停止にいたった。なんて、忘れてました。そこに読売が原発再稼働に向けた社説を出す。結局、佐藤知事は東電と国に県としての報告書を渡し、要望を突きつけることで運転再開を認めた。その要望とは何かというと、「原子力安全・保安院の経産省からの分離」「原発の高経年化対策の強化」だった。(103ページ)

 今回の事故に関して、なんで原発を推進する経産省の中に、原子力安全・保安院という組織があるのかとみんな思ってるだろう。2001年からの省庁再編時にそういうことにされた。しかし、原発立地県の知事から分離の要求がちゃんと出ていたのである。(ちなみに要望を受けた経産相は故・中川昭一。)やはり自民党政権による人災だったのである。

 今検索すると、佐藤前知事は原子力で国と対立して「国策捜査」で抹殺されたというような記事がいっぱい出てくる。ご本人は公式ブログで4月21日に海外特派員協会で行った講演を載せている。英訳も載ってるので直接読んでください。
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福島原発人災記

2011年05月03日 00時46分38秒 |  〃 (原発)
 本を読んでいて時間が遅くなり、今日は書かないつもりだったのだけど、これは素早く紹介しておかなくてはと思い、すぐに書きます。その本のこと。読んでた本は、川村湊福島原発人災記』(現代書館)。出たばかり。
 川村湊氏は文芸評論家、法政大学教授。韓国・朝鮮問題や旧満州国などの文学、温泉文学論などを前から研究してるので、何冊か読んでるし話も聞いたことがあります。

 その川村氏(千葉県我孫子市在住)が、今回の震災にあい、当面の仕事ができなくなった中で、ネットは使えたので原発関連のサイトを見て回り、推進派の人々にしぼって今まで何を言ってきたかを追求した本。
 学生には「コピペ」をするなと言いつつ、自分で「コピペ」の本を作るのは矛盾だが、そうでもしなければ怒りがおさまらない、著作権の問題もあるが「著者たちがそんな、しゃらくさいことをいえるはずもない文章を使ったつもり」と自ら書きつける。ある意味、奇書であるが、まさに今必要な本。

 僕は前に「御用学者を許すな」と書いたけれど、その御用学者とは誰か一網打尽に名前が挙がっている。とにかく原子力関連の機構、団体の多いこと、多いこと。そこを渡り歩く「高級原発ジプシー」(原発ジプシーとは、もともと堀江邦夫氏のノンフィクションの書名で、原発を渡り歩く下請け作業員のことだが、ここでは「天下り」を繰り返す官僚、学者のこと)の一覧が暴かれる。

 驚いたのは、福島原発が2010年に2回も原子炉自動停止という「事象」が起きていたこと。2号機が6.17、5号機が11.2.2号機の「事象」は「ある原因」で発電機が停止して起きたという。「ある原因」とは何か。川村氏は「端的にいうと、原因不明」と書くが、要するにそういうことだろう。そういう原発だったという「人災」。

 そして、原子力研究開発機構のHPから、鈴木篤之理事長のあいさつを見つける。この人は、東大教授から原子力安全員会委員長を経て、現職という、原子力村の有力者で「御用学者の親玉」である。川村氏に言わせると「プルトニウムにフェティシズム的な愛着を持っている」「マッド・サイエンティスト」である。(130ページ)その人物が、なんと原発大事故中の、4月1日付で、「ごあいさつ」を載せている。興味のある人は自分で見てください。川村氏の言うとおり、「その神経と感性は、とてもまともなものとは思えない。」ここをクリック。
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浜岡原発の即時停止をー原発について、今の段階で思うこと

2011年04月10日 23時39分53秒 |  〃 (原発)
 福島原発事故は最悪の段階に至ってはいませんが、まだまだ予断を許しません。最悪とは、チェルノブイリで起こったような、炉心溶融(メルトダウン)して爆発が起こり、大量の放射性物質が大気中に拡散する事態です。今回、炉心溶融が起こり大量の放射性物質が出ましたが、原子炉格納容器が残っているので、まだ大部分は抑えられている状況と考えています。今、格納容器に窒素を注入し爆発を防ぐ対応を取っていますが、絶対大丈夫という段階ではありません。いくつもの原発が並び、どこか一つで異常事態が起これば、もう全部近づけなくなります。廃炉までは20年以上かかるわけですが、当面の事態が収束するのにはどのくらいかかるか…あと数カ月はかかるでしょう

 原子力のことはよくわからない点も多いのですが、今の時点で考えていることを箇条書きで。(ちょっと長くなるけど。)

