いよいよ「維新の会」の国政進出方針がはっきりしてきた。石原東京都知事、大村愛知県知事、河村名古屋市長などとの連携も強めていく方向だという。今年度の補正予算案も提示されたが、「現役世代の支援」の名の下に高齢者予算を切り詰めるなど、「強い者の視点」で政治を行うことを明確にしている。今週は関西電力の株主総会もあり、毎日のように東京のニュースでも橋下市長の動静が報道されている。今週の「週刊金曜日」もちょうど「笑えへん、橋下維新」という特集を組んでいる。(関西弁にする必要はないと思うけど。)こうして、ローカル政党が国政を視野に入れるとなると、どういう政治勢力と協力していくのか、その政治的指向をきちんと見ることが重要になってくる。
さて、29日付朝日新聞朝刊に、「『子育てで発達障害予防』、国会議員が勉強会」という記事が載っている。いや、国会でもやっていたのか。これは5月初めに、「大阪維新の会」の市議員団の中で「家庭教育支援条例」を作るという動きが表面化したのと同じ文脈の出来事である。もとは言えば、高橋史朗氏(明星大教授、前埼玉県教委委員長、元「新しい歴史教科書をつくる会」副会長)の主張する「親学」というものから来ている。「親学」というのは、「児童の発達障害は親の愛情の注ぎ方に起因する」という高橋氏の「独自の考え方」に基づくもので、「親学推進協会」という財団法人を作って活動している。それなりの知名度のある応援団もあるので、関心がある人は直接ホームページを見て下さい。「発達障害は親の愛情不足」などという主張は「独自の考え方」と今書いたが、もちろん何の科学的根拠もない。「血液型人間学」などと同じような「疑似科学」である。もちろん、脳科学、児童心理学などの学会で認められたものではなく、専門学会での議論と無関係に勝手に本を何冊も書いているわけである。
ところが、恐ろしいことに政治家にシンパが多い。右翼政治家の中に共感する人が多く、今年4月には何と「親学推進議員連盟」が国会議員の中に作られていた。「家庭教育支援法」を制定するなどというトンデモ方針を掲げている。会長が安倍晋三、会長代行高木義明(元文科相、民主)、幹事長鈴木寛、事務局長下村博文、顧問鳩山由紀夫、副会長は15名もいるが町村、伊吹、中曽根弘文、羽田雄一郎(国交相)など。メンバーには山口那津男、森義朗、平沼赳夫、渡辺喜美、山谷えり子、義家弘介など、そうそうたるメンバーがそろっている。民主、自民、公明、みんな、たちあがれ日本などから参加する超党派組織で、元首相3人、文科相経験者8人という、けっして疑似科学推進組織だと思って侮れない顔ぶれが集まっている。
ところでこの「親学推進議員連盟」会長の安倍晋三元首相だが、今年の2月に大阪を訪れ、松井大阪府知事と「教育基本条例」応援の集会に出席した。「~2/26 教育再生民間タウンミ―ティングin大阪 大阪・教育基本条例の問題提起とは!~ 安倍元首相と維新・松井大阪知事が“教育で連携確認」という動画が「日本教育再生機構」のサイトに掲載されている。同サイトから少し引用すると、
「2・26大阪」を境に流れが変わった――。
2月26日開催の「教育再生民間タウンミ―ティングin大阪」(主催:日本教育再生機構大阪、於:大阪市立こども文化センター)は、テレビやマスコミで「安倍元首相と松井知事が、教育で連携確認」(NHK)、「(安倍元首相が)条例に大筋で賛成」(毎日放送)、「エール交換、保保連立も視野?」(2/27産経新聞)などと詳しく報道されたことから、大きな波紋が広がっています。(中略)「価値観が共有でき、圧倒的多数で(大阪市の)意思表示がされた。市民感覚で結論が出た」(橋下市長、2月28日)。 維新の会と自民党が合意する流れがつくられた「2・26大阪」。
「大阪維新の会」は昨年来、「君が代起立条例」「教育基本条例」などを提案し、全国的に波紋を呼んだ。それを中央の右派政治家が評価しエールを送って近づいているのである。それを裏で支えているのが、「日本教育再生機構」である。これは「新しい歴史教科書をつくる会」から分裂して、産経新聞の孫会社「育鵬社」から中学の歴史、公民教科書を出しているグル―プである。90年代半ばに結成された「新しい歴史教科書をつくる会」は分裂に分裂を重ねたが、育鵬社グループを中心に政治家と結びつき、昨年の教科書採択では横浜など全国でそれまでにはない数の採択に成功した。「親学」の高橋氏も「つくる会」活動から出てきた人物で、支える人脈も共通性が見られる。
