さて、政治問題を論じるにあたり、参議院のことから書き始めた。これはあまりない議論ではないか。政府や政党や政策を論じる。選挙を考えるとしても、まずは違憲判決が出ている衆議院の選挙制度改革から考える。それが今の議論の中心で、参議院改革の話をしている人などほとんどいないと思う。しかし、僕は参議院をどうにかしないと何回総選挙をしても「ねじれ」が続くだけで不毛だと思っている。今は「ねじれ」の現実を前に、話し合いのルールを作るのではなく、次の選挙で多数を取ることが目標となり、妥協できなくなってしまう。それが続くのはどうなんだろう。
では、どうするんだと言うと、憲法改正まで考えると、一院制にしてしまうのも一つの手である。しかし、それは難しいだろうし、二院制の良さもある。(参議院をなくす憲法改正案を参議院で3分の2以上で可決するのは不可能でしょう。)二院制の良さと言うのは、一つにはもちろんチェック機能である。今までは自民党中心の内閣がほとんどだったから、89年、98年、07年に参議院選挙で自民党が大敗して、宇野内閣、橋本内閣、安倍内閣(選挙からは少し時間があったが)が総辞職したのが、国民のチェック機能が実現したかのように思ったのである。でも、政権交代がおき、その後に再び「ねじれ」になった今となっては、次に衆議院で自民が勝っても参議院で多数が取れない(公明と組んでもダメ)という現実が大きな問題として浮上したわけである。
今、政府・民主党が悪いと言う声が高い。一方、自民党も政策論議をせず解散せよ一辺倒で困ったもんだと言う人が多い。「維新の会」が候補を立てると勝つのではと言う人もいる。しかし、新党が大勝利しても参議院の議席がない。それでは政治が進まないのは同じなのである。結局、日本の政治システムには不具合があったという考え方を僕はするようになった。だからスペインのように両院を同時に選挙すればいいわけだが、参議院3年ごと半数改選は憲法で決められている。
ところで、2010年の参議院選挙は、民主党が敗北したと言われている。鳩山内閣が普天間問題で支持率が下がり、参院選を控えて求心力が失われて総辞職した。菅副首相が昇格して支持率がアップしたので、菅内閣で参議院選挙を早めて実施した。ところが選挙中の消費税発言などが混乱を与え、選挙では敗北した。と言うことになっている。しかし、この参議院選挙で民主党は、必ずしも負けていない。比例区では1845万票で16議席を獲得して第一党。自民党は1400万票で12議席である。公明党が6議席だから、自公合わせれば民主を上回るが、あまり差はない。それどころか、選挙区を見ると、民主党が2275万票、自民党が1950万票、公明党が226万票だから、民主は自公を100万票も上回っている。ところが地方の1人区で「8勝21敗」と大敗したために、全体で自民が51、民主が44という結果になったのである。07年は民主が「23勝6敗」だったから、確かに前と比べれば民主は負けたのである。しかし、全体では得票が多いのに議席としては少ないというのは、問題ではないのか。つまり「一票の格差」があるために、民主党は敗北したとも言える。これは何党を支持するかという問題と別にして大問題ではないかと思うわけである。
今、僕が思うのは、6年間任期があって解散がないということを考えると、参議院は比例代表だけの方がいいのではないかということだ。選挙区をどういじろうと、一票の格差を2倍以内にすることは参議院では難しい。では、思い切って選挙区をなくし、比例区だけにしてしまう。参議院議員は100人もいれば十分ではないか。アメリカの上院議員だって、あれだけ広い国土で人口3億人なのに、たった100人である。急に選挙区選挙をなくすのも大変だというなら、比例区の議員をもう少し多くしてもいいだろう。国会議員の削減と言う話には、衆議院の場合、僕は反対なのだが(それはまた別に書く)、参議院を比例区だけにするという削減ならいいのではないか。
ちなみに、現在の比例区だけの議席数は以下の通り。
民主 36(離党表明、除名の横峯議員を含む)
自民 26(「たちあがれ日本」2名を含む。同じ会派に所属)
公明 13
みんな 7
共産 6
社民 4
新党改革2
国民新党1
無所属 1
横峯議員は今日現在の参議院のホームページで「民主党・新緑風会」の会派に入っているので、そのままにした。無所属の1人は尾辻秀久副議長で党籍離脱中なので、本当は自民がもう一人多い。
さて、これを見ると、どうやっても過半数を獲得する組み合わせができない。自公に、もとは自民の「改革」(舛添要一と荒井広幸)と「みんな」まで入れても、尾辻氏を入れて49。一方、民主、国民新に社民を入れても42。結局、「みんなの党」や共産党がどっちに入れるかで決まる可能性が高い。そもそも比例区で単独過半数を得た政党は今までにない。2001年の小泉旋風の時の自民が20、86年の中曽根同日選の自民で22(これが過去最高)、07年の民主が20議席である。国民の投票を比例で正確に(死票なしに)反映させれば、そうなるのである。それが現実なので、そういう現実に基づく議会構成にして、政党が知恵を絞るのがいいと思う。
