「死刑をなくそう市民会議」という会が出来て、その設立集会が開催された。(明治大学リバティホール)「死刑廃止」というのは、今でもなんとかしたいと思っている残された数少ないテーマだ。(他はずいぶん諦めてしまった。)だから時々は集会にも行きたいと思ってる。今度は新しい動きだし、リバティホールは行きやすいから出かけてきた。カメラを持って行くつもりが、めんどくさいからスマホで撮ればいいやと思って、今度はスマホも忘れてしまった。年に数回はやってしまう。そこで写真を検索したら、載ってたので借りることにする。よく見ると自分も写っているではないか。
開会の辞が民主党政権時代に第88代法務大臣を務めた平岡秀夫氏。その後、前日弁連会長の中本和洋氏による講演「私と死刑問題」。日弁連(日本弁護士連合会)は「2020年までの死刑廃止」を決議している。しかし直近の参議院選挙でも、死刑廃止を主張する政党など全然ないんだから、もう無理に決まってる。(もともと無理な目標だ。)日弁連の中でも様々な議論があったというが、「人権」を掲げる弁護士には通じても、日本では「死刑廃止」はなかなか浸透しないテーマである。
続くシンポジウムでは、毎日新聞記者の長野宏美氏(元プロテニス選手)のアメリカの事例紹介が興味深かった。アメリカでは19州が死刑を廃止し、4州が死刑執行のモラトリアム宣言(執行停止)を行っている。(2016年に死刑を執行したのは5州だけ。)しかし、死刑制度をめぐっても共和党が賛成、民主党が反対と党派による分断が際立っている。会場で配布された日弁連の資料には、世界の状況が載っている。2016年12月現在、法律上の廃止国は111国、事実上の廃止国は30国(法律上は残っているが、10年以上執行のない国のこと)、存置国は57国である。国際的な状況はもうはっきりしている。
この問題で必ず語られるのが「被害者感情」である。シンポジウムには今回、片山徒有(ただあり)氏が参加していた。1997年に8歳の次男がダンプカーにひかれて亡くなった「犯罪被害者」である。その後、被害者が刑事裁判の情報を得られない仕組みに関して問題提起を続け、制度が変わるきっかけとなった。被害者として刑事裁判を考える中で、死刑制度への問題意識も持つようになったらしい。深い発言が多かったが、声が小さくて僕には判らないところも多かった。またカトリックとして「死刑を止めよう宗教者ネットワーク」の柳川朋毅氏が加わり、司会を弁護士の船澤弘行氏。
休憩後に神田香織氏の講談をはさみ、中山千夏さんや玉光順正(元東本願寺教学部長)、金山明生(明治大名誉教授)両氏による「鼎談」が行われた。そこで中山千夏が述べたが、80年に参議院に当選以後ずっと死刑廃止を言ってるが、ずっと同じ議論をしてる。全くその通りで、国家による殺人、冤罪誤判、被害者感情という問題をめぐって論じている。通じる人にはすぐ通じるが、通じない人には全然届かない。もちろん国も全然情報を広く知らせる考えはないから、皆が世界情勢を知らないままである。
国民の多くは、何となく死刑は当然あると思っている。「人を殺したら死刑でしょ」なんて言って終わりにする人が結構いる。しかし、「人を殺してもほとんどの場合は死刑にならない」ことを知っているのかどうか。「平成最後」とか「令和初」とか、けっこう若い人でも浮かれてようだから、結局日本人は「国家」を相対化出来ずに生きているんだろうか。オウム真理教事件や「北朝鮮問題」、小泉内閣の「構造改革」などを通して、国家依存、過罰感情の社会になってしまった感じだ。
