旧「統一教会」と自民党など政治家との関係が次々に報道されている。それが安倍元首相暗殺につながったわけだから、その実際のところを知りたいと思うのは当然のことだ。本来は自民党が率先して究明に乗り出すべきものだ。しかし、茂木幹事長は「自民党として組織的関係がないことを既にしっかりと確認をしております」と述べている。これはわざとポイントを外す発言である。言ってみれば、「愛人と密会」が報道されているときに、「該当の人物とは正式の結婚関係にないことを確認している」と言うようなものだ。初めから「組織的関係」なんて誰も言ってない。「裏のつながり」を疑問視しているのである。
一方、福田達夫総務会長は「党が組織的に強い影響を受けて政治を動かしていれば問題かもしれないが、一切ない。何が問題かよく分からない」と発言した(後に釈明。)福田氏は福田赳夫、福田康夫と二人の首相を祖父、父に持ち、群馬県4区で圧倒的な知名度を誇っている。小選挙区制度になって9回の選挙があったが、ここは福田康夫、達夫父子しか当選していない。2009年の政権交代選挙こそ、1万2千票差に迫られて民主党の三宅雪子に比例当選を許したが、それ以外は常に福田家の圧勝になっている。福田達夫は一度も苦戦したことがないし、だからこそ安心して正論を主張でき「若手のホープ」として台頭した。
将来の社長候補の御曹司には、総会屋対策などの汚れ仕事を担当させない。それを判っているのかいないのか、我が社は本当にクリーンな会社だと信じ込んでしまっているのかもしれない。しかし、三代目としてもはや党の政策が右翼宗教団体に支配されている実態にも考えが及ばなくなっているのである。だが、もしかするとこれは右派陣営における福田家の位置に関わっているのかもしれない。岸派創設者の岸信介は首相退任後も保守政界の実力者として暗躍し、「巨魁」「昭和の妖怪」と呼ばれた。岸派を継いだのは福田赳夫だが、福田や小泉純一郎は「表の顔」であって、裏での調整役は森喜朗に受け継がれたのではないか。それが森の引退によって、安倍晋三に受け継がれていたのではないか。(まあ、僕の想像だが。)
(福田達夫自民党総務会長)
それをうかがわせるのは、青山繁晴参議院議員(自民)のブログでの発言である。(7.18付)
「▼比較的、最近の出来事です。参院選に向けて、自由民主党の公認作業などが進んでいた時期でした。良心的な議員がわたしにこう語りました。「所属する派閥の長から ( 旧 ) 統一教会の選挙の支援を受けるようにと指示されたが、断った。そのため派閥の長は、その分の票を別の議員に割り振ったようだ」そこで、この派閥の長を訪ねました。わたしは完全に無派閥ですから、アポイントメントの申し入れさえ受けていただければ、どの派閥の長にも自由に、利害関係なくお話しすることができます。」
「▼わたしがこの派閥の長に、事実関係を問うたところ、「各業界団体の票だけでは足りない議員については、 ( 旧 ) 統一教会が認めてくれれば、その票を割り振ることがある」との率直な答えがありました。わたしは「この宗教団体の支援を、すくなくとも一般の有権者が知らない、明らかにされていないのは問題です」と指摘し、「見直すべきです」と具体例を挙げて諫言しましたが、派閥の長は具体的には答えませんでした。」
(青山繁晴議員)
この「派閥の長」が誰だか明言していないが、これは当然安倍派会長だった安倍晋三氏だと考えられる。麻生、茂木、二階、岸田氏らに旧統一教会票を左右できる関係があるとは考えられない。ここは「天宙平和連合」にメッセージを送り、大きな「恩」を与えた安倍氏にこそ、選挙での見返りを求める権利があると考えられる。僕はこれを「違法行為」と批判しているのではない。「統一教会」(「家庭連合」)が合法的な宗教法人として存在している以上、選挙で特定の候補を支援するのも合法である。かつて田中角栄元首相が建設業界などに強い影響力を持ったように、派閥の長たるものは、このような「票田」を握っているのである。だからこそ、大きな派閥を維持出来るのだろう。
その旧統一教会の票を割り振られた候補者は井上義行参議院議員であると考えるといろいろな辻褄が合う。今回「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)の「賛同会員」であると認めた人物である。井上氏は今まで官僚から安倍首相秘書官になった人ぐらいの知識しか無かったので、ウィキペディアを見て驚いた。この人は小田原市の私立高校を出て国鉄に就職し、日大の通信課程を卒業した。その後、国鉄民営化に伴って総理府(現内閣府)に異動したというのである。「もう一人の赤木さん」であるが、人生行路は正反対になった。98年に額賀福志郞内閣官房副長官の秘書官となり、2000年には安倍晋三内閣官房副長官の秘書官に横すべりし、そして安倍氏が官房長官、総理大臣と上り詰めていくのに同道して秘書官を勤め続けたのである。
(井上義行議員)