こうして「旧つくる会系人脈」を媒介として、人脈的にも「思想」的にも、安倍晋三、下村博文など自民党内右派勢力と「維新の会」の共通性が作られつつあるのではないかと思う。
さて、29日付朝日新聞朝刊に、「『子育てで発達障害予防』、国会議員が勉強会」という記事が載っている。いや、国会でもやっていたのか。これは5月初めに、「大阪維新の会」の市議員団の中で「家庭教育支援条例」を作るという動きが表面化したのと同じ文脈の出来事である。もとは言えば、高橋史朗氏(明星大教授、前埼玉県教委委員長、元「新しい歴史教科書をつくる会」副会長)の主張する「親学」というものから来ている。「親学」というのは、「児童の発達障害は親の愛情の注ぎ方に起因する」という高橋氏の「独自の考え方」に基づくもので、「親学推進協会」という財団法人を作って活動している。それなりの知名度のある応援団もあるので、関心がある人は直接ホームページを見て下さい。「発達障害は親の愛情不足」などという主張は「独自の考え方」と今書いたが、もちろん何の科学的根拠もない。「血液型人間学」などと同じような「疑似科学」である。もちろん、脳科学、児童心理学などの学会で認められたものではなく、専門学会での議論と無関係に勝手に本を何冊も書いているわけである。
ところが、恐ろしいことに政治家にシンパが多い。右翼政治家の中に共感する人が多く、今年4月には何と「親学推進議員連盟」が国会議員の中に作られていた。「家庭教育支援法」を制定するなどというトンデモ方針を掲げている。会長が安倍晋三、会長代行高木義明(元文科相、民主)、幹事長鈴木寛、事務局長下村博文、顧問鳩山由紀夫、副会長は15名もいるが町村、伊吹、中曽根弘文、羽田雄一郎(国交相)など。メンバーには山口那津男、森義朗、平沼赳夫、渡辺喜美、山谷えり子、義家弘介など、そうそうたるメンバーがそろっている。民主、自民、公明、みんな、たちあがれ日本などから参加する超党派組織で、元首相3人、文科相経験者8人という、けっして疑似科学推進組織だと思って侮れない顔ぶれが集まっている。
ところでこの「親学推進議員連盟」会長の安倍晋三元首相だが、今年の2月に大阪を訪れ、松井大阪府知事と「教育基本条例」応援の集会に出席した。「~2/26 教育再生民間タウンミ―ティングin大阪 大阪・教育基本条例の問題提起とは!~ 安倍元首相と維新・松井大阪知事が“教育で連携確認」という動画が「日本教育再生機構」のサイトに掲載されている。同サイトから少し引用すると、
「2・26大阪」を境に流れが変わった――。
2月26日開催の「教育再生民間タウンミ―ティングin大阪」(主催:日本教育再生機構大阪、於:大阪市立こども文化センター)は、テレビやマスコミで「安倍元首相と松井知事が、教育で連携確認」(NHK)、「(安倍元首相が)条例に大筋で賛成」(毎日放送)、「エール交換、保保連立も視野?」(2/27産経新聞)などと詳しく報道されたことから、大きな波紋が広がっています。(中略)「価値観が共有でき、圧倒的多数で(大阪市の)意思表示がされた。市民感覚で結論が出た」(橋下市長、2月28日)。 維新の会と自民党が合意する流れがつくられた「2・26大阪」。
「大阪維新の会」は昨年来、「君が代起立条例」「教育基本条例」などを提案し、全国的に波紋を呼んだ。それを中央の右派政治家が評価しエールを送って近づいているのである。それを裏で支えているのが、「日本教育再生機構」である。これは「新しい歴史教科書をつくる会」から分裂して、産経新聞の孫会社「育鵬社」から中学の歴史、公民教科書を出しているグル―プである。90年代半ばに結成された「新しい歴史教科書をつくる会」は分裂に分裂を重ねたが、育鵬社グループを中心に政治家と結びつき、昨年の教科書採択では横浜など全国でそれまでにはない数の採択に成功した。「親学」の高橋氏も「つくる会」活動から出てきた人物で、支える人脈も共通性が見られる。
こうして「旧つくる会系人脈」を媒介として、人脈的にも「思想」的にも、安倍晋三、下村博文など自民党内右派勢力と「維新の会」の共通性が作られつつあるのではないかと思う。