では、どうするんだと言うと、憲法改正まで考えると、一院制にしてしまうのも一つの手である。しかし、それは難しいだろうし、二院制の良さもある。(参議院をなくす憲法改正案を参議院で3分の2以上で可決するのは不可能でしょう。)二院制の良さと言うのは、一つにはもちろんチェック機能である。今までは自民党中心の内閣がほとんどだったから、89年、98年、07年に参議院選挙で自民党が大敗して、宇野内閣、橋本内閣、安倍内閣(選挙からは少し時間があったが)が総辞職したのが、国民のチェック機能が実現したかのように思ったのである。でも、政権交代がおき、その後に再び「ねじれ」になった今となっては、次に衆議院で自民が勝っても参議院で多数が取れない(公明と組んでもダメ)という現実が大きな問題として浮上したわけである。
今、政府・民主党が悪いと言う声が高い。一方、自民党も政策論議をせず解散せよ一辺倒で困ったもんだと言う人が多い。「維新の会」が候補を立てると勝つのではと言う人もいる。しかし、新党が大勝利しても参議院の議席がない。それでは政治が進まないのは同じなのである。結局、日本の政治システムには不具合があったという考え方を僕はするようになった。だからスペインのように両院を同時に選挙すればいいわけだが、参議院3年ごと半数改選は憲法で決められている。
ところで、2010年の参議院選挙は、民主党が敗北したと言われている。鳩山内閣が普天間問題で支持率が下がり、参院選を控えて求心力が失われて総辞職した。菅副首相が昇格して支持率がアップしたので、菅内閣で参議院選挙を早めて実施した。ところが選挙中の消費税発言などが混乱を与え、選挙では敗北した。と言うことになっている。しかし、この参議院選挙で民主党は、必ずしも負けていない。比例区では1845万票で16議席を獲得して第一党。自民党は1400万票で12議席である。公明党が6議席だから、自公合わせれば民主を上回るが、あまり差はない。それどころか、選挙区を見ると、民主党が2275万票、自民党が1950万票、公明党が226万票だから、民主は自公を100万票も上回っている。ところが地方の1人区で「8勝21敗」と大敗したために、全体で自民が51、民主が44という結果になったのである。07年は民主が「23勝6敗」だったから、確かに前と比べれば民主は負けたのである。しかし、全体では得票が多いのに議席としては少ないというのは、問題ではないのか。つまり「一票の格差」があるために、民主党は敗北したとも言える。これは何党を支持するかという問題と別にして大問題ではないかと思うわけである。
今、僕が思うのは、6年間任期があって解散がないということを考えると、参議院は比例代表だけの方がいいのではないかということだ。選挙区をどういじろうと、一票の格差を2倍以内にすることは参議院では難しい。では、思い切って選挙区をなくし、比例区だけにしてしまう。参議院議員は100人もいれば十分ではないか。アメリカの上院議員だって、あれだけ広い国土で人口3億人なのに、たった100人である。急に選挙区選挙をなくすのも大変だというなら、比例区の議員をもう少し多くしてもいいだろう。国会議員の削減と言う話には、衆議院の場合、僕は反対なのだが(それはまた別に書く)、参議院を比例区だけにするという削減ならいいのではないか。
ちなみに、現在の比例区だけの議席数は以下の通り。
民主 36(離党表明、除名の横峯議員を含む)
自民 26(「たちあがれ日本」2名を含む。同じ会派に所属)
公明 13
みんな 7
共産 6
社民 4
新党改革2
国民新党1
無所属 1
横峯議員は今日現在の参議院のホームページで「民主党・新緑風会」の会派に入っているので、そのままにした。無所属の1人は尾辻秀久副議長で党籍離脱中なので、本当は自民がもう一人多い。
さて、これを見ると、どうやっても過半数を獲得する組み合わせができない。自公に、もとは自民の「改革」(舛添要一と荒井広幸)と「みんな」まで入れても、尾辻氏を入れて49。一方、民主、国民新に社民を入れても42。結局、「みんなの党」や共産党がどっちに入れるかで決まる可能性が高い。そもそも比例区で単独過半数を得た政党は今までにない。2001年の小泉旋風の時の自民が20、86年の中曽根同日選の自民で22(これが過去最高)、07年の民主が20議席である。国民の投票を比例で正確に(死票なしに)反映させれば、そうなるのである。それが現実なので、そういう現実に基づく議会構成にして、政党が知恵を絞るのがいいと思う。