2007年の安倍内閣総辞職で、「総理大臣秘書官を退任した。千葉科学大学の客員教授などを務めた。」と出ている。退任して元の役所に戻るのではなく、退官してしまったようだ。千葉科学大学というのは、例の加計学園が経営する、安倍氏が創立10周年に講演したという大学である。もう完全に安倍氏とのパーソナルな関係に人生を賭けてしまったのである。そして政界入りを目指して、2009年の衆院選に出馬するも無所属で落選。この時は民主党政権が出来た時だが、そもそも井上氏は自民党公認を得られなかった。小田原の神奈川17区は河野洋平氏が長く当選したところで、河野氏の後継である牧島かれんデジタル相が自民党の公認を得たのである。そのため、井上氏は4万2881票で落選した。
自民の公認は無理と諦めたのだろう、2010年には「みんなの党」に加入し、2012年の衆院選に出馬するも再び落選。この時は5万4337票で、1万票以上伸ばしたものの比例代表の復活も次点で終わった。そこで2013年の参院選に「みんなの党」から出馬して、今度は4万7756票で「みんなの党」の4位となって初当選を果たした。「みんなの党」はこの時4人が当選だったから最後の当選者である。「みんなの党」や「維新」は党名得票が多く、5万票弱で当選出来たのである。しかし、「みんなの党」は2014年11月に解党してしまう。井上は「日本を元気にする会」に参加するものの、首班指名では安倍晋三に投票している。2015年には同会を脱退し、無所属として自民党会派に加わった。
2019年の参院選には自民党から立候補したが、8万7946票で落選した。この時の自民党当選は19名だが、この選挙から「特定枠」が出来たので、それを除けば17人当選となる。最下位当選の赤池誠章は13万1727票だった。その後に比嘉奈津美、中田宏、田中昌史、尾立源幸、木村義雄と井上候補の上に5人もいたのである。そして2022年の参院選になるが、今回は16万5062票を得て、個人票の11位で当選したのである。3年前から倍増させているが、この3年間は落選中だったわけだから、特に新しい業績が加わったはずがない。今回「新しい組織票が付いた」としか理解出来ないと思う。そして安倍氏個人とパーソナルな関係をこれほど築いていた候補は他にはいないだろう。このように党の正規のルートの他に、有力者が握る組織票があるわけだ。
(細田衆議院議長)
今回多くの自民党議員が旧統一協会と「深い関係」を持っていることが明らかとなった。驚くべきは細田博之衆院議長まで、会合に出席するなど深い関係がうかがわれる。この人は前国会で様々な問題発言やセクハラ疑惑に答えることなく、議長を続けている。やはり問題ではなかろうか。名称変更の経過など、内閣がきちんと疑惑に答える必要がある。しかし、岸派からつながる現在の「安倍派」系列の政治家が多い。違和感を感じずに参加出来る素地が出来ているんだろう。「組織的な関係」ではない、一部政治家との不透明な「票を割り振る」「組織を保護する」という関係があったことが推定できる。
一方、福田達夫総務会長は「党が組織的に強い影響を受けて政治を動かしていれば問題かもしれないが、一切ない。何が問題かよく分からない」と発言した(後に釈明。)福田氏は福田赳夫、福田康夫と二人の首相を祖父、父に持ち、群馬県4区で圧倒的な知名度を誇っている。小選挙区制度になって9回の選挙があったが、ここは福田康夫、達夫父子しか当選していない。2009年の政権交代選挙こそ、1万2千票差に迫られて民主党の三宅雪子に比例当選を許したが、それ以外は常に福田家の圧勝になっている。福田達夫は一度も苦戦したことがないし、だからこそ安心して正論を主張でき「若手のホープ」として台頭した。
将来の社長候補の御曹司には、総会屋対策などの汚れ仕事を担当させない。それを判っているのかいないのか、我が社は本当にクリーンな会社だと信じ込んでしまっているのかもしれない。しかし、三代目としてもはや党の政策が右翼宗教団体に支配されている実態にも考えが及ばなくなっているのである。だが、もしかするとこれは右派陣営における福田家の位置に関わっているのかもしれない。岸派創設者の岸信介は首相退任後も保守政界の実力者として暗躍し、「巨魁」「昭和の妖怪」と呼ばれた。岸派を継いだのは福田赳夫だが、福田や小泉純一郎は「表の顔」であって、裏での調整役は森喜朗に受け継がれたのではないか。それが森の引退によって、安倍晋三に受け継がれていたのではないか。(まあ、僕の想像だが。)
(福田達夫自民党総務会長)
それをうかがわせるのは、青山繁晴参議院議員(自民)のブログでの発言である。(7.18付)
「▼比較的、最近の出来事です。参院選に向けて、自由民主党の公認作業などが進んでいた時期でした。良心的な議員がわたしにこう語りました。「所属する派閥の長から ( 旧 ) 統一教会の選挙の支援を受けるようにと指示されたが、断った。そのため派閥の長は、その分の票を別の議員に割り振ったようだ」そこで、この派閥の長を訪ねました。わたしは完全に無派閥ですから、アポイントメントの申し入れさえ受けていただければ、どの派閥の長にも自由に、利害関係なくお話しすることができます。」