 福島原発の周辺地帯は、今後も含めて考えると積算被ばく量はかなり危険な状態のところがあると考えられる。
 200キロ圏外の東京は、現在の放射線量を見る限り、切迫した危険はないと考えられる。(なお、ウクライナの首都キエフとチェルノブイリは100キロほどだった。)

 政府、東電の対応は、配慮を欠いたり後手後手に回る点が多いのは事実で、今後厳しい検証が必要。
 ただし、自民党が政権批判を言うのは笑止千万。今まで原発(に限らず大型公共工事すべて)を権力的に推し進めてきたのは誰か?
 だから、原発に限らず、火力発電も水力発電(ダム)もすべて今まで問題を起こしてきたので、原発だけが問題ではない。風力発電や地熱発電も健康被害や環境破壊をもたらす場合が多いので注意。

 東電の対応が官僚的だったり誠意がないように感じられるのは、たまたまそういう人がやっているという問題ではない。国策として進められ、大規模テロの危険があるプロジェクトは、必ず「自己防衛的」「官僚的」な人々が力を持つのである。

 工場はすべて危険だが、このように「万が一」の時に破滅的な被害をもたらす技術は、大量生産(消費)社会に合わない。今後「津波は想定外」(それは事実だろう)で、「原発自体は停止した」ので「(女川原発のように)冷却装置さえ壊れなければ原発は有効な技術」という「御用学者」が続発するはずだ。しかし、今回明らかになったように、操業中の原発だけでなく、その時点で停まっていた原発でも使用済み核燃料プールが危険な状態になる、などといった技術が他にあるか?
 いわゆる「トイレなきマンション」問題(使用済み燃料の処理が確立されていない)がどれほど危険なものなのかを、今回の事態は完全に証明した。

 政治家、官僚、電力会社、原発メーカーの責任はもちろんあるが、くわしい科学的なことがわからないわけで、「○○審議会」などといった組織がお墨付きを出す仕組みがある。(これは原発に限らずすべての問題でそうだが。)そのとき、必ず政府、業界よりに答える「御用学者」がどの分野にも存在する。この手のやからが良心的に行動していれば、日本の多くの問題はここまでひどくなっていない。「御用学者を許すな」。

10 決定的に重大なのは、御前崎にある中電浜岡原発。ここは活断層の真上にあるともいう。今回の地震を受け、東海・南海大規模地震が近々に起こる可能性が高まったのではないか。近々といっても地球時間の話なので今日明日ということではないが、自分の生きている間には起こるのではないか。
 浜岡原発は前から事故も多いし、危険である。もし、浜岡原発が今回の福島のようになれば、東海道新幹線、東名自動車道は20キロ圏内にあるので、東西の大動脈が止まる。福島原発は、新幹線、東北道からは遠いので復旧すれば通れるが、浜岡で事故が起こればそうはいかない。
 浜岡原発は、停止する必要があると考える。

 ざっと以上のようなことを考えましたが、「歴史を知る」ことが何の問題でも大切だと思っています。
 プロ野球がもうすぐ開幕しますが、一時セリーグだけ3月開催を主張していた時期がありました。例によって特に読売が強硬論を主張していました。何を言うのか、自分たちの責任を考えないのかと思ったけど、そういうことを言った人はいないようでした。
 日本に原子力発電を最初に導入したのは、正力松太郎初代科学技術庁長官(鳩山一郎、岸内閣)だったと言っていいでしょう。昭和天皇が摂政時代に狙撃された虎の門事件で警察官僚をやめ、読売新聞を巨大紙にのし上げた人物です。プロ野球の父民間放送の父(民放初の日本テレビを開局)と言われますが、原子力の父とも言われる人物です。今でも、プロ野球で活躍した監督、選手などに贈られる「正力松太郎賞」があります。その正力が原発を導入したわけで、読売グループも歴史的責任があるのではないでしょうか。
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ただ今停電中

2011年03月17日 20時33分09秒 |  〃 (原発)
足立区ですが、停電中。
やむを得ないのですが、それでも早く終わって欲しいものですね。

携帯電話は使えるわけだから、ケータイとは偉大なもんですね。

阪神大震災の時はまだケータイは一般的ではなかったですよね。
いや、大変でしたね。

帰りの電車も大混雑。
普段の倍の時間がかかりました。
駅からの帰り道、もう停電していたけれど、月明かりだけでも、結構明るかったです。
正面にオリオン座がきれいに見えました。
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