性的少数派への問題意識はここ数年で大きく変わったように思う。だから、僕は死刑制度に関しても世の人の認識が大きく変わる瞬間もあるだろうと思う。中国やイランの死刑制度廃止はものすごく難しいだろうが、世界のほとんどが死刑を廃止する時代に日本だけが毎年執行を続けるおかしさが永遠に続くとは思えない。だが、そのための道筋が僕にはまだよく判らない。国会議員の状況は帰って悪くなってしまっている。国会でもう少し議論出来るようにするのも緊急の課題だろう。でも「集票」にマイナスと思うのか、声を挙げる人が少ない。そんな状況が変わらないといけないんだけど。
開会の辞が民主党政権時代に第88代法務大臣を務めた平岡秀夫氏。その後、前日弁連会長の中本和洋氏による講演「私と死刑問題」。日弁連(日本弁護士連合会)は「2020年までの死刑廃止」を決議している。しかし直近の参議院選挙でも、死刑廃止を主張する政党など全然ないんだから、もう無理に決まってる。(もともと無理な目標だ。)日弁連の中でも様々な議論があったというが、「人権」を掲げる弁護士には通じても、日本では「死刑廃止」はなかなか浸透しないテーマである。
続くシンポジウムでは、毎日新聞記者の長野宏美氏(元プロテニス選手)のアメリカの事例紹介が興味深かった。アメリカでは19州が死刑を廃止し、4州が死刑執行のモラトリアム宣言(執行停止)を行っている。(2016年に死刑を執行したのは5州だけ。)しかし、死刑制度をめぐっても共和党が賛成、民主党が反対と党派による分断が際立っている。会場で配布された日弁連の資料には、世界の状況が載っている。2016年12月現在、法律上の廃止国は111国、事実上の廃止国は30国(法律上は残っているが、10年以上執行のない国のこと)、存置国は57国である。国際的な状況はもうはっきりしている。
この問題で必ず語られるのが「被害者感情」である。シンポジウムには今回、片山徒有(ただあり)氏が参加していた。1997年に8歳の次男がダンプカーにひかれて亡くなった「犯罪被害者」である。その後、被害者が刑事裁判の情報を得られない仕組みに関して問題提起を続け、制度が変わるきっかけとなった。被害者として刑事裁判を考える中で、死刑制度への問題意識も持つようになったらしい。深い発言が多かったが、声が小さくて僕には判らないところも多かった。またカトリックとして「死刑を止めよう宗教者ネットワーク」の柳川朋毅氏が加わり、司会を弁護士の船澤弘行氏。
休憩後に神田香織氏の講談をはさみ、中山千夏さんや玉光順正(元東本願寺教学部長)、金山明生(明治大名誉教授)両氏による「鼎談」が行われた。そこで中山千夏が述べたが、80年に参議院に当選以後ずっと死刑廃止を言ってるが、ずっと同じ議論をしてる。全くその通りで、国家による殺人、冤罪誤判、被害者感情という問題をめぐって論じている。通じる人にはすぐ通じるが、通じない人には全然届かない。もちろん国も全然情報を広く知らせる考えはないから、皆が世界情勢を知らないままである。
国民の多くは、何となく死刑は当然あると思っている。「人を殺したら死刑でしょ」なんて言って終わりにする人が結構いる。しかし、「人を殺してもほとんどの場合は死刑にならない」ことを知っているのかどうか。「平成最後」とか「令和初」とか、けっこう若い人でも浮かれてようだから、結局日本人は「国家」を相対化出来ずに生きているんだろうか。オウム真理教事件や「北朝鮮問題」、小泉内閣の「構造改革」などを通して、国家依存、過罰感情の社会になってしまった感じだ。
性的少数派への問題意識はここ数年で大きく変わったように思う。だから、僕は死刑制度に関しても世の人の認識が大きく変わる瞬間もあるだろうと思う。中国やイランの死刑制度廃止はものすごく難しいだろうが、世界のほとんどが死刑を廃止する時代に日本だけが毎年執行を続けるおかしさが永遠に続くとは思えない。だが、そのための道筋が僕にはまだよく判らない。国会議員の状況は帰って悪くなってしまっている。国会でもう少し議論出来るようにするのも緊急の課題だろう。でも「集票」にマイナスと思うのか、声を挙げる人が少ない。そんな状況が変わらないといけないんだけど。