「▼わたしがこの派閥の長に、事実関係を問うたところ、「各業界団体の票だけでは足りない議員については、 ( 旧 ) 統一教会が認めてくれれば、その票を割り振ることがある」との率直な答えがありました。わたしは「この宗教団体の支援を、すくなくとも一般の有権者が知らない、明らかにされていないのは問題です」と指摘し、「見直すべきです」と具体例を挙げて諫言しましたが、派閥の長は具体的には答えませんでした。」
(青山繁晴議員)
この「派閥の長」が誰だか明言していないが、これは当然安倍派会長だった安倍晋三氏だと考えられる。麻生、茂木、二階、岸田氏らに旧統一教会票を左右できる関係があるとは考えられない。ここは「天宙平和連合」にメッセージを送り、大きな「恩」を与えた安倍氏にこそ、選挙での見返りを求める権利があると考えられる。僕はこれを「違法行為」と批判しているのではない。「統一教会」(「家庭連合」)が合法的な宗教法人として存在している以上、選挙で特定の候補を支援するのも合法である。かつて田中角栄元首相が建設業界などに強い影響力を持ったように、派閥の長たるものは、このような「票田」を握っているのである。だからこそ、大きな派閥を維持出来るのだろう。
その旧統一教会の票を割り振られた候補者は井上義行参議院議員であると考えるといろいろな辻褄が合う。今回「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)の「賛同会員」であると認めた人物である。井上氏は今まで官僚から安倍首相秘書官になった人ぐらいの知識しか無かったので、ウィキペディアを見て驚いた。この人は小田原市の私立高校を出て国鉄に就職し、日大の通信課程を卒業した。その後、国鉄民営化に伴って総理府(現内閣府)に異動したというのである。「もう一人の赤木さん」であるが、人生行路は正反対になった。98年に額賀福志郞内閣官房副長官の秘書官となり、2000年には安倍晋三内閣官房副長官の秘書官に横すべりし、そして安倍氏が官房長官、総理大臣と上り詰めていくのに同道して秘書官を勤め続けたのである。
(井上義行議員)
2007年の安倍内閣総辞職で、「総理大臣秘書官を退任した。千葉科学大学の客員教授などを務めた。」と出ている。退任して元の役所に戻るのではなく、退官してしまったようだ。千葉科学大学というのは、例の加計学園が経営する、安倍氏が創立10周年に講演したという大学である。もう完全に安倍氏とのパーソナルな関係に人生を賭けてしまったのである。そして政界入りを目指して、2009年の衆院選に出馬するも無所属で落選。この時は民主党政権が出来た時だが、そもそも井上氏は自民党公認を得られなかった。小田原の神奈川17区は河野洋平氏が長く当選したところで、河野氏の後継である牧島かれんデジタル相が自民党の公認を得たのである。そのため、井上氏は4万2881票で落選した。
自民の公認は無理と諦めたのだろう、2010年には「みんなの党」に加入し、2012年の衆院選に出馬するも再び落選。この時は5万4337票で、1万票以上伸ばしたものの比例代表の復活も次点で終わった。そこで2013年の参院選に「みんなの党」から出馬して、今度は4万7756票で「みんなの党」の4位となって初当選を果たした。「みんなの党」はこの時4人が当選だったから最後の当選者である。「みんなの党」や「維新」は党名得票が多く、5万票弱で当選出来たのである。しかし、「みんなの党」は2014年11月に解党してしまう。井上は「日本を元気にする会」に参加するものの、首班指名では安倍晋三に投票している。2015年には同会を脱退し、無所属として自民党会派に加わった。
2019年の参院選には自民党から立候補したが、8万7946票で落選した。この時の自民党当選は19名だが、この選挙から「特定枠」が出来たので、それを除けば17人当選となる。最下位当選の赤池誠章は13万1727票だった。その後に比嘉奈津美、中田宏、田中昌史、尾立源幸、木村義雄と井上候補の上に5人もいたのである。そして2022年の参院選になるが、今回は16万5062票を得て、個人票の11位で当選したのである。3年前から倍増させているが、この3年間は落選中だったわけだから、特に新しい業績が加わったはずがない。今回「新しい組織票が付いた」としか理解出来ないと思う。そして安倍氏個人とパーソナルな関係をこれほど築いていた候補は他にはいないだろう。このように党の正規のルートの他に、有力者が握る組織票があるわけだ。
(細田衆議院議長)
今回多くの自民党議員が旧統一協会と「深い関係」を持っていることが明らかとなった。驚くべきは細田博之衆院議長まで、会合に出席するなど深い関係がうかがわれる。この人は前国会で様々な問題発言やセクハラ疑惑に答えることなく、議長を続けている。やはり問題ではなかろうか。名称変更の経過など、内閣がきちんと疑惑に答える必要がある。しかし、岸派からつながる現在の「安倍派」系列の政治家が多い。違和感を感じずに参加出来る素地が出来ているんだろう。「組織的な関係」ではない、一部政治家との不透明な「票を割り振る」「組織を保護する」という関係があったことが推定できる。